世界最小の犬種として知られるチワワは、小さな体に大きな瞳が輝く魅力的な犬ですよね。最近チワワを飼い始めた方や、これからチワワをお迎えしたいという方の中には、あらかじめかかりやすい病気を把握しておきたいという方も多いでしょう。

チワワがかかりやすい病気には、水頭症、膝蓋骨脱臼、結膜炎・角膜炎、気管虚脱、低血糖症、尿路結石症、僧帽弁閉鎖不全症などが挙げられます。

今回の記事ではこれらの病気に着目して解説し、予防するためのポイントもお伝えします。

チワワはどのような犬?

チワワはどのような犬?

チワワは世界最小の犬種として有名です。体高は12cm~20cm程度と非常に小柄で大きな瞳と三角形の耳を持ちます。

被毛の種類はスムースコート(短毛)とロングコート(長毛)の2タイプで、毛色にはレッド系、クリーム系、ホワイト系をはじめとしてブラックタン、ブラックホワイトなど多くの種類があります。

性格は好奇心旺盛で賢く、体に見合わず勇敢な面もあります。家族以外には警戒心が強い子も多いといわれています。小型犬のなかでも比較的飼育がしやすいことでも人気の犬種です。

チワワの平均寿命について

チワワの平均寿命について

アニコム損害補償株式会社の「家庭どうぶつ白書2023」によると、チワワの平均寿命は13.9歳です。犬全体の平均寿命は14.2歳であるため、平均より少し若い傾向にあります。

ただし、平均寿命といってもあくまでも目安であり、実際の寿命は個体差があることを理解しておきましょう。チワワに長生きしてもらうためにも、事前に平均寿命を確認して、ライフステージに合わせた適切な生活環境を整えてあげることが重要です。

健康的な生活を送らせてあげることで、平均寿命より長生きして、少しでも長い時間一緒に過ごせるでしょう。

人間に換算した場合のチワワの年齢

人間に換算した場合のチワワの年齢は以下のとおりです。

チワワの年齢人間に換算した年齢
0カ月0歳
3カ月4歳
6カ月7歳半
9カ月11歳
1歳15歳
2歳23歳
3歳28歳
4歳32歳
5歳36歳
6歳40歳
7歳44歳
8歳48歳
9歳52歳
10歳56歳
11歳60歳
12歳64歳
13歳68歳
14歳72歳
15歳76歳
16歳80歳
17歳84歳
18歳88歳
19歳92歳
20歳96歳
21歳100歳

上記の表を見ると、生まれてから1歳になるまでの1年の間は、人間の15年分成長していることになります。成長スピードがかなり早いことから、寿命も短い傾向にあるといえるでしょう。

チワワの最高齢は23歳43日

チワワの最高齢は、ギネス世界記録によると、アメリカのオハイオ州に住んでいる「スパイク」というチワワです。

ギネスに登録された2022年12月7日時点で、チワワの年齢は23歳43日だそうです。上記に記載した表を参考に、チワワの年齢を人間に換算すると、108歳に値します。

スパイクくんの長生きの秘訣は、健康的な食事と自由に移動できるスペース、日常的な運動、そして一番は無限の愛情だと飼い主様のリータさんが答えています。

チワワがなりやすい病気

チワワがなりやすい病気

チワワにはいくつかのかかりやすい病気があることが知られています。以下では、各病期の症状や予防法について解説します。

水頭症

脳脊髄液が過剰になり、脳を圧迫して脳の機能に障害が出る病気です。

圧迫の場所や程度によって異なる症状が出ますが、頭蓋骨が変形して頭が膨らんで見えたり、痙攣発作が起こったりなどの神経症状、斜視などの視覚症状が出たりすることが多いといえます。

水頭症の発症には遺伝が関わっているとされ、チワワは好発種です。完治は難しく、薬の服用などで症状を和らげる治療が中心となりますが、残念ながら発症するとあまり長生きができない病気のひとつです。


膝蓋骨脱臼

膝のお皿の骨が外れる病気です。解剖学用語で膝蓋骨を示す言葉である「パテラ」と呼ばれることもあります。脱臼の程度でグレードの1~4に分かれ、グレード1ではほとんど症状がわかりません。

グレード2以上になると、脱臼した足を地面につけなくなって3本足で歩くようになったり、膝が炎症して腫れたりすることもあります。チワワをはじめとした小型犬に多い病気のひとつです。

結膜炎や角膜炎

結膜炎や角膜炎は結膜や角膜が傷ついたり、細菌に感染したりして炎症する病気です。白目の部分が赤くなったり、黒目の部分が濁って見えたり、涙や目やにが多くなるなど目の中に異常があらわれます。

痛みや眩しさのため、犬は目を閉じ気味になることもあります。チワワは目が大きく飛び出しているため、ゴミなどが入りやすく結膜炎や角膜炎になりやすい犬種です。散歩中の砂埃などに注意する必要があります。


気管虚脱

気管が潰れて息がしづらくなる病気です。初期では運動時や興奮した時に乾いた咳をする程度ですが、進行すると日常的に「ガチョウの鳴き声」と表現される特徴的なガーガーと鳴る呼吸をするようになります。

