「猫が音楽を聴くと落ち着くって本当?」と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。アメリカの大学の研究により、猫は音楽を聴くとリラックスできることが明らかになっています。
普段の生活に音楽を取り入れることで、猫との生活がより快適になるでしょう。
本記事では音楽が猫に与える影響や、音楽を聴かせる際の注意点について解説いたします。猫を飼育中の方の参考になれば幸いです。
目次
猫は音楽を聴いている
何かと無関心に見える猫ですが、音楽をしっかりと聴いています。以下では猫と音楽の関係についてご紹介します。
猫は耳が良い
猫は五感の中で聴力が最も優れているといわれています。人間の聞き取れる音の範囲が20〜20kHzであるのに対し、猫は60〜65kHzです。ネズミ同士の会話として使われる「超音波」や、20m先にいるネズミの鳴き声や足音も聞き取れます。
また猫は左右の耳に音が届く僅かな時間差を感じ取って、音源までの距離を正確に把握できます。猫の聴覚は犬の2倍、人間の8倍です。人間の聴く音楽も問題なく聞こえていると考えられます。
猫はリズム感を持っている
猫は個体ごとに固有のリズム感を持っています。獲物を狩る際に、タイミングを測るためのリズム感であるといわれています。そのため、飼い主様が聴いている音楽のリズムも感じ取っているかもしれません。
ただし、猫が持つリズム感は個体差があるとも考えられています。
猫は音楽を覚える?
人間と同じように猫が音楽を覚えられるかは、明確にされていません。しかし、猫と音楽の関係性による研究では、猫が特定の音やメロディーに反応することが報告されています。
猫の脳は音のリズムを認識する能力があると考えられおり、猫も人間と同じように音楽を聴く際に脳の同じ部位が活動するようです。
また、猫は独自の音楽にも反応を示し、実際には猫の鳴き声や子猫が震える音など、自然に出ている音を基にした音楽に反応することも研究で明確にされています。
しかし、猫がどれくらい音楽を覚えられるか、また音楽をどのように認識しているかなどの具体的なメカニズムは明確にされていません。
猫も音楽の好き嫌いがある
猫は音楽を聴いていますが、人間と同様に音楽の好き嫌いがあります。猫が嫌いな音楽をかけ続けると、ストレスになるため注意が必要です。以下では、猫が心地よいと感じる音楽と嫌がる音楽の特徴をそれぞれ解説いたします。
猫が心地の良い音楽
猫は高い周波数の滑らかな音楽を好みます。猫は高周波の音が余裕で聞き取れ、獲物であるネズミなどの小動物の鳴き声が周波数の高い音であるためと考えられています。猫が好きな音楽としては、以下のようなものが挙げられます。
女性の声の音楽
猫は男性の声よりも、女性の声を好みます。猫が聞き取りやすい音の周波数は約8,000 Hzで、小鳥の鳴き声やトライアングルの周波数とほぼ同等です。
男性の声と女性の声では、女性の声の方が高く好まれるといわれています。女性の高くて優しい声は猫をリラックスさせるでしょう。また、女性の声は男性よりも小さく柔らかい高い声であるため、猫にとって聞き取りやすい音であるといえるでしょう。
クラシック音楽
前述した通り、猫は高音が好みであるためピアノなどの高音の楽器も好みで、比較的高音で軽やかな曲は猫も心地よく聴けます。
部屋でピアノを演奏する方は、猫の好みの曲を演奏すると喜ばれるでしょう。対してベートーベンの「運命」など、重低音の響く曲は苦手であるため、クラシックの曲選びにも注意が必要です。
自然の音
猫は自然の音も大好きです。人間の場合でも、川のせせらぎや海の音、雨の音など自然の音を好む方は多く、自然の音を使った音楽が多く発売されています。同じように、猫も自然の音が好きでリラックス効果があるといわれています。
猫も元は野生で過ごしていた動物であるため、潜在意識で自然の音が好きなのかもしれません。しかし、自然の音でも好みは猫により異なるため、興味をまったく示さない猫もいることを覚えておきましょう。
喉笛
猫は嬉しいときやリラックスしたときに喉笛を鳴らすことがあり、猫は喉笛の音を好んでいます。ネコの間でコミュニケーションとして使用され、猫は喉笛を聞くことで安らぐことができます。
