フェレットは多彩な毛色と人懐っこい性格、一人暮らしでも飼いやすいことなどから人気のペットです。
最近フェレットを飼い始め、長生きしてもらいたいがどうすれば良いのかわからないという飼い主様も多いでしょう。フェレットの長生きのためには、適切な食事、室温や湿度の管理し、ストレスフリーな生活、毎日の健康チェックなどが重要です。
今回の記事ではフェレットという動物について説明し、長生きさせる飼育のコツやかかりやすい病気などをご紹介します。
目次
フェレットの特徴
はじめにフェレットという動物の特徴をお伝えします。
フェレットはイタチ科の動物です。犬や猫と近い感覚で飼育することも可能ですが、フェレットをよく理解するために独特の性格や身体的な特徴、寿命などをお伝えします。
活発で好奇心旺盛
フェレットは一般的に人懐っこく活発な性格をしています。
人によく慣れる一方、犬や猫ほど飼い主様に依存しないため、一人暮らしの飼い主様でも飼いやすい動物です。他のフェレットや犬や猫などとも一緒に生活を送ることができます。
フェレットは探索好きで、いたずらも多く、誤飲や落下などには注意が必要です。運動や遊びが大好きなため、ケージから出して自由に運動させる時間が大切な動物だと言えます。
毛色や模様のバリエーションが豊富
フェレットは平均体長が35〜50センチ程度の小柄な動物です。
フェレットには犬や猫のような品種はありません。出身ファーム(繁殖場)や毛色、柄などで種類分けがされています。
日本では下記の8つの毛色と3つの模様が代表的ですが、判別が難しい場合もあり、お店によって分け方が違うこともあります。
毛色
- セーブル
- ブラックセーブル
- ブラック
- シナモン
- アルビノ
- ダークアイド・ホワイト
- シャンパン
- チョコレート
模様
- ブレイズ
- ミット
- パンダ
平均寿命は5〜10年
フェレットの平均寿命は5〜10年です。10歳のフェレットというのはかなりの長寿だと言えるでしょう。ギネス記録に乗っているフェレットの最長寿命は15歳だと言われています。
フェレットは1歳までの成長が早く、1歳で大人になります。1歳以降はやや成長スピードは緩やかになりますが、6歳でシニア期に入ります。フェレットの年齢を人間に換算すると下記のようになります。
フェレットの年齢 | 人間の年齢 |
3カ月 | 5歳 |
6ヵ月 | 10歳 |
1歳 | 20歳 |
1~4歳 | 20~40歳 |
4~6歳 | 40~60歳 |
6~8歳 | 60歳~80歳 |
8歳~10歳 | 80歳~100歳 |
フェレットを長生きさせてあげるコツ
人と比べると寿命の短いフェレットですが、家族としてお迎えしたらできる限り長生きさせてあげたいですね。ここではフェレットの長生きのための飼育ポイントをお伝えします。
適切な食事を与える
フェレットは肉食性の動物なので、良質な動物性たんぱく質が豊富なフードが最適です。
たんぱく質と共に良質な脂肪も必要ですが、炭水化物と繊維はできるだけ与えないようにしましょう。市販のフェレット専用フードならこれらの条件を簡単に満たすことができて安心です。
フェレット専用フードが入手できない場合、ドッグフードは繊維が多く不向きですが子猫用フードは比較的成分が似ています。
フードはドライタイプがおすすめです。ウェットタイプは嗜好性が高いですが、歯に付着しやすく歯のトラブルの原因となる可能性があります。
本来肉食のフェレットですが、果物やお菓子などを喜んで食べることもあります。
これらの食べ物はフェレットの健康には好ましくないため、長生きのためには控えるようにしましょう。
室温と湿度を適切に保つ
フェレットは汗腺が発達していないため高温の環境が苦手です。
最適な室温は15℃〜25℃程度ですが、10℃以上あれば心配ありません。32℃を超えると命の危険が出るため夏は特に注意が必要です。
湿度は45〜55%が最適です。湿度が低すぎると皮膚や毛が乾燥し、湿度が高すぎると反対に毛などが湿気を帯びてしまうためエアコンなどの利用で湿度の調整を行いましょう。
フェレットのケージを温度や湿度を保ちにくい窓やドアのそばに設置するのは避け、できる限り温度や湿度を一定に保つことを心がけましょう。
ストレスに注意する
フェレットはストレスが溜まりやすくストレスで体調不良をおこすこともあります。
ストレスを受けたフェレットは食欲不振になったり、下痢をしたり、普段よりもよく眠るようになったり、過度に毛づくろいをして脱毛することがあります。
ストレス解消のためにはハンモックなどを利用して遊ばせたり、一日30〜60分ほどケージから出して運動させると良いでしょう。
毎日健康チェックをする
毎日フェレットの行動や仕草などを観察して異変がないかを確認しましょう。
具体的なチェックポイントとしては、食欲や飲水量の増減や排泄物の量や色などです。また定期的に体重を測定することも健康管理には大切です。その他、目や耳、鼻周り、口の中の状態なども日々しっかり確認しましょう。動物病院での定期検診も長生きのためには重要です。
フェレットがかかりやすい病気
フェレットの長生きのためにはかかりやすい病気について予め知っておくことが大切です。ここではフェレットがかかりやすい代表的な病気についてご紹介します。
インスリノーマ
インスリノーマとは膵臓のβ細胞が腫瘍化する病気で、3〜4歳以降の高齢フェレットに発症しやすい病気です。血糖値を下げるためのインスリンが過剰に分泌されるため低血糖になることが問題となります。
低血糖の症状として元気消失、体重減少、ふらつきやよだれなどがあらわれます。激しい低血糖発作がおこるとてんかん発作や昏睡になることもあります。
インスリノーマの治療は手術によって腫瘍を切除したり、投薬による内科療法などの治療法があります。手術で腫瘍を取っても完治させることは難しく、生涯にわたる治療が必要となります。
アリューシャン病
もともとはミンクに感染するパルボウイルスが原因の病気ですが、フェレットにも時々発症することがあります。
フェレットの場合、無症状のまま長期に渡り感染が持続することが多く、徐々に体力が消耗し衰弱します。後期になると咳や下痢、体重減少、筋肉の虚弱、下半身麻痺などの症状が出るようになります。ステロイドやインターフェロン投与で緩和的治療を行いますが、予後は悪いことが多いと言えます。
副腎腫瘍
副腎腫瘍はフェレットで最も一般的な病気のひとつで加齢とともに発症率が高くなります。
この病気は副腎が腫瘍化することで副腎から分泌される性ホルモンであるアンドロゲンやエストロゲンが過剰になり、さまざまな症状を引き起こします。
症状は進行性の両側性の脱毛が中心です。
体臭が強くなる、マーキングが激しくなる、攻撃的になるなどの変化がみられることもあります。治療方法は腫瘍化した副腎の摘出手術が第一選択となりますが、ホルモン薬などを皮下注射する内科的治療もあります。
長生きのためには飼い主様の配慮が大切
今回の記事ではフェレットの特徴や長生きさせるために気をつけたいポイント、かかりやすい病気などを解説しました。
フェレットの寿命は犬や猫と比較しても短めです。飼い主様の日々の配慮が健康に大きく影響するため、できる限りフェレットに寄り添った生活を心がけましょう。
また、いざという時に診療してもらえる動物病院はまだそれほど多くありません。お迎えしたら信頼できる動物病院を探しておくと良いでしょう。