犬がおならをした際「おならが臭い!」と感じると、病気ではないかと心配になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

犬のおならが臭いのは、病気以外が原因の場合もあります。

そこで本記事では、犬のおならが臭くなる原因についても解説します。病院受診の目安やおならの予防・改善方法も紹介するため、最後まで読めば、犬のおならに対して適切に対応できるようになるでしょう。

犬もおならをする!その理由とは?

犬も人間と同様、おならをします。

おならは口から入った空気や消化管内で発生したガスが、おしりから放出される生理現象です。人間と犬では食べるものが異なりますが、食べ物が消化管に入り消化され、ガスがおならとして出るのは犬も同様です。

また、犬のおならの音の大小・臭いの強弱は、状況により変化します。おならは生理現象であるため、食事内容や体調によって左右されます。

なお、パグやフレンチブルドッグといった短頭種は呼吸が激しく、口から取り込む空気量が多いため、おならをしやすい犬種です。

犬のおならが臭い原因4選

犬のおならがいつもより臭いときには、臭くなっている理由があります。ここでは、犬のおならを臭くする4つの原因について解説します。

食事量やタンパク質の過多

食事量やタンパク質摂取が多くなると、おならが臭くなります。

食事量が増えると消化管内でのガス発生量が増えるため、おならの量が多くなったり、においが臭くなったりするでしょう。

また、肉類などのタンパク質の摂取量が増えると、アンモニアや硫黄化合物といったにおいの元が増加します。そのため、おならが臭くなってしまうのです。

加齢による腸内細菌のバランスの崩れ

加齢により腸内細菌のバランスが崩れると、おならが臭くなります。

犬は加齢により、消化機能が低下していきます。今までと変わらない食事であっても、消化機能低下により消化不良を起こせば、腸内でにおいの強いガスが発生してしまうでしょう。

また、腸内細菌のバランスが崩れれば、悪玉菌の増殖が原因となり、おならの臭いが強くなってしまいます。

ストレスによる免疫低下

ストレスによる免疫低下でも、おならは臭くなります。

犬もストレスを感じれば、人と同様に免疫が低下します。免疫低下は腸内細菌のバランスを崩し、悪玉菌を増殖させてしまうでしょう。

悪玉菌がタンパク質や脂質を分解するときに臭いガスを発生させるため、おならのにおいを強くする原因になってしまいます。

病気による消化不良や腸内環境の悪化

病気により消化不良を起こしたり、腸内環境が悪化したりするときにもおならは臭くなります。

消化不良は腸内でにおいの強いガスを発生させる原因となります。また、腸内環境が悪化すれば、悪玉菌の増殖につながり、おならが臭くなる原因となるでしょう。

犬のおならが臭くなる病気

前述のとおり、犬のおならが臭くなるのは、病気が原因の場合もあります。以下では、犬のおならが臭くなる原因となる病気について、代表的な5つを紹介します。

腸閉塞(イレウス)

腸閉塞になると、おならが臭くなります。

腸が異物や炎症によって塞がれた状態になってしまうのが腸閉塞(イレウス)です。腸閉塞になると排便に支障をきたすため、消化後の食物がガスの発生源として腸内に残ってしまいます。そのため、おならの臭いが強くなるのです。

腸閉塞では、強い吐き気や激しい腹痛、お腹のはりなどを伴うのが特徴です。緊急性を要する疾患でもあるので、おなら以外の症状を見逃さないようにしましょう。

小腸性の下痢

小腸性の下痢でも、おならが臭くなります。

小腸は、食べ物から栄養素を吸収する消化器官です。そのため、小腸性の下痢を起こしていると、栄養素を吸収できないため消化不良の食物が腸に貯まってしまいます。消化不良は臭いを強くするため、おならが臭くなります。また、口臭が臭くなることもあるでしょう。

なお、小腸性の下痢は、食あたりや寄生虫・ウィルス感染、アレルギーなどのさまざまな原因によって引き起こされます。

膵外分泌不全症

膵外分泌不全症でも、犬のおならは臭くなります。

膵外分泌不全症とは、膵臓から分泌される消化酵素が十分ではなくなってしまう症状です。消化機能が低下するため、消化不良となり、小腸で栄養素が吸収されにくくなります。そのため、おならを臭くするガスが発生しやすくなるのです。

また、脂肪が消化されないことで下痢になったり、便が白っぽくなったりするのも特徴です。

腸の炎症

腸が炎症を起こす症状「腸炎」でも、犬のおならは臭くなります。

腸に炎症が起きていることにより、消化機能が低下します。消化機能が低下すれば消化不良を起こすため、おならは臭くなってしまうでしょう。また、消化機能低下により腸内細菌のバランスも崩れるため、おならのにおいの悪化につながります。

腸の炎症は、食べ過ぎやストレス、細菌・ウィルス・寄生虫などの感染症で起こることがあります。

腸内の腫瘍

腸内に腫瘍ができた場合も、おならが臭くなることがあります。

腸に腫瘍ができると、消化・吸収の機能が低下するなど、消化不良を引き起こすことがあります。そのため、腸の腫瘍でもおならが臭くなることがあるのです。

なお、腸で腫瘍ができる部位によっても、おならのにおいへの影響は異なります。

こんなときは動物病院へ!おならの臭い以外の注意する症状とは?

おならが臭くなるだけなら、日常生活の中でも起こります。食欲や体調に問題が見られないなら、様子を見てもよいでしょう。

一方、おならが臭くなる以外に、以下のような症状が見られるなら受診の目安です。

● 下痢をする
● 食欲が低下する
● 体重が減少する
● 呼吸が苦しそう

特に、水様便や血便、ぐったりしているなら緊急性を要する可能性もあるため、早めに動物病院へ受診してください。

犬のおならの予防・改善方法

犬のおならが気になる方もいらっしゃるでしょう。そこで、おならを予防・改善する方法を紹介します。

● 食事の見直し:消化の良いものへ変更。においを抑えたいなら動物性タンパク質を魚や穀物系のものへ変更。
● ストレスの除去:ストレスになるものから遠ざける。適度な運動もストレス解消に効果的。
● 腸内環境を整える:善玉菌増殖のため整腸剤を投与。

上記対応をとることで、おならの回数や臭いが改善するでしょう。犬のおならが気になるなら、できる範囲で対応してください。

犬のおならを理解し、病気を見逃さないようにしよう

本記事では、犬のおならについて解説しました。犬のおならが臭くなるのは、以下4つが原因です。

● 食事量やタンパク質の過多
● 加齢による腸内細菌のバランスの崩れ
● ストレスによる免疫低下
● 病気による消化不良や腸内環境の悪化

おならが臭くなるのは病気が原因の場合もあるため、他の症状が併発しているときには動物病院を受診しましょう。紹介した予防・改善方法を取り入れながら、犬との快適な暮らしを継続させましょう。