そのため、喉笛を含むような音楽は、猫もリラックスできるのではないでしょうか。
ピアノ
ピアノの音が好きな猫もいます。ピアノの音は人間にとってもいい音ですが、猫にとってもリラックス効果があるようです。ピアノで演奏するジャンルにより猫の好みが分かれる場合もありますが、ゆったりとした曲調であれば猫も気に入ってくれるでしょう。
猫が嫌がる音楽
猫は低い音や大きい音が苦手です。男性が大声で歌っているパンク系やロック系の音楽は、猫にストレスを与えます。猫がいる時は聴かないようにしましょう。
どうしても聴きたい場合は、イヤホンやヘッドフォンを使用すると猫も安心です。音量により、女性の曲などでも嫌がる可能性があります。音楽をかける時の音量も配慮して、猫の様子を伺いながら音楽をかけましょう。
音楽が猫に与える良い効果
これまでの研究で、猫は好きな音楽を聴くことで精神的に良い影響を受けることが明らかになっています。音楽が猫に与える良い影響として、大きく2つが挙げられます。
リラックス効果
人間と同様に、猫も好きな音楽を聴くとリラックスします。ウィスコンシン大学の心理学者であるチャールズ・スノードン名誉教授は、猫のための音楽「ミャウジック」を制作し、爆発的なヒットを遂げました。
優しい心臓音や小鳥のさえずりなど、猫が和らぐ音を元に音楽が構成されています。中でも「Music For Cats」というアルバムが最も人気で、47匹の猫のうち77%が音楽に興味を示したそうです。
お留守番の時など、猫にリラックスして欲しいときに音楽を流すと、良い効果が得られるでしょう。
ストレス解消
アメリカ・ルイジアナ州立大学の研究によると、健康診断中の猫に猫専用の音楽(David Teie の「Scooter Beer‘s Aria」)を流すことで、猫のストレススコアが低下したことが明らかになりました。
病院での検査中も大人しく獣医師の指示に応じたそうです。猫の心拍数に近い穏やかなメロディーと高音により、猫のストレスを解消したと考えられます。
動物病院は猫にとって強いストレスを感じる場所です。音楽を上手に活用することで、猫に負荷をかけずに病院に連れて行けます。他にも来客時などストレスがかかりやすいタイミングで活用するのも効果的です。
猫に音楽を聴かせる時の注意点
猫の生活に上手に音楽を取り入れると、リラックス効果やストレス解消の効果が得られます。しかし音楽の聴かせ方を間違えると、むしろ逆効果です。以下では猫に音楽を聴かせる時の注意点をご紹介します。
無理やり聴かせない
猫に無理やり音楽を聴かせることは避けてください。音楽の好き嫌いは猫の個体により異なります。嫌がることを続けると、猫にとって強いストレスになります。
猫をスピーカーの前に連れて行くようなことはせずに、生活の中で自然に聴かせてあげましょう。猫の表情や耳の動きを観察して、好きそうであればそのまま聴かせ、嫌そうであればすぐに音楽を消してください。
猫の状態をよく見ながら、音楽を取り入れましょう。
音量を上げすぎない
猫の前で大音量の音楽を流してはいけません。猫は人間の8倍も耳が良いといわれているため、大音量だと猫が驚いてしまいます。
猫が好きな音楽だとしても、音量が大きいとストレスを感じます。人間にとって少し小さい位の音量で流してあげるとちょうど良いです。嫌がる素振りを見せたら、まずは音量を下げて様子を見ましょう。
音楽以外で猫をリラックスさせるためには
ヒーリング効果の音楽を聴かせることは猫にリラックス効果を与えられますが、音楽を聴かせる以外にもリラックス効果を与えることができます。
猫にリラックスして快適に過ごしてもらうためにも、音楽以外にできることについて解説します。
飼い主様の心音を聞かせる
飼い主様の心音は猫にとって心地のいい音であるといえるでしょう。飼い主様にとって愛猫が大切な家族であるのと同じように、猫にとって飼い主様は大切な存在です。
一緒に過ごしているうちに猫との間で信頼関係が築かれていき、飼い主様の匂いや音は猫にとってリラックス効果を与えます。なかでも、抱っこしてもらったときに飼い主様から聞こえる心音は、一定のリズムを刻んでいて愛猫にとっては心地のいい音と感じるでしょう。