治療は薬による対症療法がメインですが、外科的に気管を広げる手術が適用される場合もあります。発症原因は不明ですが、飼い主様にできる予防は気管に負担をかけない生活です。日頃から無駄吠えや肥満を防止しましょう。

低血糖症

血液中の糖分濃度が低下する病気です。元気がなくなり、失神や痙攣などの症状があらわれ、放置すると命を落とします。

体が小さく血糖値をコントロールする肝臓の機能が未熟なチワワの子犬が発症しやすい病気です。チワワでも成犬では発症する可能性は低いため、もしも成犬で発症した場合は背後に膵臓などの病気が潜んでいる可能性もあります。

チワワの子犬をお迎えしたら、食事を小分けにして与えるなどで、空腹時間が短くなるように工夫しましょう。低血糖の症状が現れた場合、すぐに病院で点滴してもらう必要があります。


尿路結石症

膀胱、腎臓、尿管(膀胱と腎臓をつなぐ管)、尿道などに結石ができる病気です。結石の大きさや場所によって症状はさまざまですが、頻尿、血尿、排尿困難などの症状が一般的です。

結石ができる場所によっては「尿路閉塞」という尿が全く出なくなる状態になることもあり、緊急の治療が必要になります。

結石が小さく数が少ない時は、尿と共に自然排出することもありますが、外科手術が必要になるケースもあります。適切な食事と運動、十分な水分、排尿をスムーズに行える環境などが予防につながります。

僧帽弁閉鎖不全症

心臓病のひとつで、心臓の中の左心室にある僧帽弁という弁が正常に開閉しなくなり、心臓内で血液が逆流する病気です。

心臓のポンプ機能が弱くなるため、全身への血流が滞り様々な症状があらわれます。一般的には、進行するにつれ疲れやすく運動ができなくなる「運動不耐」があらわれ、咳をしたり胸や肺に水が溜まったりして死に至ります。

発覚したらすぐに進行を遅らせるための投薬をはじめることがその後の生活の質に関わります。

チワワが震えているのは病気?

チワワが震えているのは病気?

チワワは臆病な性格であることから、よく震えることがあります。しかし、震えている様子を見たら、病気かもしれないと心配になる方もいらっしゃるでしょう。

以下では、チワワが震えている原因について4つ紹介します。

寒さを感じている

チワワが震えている場合は、必ずしも病気であるとは限りません。身体の小さいチワワは体重に対して体表面積が広いため、身体の熱が外に逃げやすいです。そのため、寒さを感じると震えて体温を保とうとします。

震えることで筋肉を動かし、発熱して体温を調節します。しかし、震えが長時間続いたり、他に食欲不振や嘔吐などの異常な症状が見られたりする場合は病気の疑いがあるでしょう。日常的にチワワが震えている場合は、獣医師に相談してください。

筋力が低下している

チワワが震えている原因として、筋力が低下していることが考えられます。チワワのような小型犬は身体が小さく、筋肉量が少ないため、日常的な活動や運動により筋肉に負担がかかると、疲労で震えることがあります。

人間でいうと、重たいものを持ったり、激しい運動をしたりしたときに筋肉が震える間隔と似ているでしょう。筋力が低下していれば、通常の動作でも筋肉が十分に支えきれず、震えてしまうことがあります。

特に高齢のチワワや運動不足のチワワの場合、筋力が低下しやすいため、震えを抑えるためにも日常的に運動や栄養を取ることが重要です。

ストレスや恐怖を感じている

チワワが震えている要因として、ストレスや恐怖を感じている場合もあります。

たとえば、動物病院の診察台の上や自宅への来客、工事の音、地震などが原因で震えることもあるでしょう。上記のようなものは、犬にとって恐怖やストレスの要因です。

ストレスを引き起こす状況は、犬の経験や性格により異なりますが、飼い主様は愛犬が何に対してストレスを感じているかを観察して、要因となっているものを取り除く必要があります。

また、愛犬が安心できる環境を整え、必要に応じて専門家に相談することも重要です。

学習している

チワワは学習したことにより、わざと身体を震えさせる場合があります。

たとえば、震えているときに飼い主様が注意を向けたり、おやつを与えたりすると、チワワは震えることはご褒美をもらえる手段の一つであると学びます。その結果、同じ行動を繰り返すことがあるのです。

わざと震えているかどうかをしっかりと判断し、震えが続く場合や他に症状が続く場合は、獣医師に相談することが重要です。

チワワに元気がないときのサイン

チワワに元気がないときのサイン

愛犬のチワワがいつもとは違う様子を見せたり、食欲がわかなかったり、何らかの症状が出ている場合には注意が必要です。また、病気が潜んでいる多くの場合は、チワワの元気がなくなる症状が現れます。

飼い主様が愛犬に元気がないことを少しでも早く気付けるように、以下ではチワワに元気がないときのサインについて解説します。

あくびや鼻先を舐める

チワワに元気がない場合は、あくびや鼻先を舐める行動を頻繁に見せることがあります。あくびや鼻先を舐める行動は、緊張を感じているときに自己安定化を図るためのものです。

例えば、動物病院の待合室での待ち時間や慣れない環境にいるときなどにも見られる場合があります。しかし、自宅にいるときでも頻繁に見られる場合は、飼い主様の過度なしつけや叱責が原因で、犬が常に緊張状態である可能性が考えられます。

飼い主様は愛犬の行動をしっかり見て、必要に応じて環境を見直すようにしましょう。

食欲がない

チワワの元気がないサインとして、食欲不振が挙げられます。普段好んでいるおやつやフードを食べなくなった場合で、老化が原因でなければ、病気やストレスが原因である可能性があります。

ストレスの原因としては、生活環境の変化や飼い主様の不在などが考えられるでしょう。ストレスが原因の場合は、ストレスの要因を探して改善することが重要です。また、病気の兆候である可能性もあるため、早めに動物病院で診察を受けましょう。

睡眠時間が短い

チワワに元気がないときは、睡眠時間が短い可能性があります。

成犬のチワワは1日に10〜11時間程度の睡眠が必要で、子犬の場合は18〜19時間程度とさらに多くの睡眠時間が必要です。しかし、新しい環境で迎えられたチワワは変化に馴染むことができず、落ち着いて眠ることが困難です。

睡眠不足の状態が続くと、免疫力の低下により病気にかかりやすくなるリスクが高まります。また、ストレスが蓄積され、問題行動の原因にもつながるため、十分な睡眠時間を確保できるように快適な生活環境を整えてあげましょう。

消化不良が起きている

消化不良を起こしていると、チワワは元気がなくなります。消化不良は便秘や下痢などの症状を引き起こします。

適切な年齢に合ったフードを与えることで、消化をサポートして症状を改善できるでしょう。

しかし、改善が見られない場合、異物を飲み込んでいる可能性や過度なストレスを抱えている可能性があります。消化不良が続くと、腸閉塞や他の病気を誘発するケースがあるため、速やかに動物病院で検査を受けることが重要です。

健康なチワワは1日2〜3回の排便が見られるため、普段から便の状態や頻度を確認して、早期に異常を発見できるよう心がけましょう。

チワワがなりやすい病気を予防するためのポイント

チワワがなりやすい病気を予防するためのポイント

上記でチワワがかかりやすい病気やチワワが震えている理由、元気がないときのサインなどについて解説しました。以下では病気を予防するために飼い主様が気をつけるべきポイントについてお伝えします。

瞳の状態をよく確認する

毎日チワワの瞳をしっかり観察しましょう。白目の部分、黒目の部分ともに発赤や濁りがないか、涙や目やにが過剰ではないかがポイントです。チワワは涙やけがしやすい犬種なので、目の周囲をぬるま湯で湿らせたコットンで拭くなどのケアも必要です。

上記でもお伝えしたように、チワワの大きな瞳にはゴミなどが入りやすく結膜炎や角膜炎を起こしやすいといえます。お散歩のあとは犬用の目薬などで目を洗うのもおすすめです。

適切な体重管理

肥満は心臓や気管への負担が大きくなるだけでなく、骨が細いチワワにとっては足腰への負担も大きくなります。食事の回数や量に気をつけて肥満を防止しましょう。

ペットショップなどでは「小型犬なので散歩は不要です。」と説明されるかもしれませんが、運動は欠かせません。お外で散歩することが難しい場合は、室内で体を動かせるグッズを取り入れるなどで運動を促しましょう。


ストレスの軽減

チワワはストレスに弱い犬種だといわれることがあります。飼い主様への忠誠心が強い一方で、留守番などが苦手な面もあり、ひとりにされたストレスが病気につながる可能性もあります。

高齢になるにつれ、この傾向が強くなるため、できるだけ若いうちから留守番の練習をすると良いでしょう。

また、チワワは小柄なため、高い位置から撫でられるなどは恐怖を感じることもあります。一緒に遊ぶときはできるだけ飼い主様自身もしゃがんで目線を合わせると良いでしょう。

定期検診

チワワがかかりやすい病気の中には、初期の段階では無症状で自覚症状もなく、飼い主様が気づかない病気もたくさんあります。

定期的に健康診断を受けて、血液検査やレントゲン検査、エコー検査など客観的に健康状態を確認することが大切です。

定期健診の目安としては、ワクチン接種などの際に併せて、全身の健康チェックをしてもらうと良いかもしれません。高齢犬である8歳程度になったら、なにもなくても半年に1回程度の定期健診を受けると安心です。

病気に気をつければチワワは良き伴侶となる

病気に気をつければチワワは良き伴侶となる

今回はチワワに着目し、かかりやすい病気や予防法についてお伝えしました。こうしてみると、チワワはたくさんの病気にかかりやすい犬種のように思えるかもしれません。

確かに、小柄な体格や細い骨、大きな瞳など飼い主様の配慮が必要なポイントがたくさんあります。

しかし、それ以上に愛らしい姿と飼い主様への愛情に溢れた性格で日々に彩りを与えてくれるでしょう。今回の記事もぜひ参考にして、チワワとの生活を楽しみましょう。