マッサージする
飼い主様になでられることが好きな猫は、マッサージを心地よく感じる子もいるでしょう。人間のように力を入れて揉みほぐす必要はなく、毛並みに沿ってなでてあげるだけでも猫に大きなリラックス効果を与えられます。
人間と猫は骨格が異なるため、マッサージしにくい場合は猫用ブラシなどを利用してみると良いでしょう。
しかし、猫によってはマッサージを嫌がったり痛がったりする猫もいるため注意が必要です。マッサージしてみて心地よさそうな表情や喉笛を鳴らしている場合は、継続的にマッサージしてあげましょう。
快適な環境を整える
猫にリラックスしてもらうためには、快適な環境を整えることが重要です。猫の生活空間を見直して、より過ごしやすくしてあげましょう。
猫は狭いところや高いところを好む傾向にあります。そのため、家のなかでも身を隠して落ち着けるような場所をいくつか用意しておくと、猫は落ち着けるでしょう。また、キャットタワーなどを使用する際は、年齢に合わせて高さを調節すること大切です。
またたびを与える
またたびが好きな猫であれば、またたびを与えるとリラックス効果を得られる場合があります。しかし、またたびを与えると興奮して落ち着けないという猫もいるため、またたびを利用する際は愛猫の様子はよく確認しておきましょう。
猫がリラックスしているときの仕草
猫が落ち着いているときは、主に4つの仕草を見せます。猫が落ち着いているかを確認するためにも、リラックスしているときの仕草を事前に覚えておきましょう。
喉を鳴らす
猫がリラックスしているときは、ゴロゴロと喉を鳴らす仕草が見られます。ゴロゴロと喉を鳴らす音は、猫が安心感や満足感を覚えている証拠です。
特に、飼い主様が猫の頭をなでたり抱きかかえたりすると、喉笛をよく鳴らすでしょう。ゴロゴロと音を出しているときの猫は、表情が穏やかで目を細めることもよくあります。しかし、喉笛を鳴らす行為は必ずしもリラックスだけを示すわけではありません。
猫がストレスを感じていたり、体調が悪かったりするときにも見られるケースがあります。そのため、猫が音楽を聴いて喉を鳴らしている場合は、表情や行動からリラックスしているか判断しましょう。
仰向けで寝転がる
猫が仰向けで寝転がっている姿は、リラックスしている証拠です。特に、日向ぼっこの際に仰向けに寝ている様子が見られれば、猫は安心しきっているといえるでしょう。
猫にとってお腹はデリケートな部分であり、外敵から身を守るためにも通常ではお腹を隠しています。そのため、お腹を無防備に見せている様子は、周囲の環境に対する警戒心がない状態でリラックスしている状態であるといえます。
仰向けになっていると、万が一の場合に素早く逃げることや攻撃することが困難であるため、仰向けになっていることは飼い主様を信頼している証拠です。
尻尾をゆっくり動かす
猫がリラックスしているときの仕草として、尻尾をゆっくり動かすことが挙げられます。通常、猫は機嫌が悪い時や不安を感じているときは尻尾を激しく振ります。
逆に機嫌が良くリラックスしているときは、尻尾をゆっくりと動かすのです。尻尾をゆっくりと動かす仕草は、心地よさや満足感を得ている証拠です。
伸びをする
猫が大きく伸びをしている場合も、リラックスしているサインです。猫は伸びをして体をゆるめ、筋肉をほぐして心身の緊張を解きます。
伸びをすることは、体を一時的に無防備にするため、猫が周囲に対して安心している状態でしか行いません。特に、伸びをしている最中は体勢を変えられないことから、飼い主様を信頼していることがわかります。
音楽を聴きながら愛猫が伸びをしている様子が見られたら、リラックスしているといえるでしょう。
猫との暮らしに音楽を上手に取り入れましょう
今回は猫と音楽の関係について解説いたしました。猫も人間と同様に音楽を聴いています。個体により音楽の好き嫌いがあり、一般的には高音で滑らかな曲が好きです。
クラシックや女性の音楽、猫専用の音楽を取り入れることで、リラックス効果やストレス解消効果が期待できます。対して低い音や大きい音は苦手で、むしろストレスにつながるため注意が必要です。
猫との日常に音楽を上手に取り入れて、より良い暮らしを手に入れましょう。