「犬がいる部屋でアロマを使用したいけど問題ないのかな」と考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

アロマは香りを楽しめるだけでなく、リラックス効果や心と体を癒やしてくれる効果が期待できるため、アロマを利用して犬にもリラックスしてもらいたいという方も少なくないでしょう。

本記事では、犬がいる部屋でもアロマを使用できるか、またアロマの活用法・効果、おすすめの香りについても解説します。犬がいる部屋でアロマを使用したいとお考えの方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

犬がいる部屋でアロマを使用しても良い?

犬がいる部屋でアロマを使用しても良い?

犬がいる部屋でも、精油を利用した芳香浴であれば使用できます。精油とは、植物から抽出している100%天然のオイルです。

アロマオイルとして販売されているものの中には、精油をアルコールで希釈したり、合成香料を含んでいたりする商品もあります。

犬は嗅覚が人間よりも遥かに優れており、香りに対しても敏感です。そのため、アロマを利用する際は、刺激が少ない精油を選ぶようにしましょう。

犬がリラックスできるアロマの活用方法

犬がリラックスできるアロマの活用方法

犬がリラックスできるようにアロマを活用するには、犬の優れた嗅覚を刺激しないことが大切です。以下では、犬がリラックスできるアロマの活用方法について解説します。

アロマポットやアロマディフューザーを活用する

アロマの活用方法で一般的なのは、アロマポットやアロマディフューザーを使用する方法です。ポットに水を混ぜたオイルを入れて温めることで気化させ、香りを部屋に広げられます。

アロマポットにも種類があり、キャンドルで温めるものや電気で温めるものがあります。犬がいる部屋で使用する際は、火事や火傷の危険性も考えられるため、電気で温めるものがおすすめです。

オイルを使用する際は、量を1回に2〜3滴程度にして30分以内で使用を控えましょう。

アロマを利用してマッサージしてあげる

アロマを使用して愛犬をマッサージすることも効果的です。ベースオイルにお好みの香りのアロマオイルを混ぜ、愛犬の被毛や皮膚をマッサージするとリラックス効果があります。

また、香りで体臭を抑えることや防虫や防ダニにも効果が期待できるでしょう。オイルを使用する量はベースオイル10mlに2〜3滴程度です。

マッサージをしてあげると愛犬とのスキンシップにもつながり、異変にも気づきやすくなるため、おすすめのアロマ活用方法の一つです。

飼育環境の清掃にアロマを使用する

飼育環境の清掃にアロマを使用する方法もおすすめの活用方法です。アロマオイルは香りやリラックス効果だけでなく、殺菌力が高いものもあります。

アロマオイルを数滴混ぜた水を使用して、愛犬のケージやトイレなどよく利用する場所を掃除してあげると飼育環境もきれいになり、より快適に過ごせるようになるでしょう。

また、愛犬が普段利用する毛布やマットなどの洗濯に使用すれば、雑菌の繁殖防止につながります。

犬にアロマを使用して得られる効果

犬にアロマを使用して得られる3つの効果

犬にアロマを使用すればいい香りが楽しめるだけでなく、ほかにも3つの効果が得られます。以下では、犬にアロマを使用して得られる効果について解説します。

リラックス効果がある

鎮静作用や覚醒作用のあるアロマは、愛犬に香りを嗅がせることでリラックス効果があり、ストレスを和らげることができます。

アロマには、怯えや不安を落ち着かせる効果があるため、落ち着きのない犬でもアロマを使用してあげると徐々に落ち着きを取り戻せるでしょう。

ニオイ対策にもつながる

アロマは愛犬の体臭を対策する予防効果もあります。そのため、愛犬の体臭などが気になる場合に、アロマを活用すればニオイ対策にもなります。

消臭作用だけでなく抗菌作用があり、アロマで掃除すればトイレ周りなども清潔に保てるでしょう。

虫除け効果も期待できる

アロマは虫よけの効果もあります。外で飼っている場合や散歩の際に、ノミやダニなどの寄生虫が付着する恐れがあります。ノミやダニなどの寄生虫や蚊が嫌がる香りのアロマを使用すると、害虫から愛犬を守ることが可能です。

問題行動を軽減する

犬へのアロマの使用は、問題行動の軽減に効果的です。前述したように、アロマの香りにはリラックス効果があり、愛犬の気持ちを落ち着かせられます。

例えば、ラベンダーやカモミールなどのアロマを使用すれば、無駄吠えを減少させたり、攻撃性を抑えたりする効果が報告されています。

さらに、しつけの一環としてアロマを取り入れれば、ストレスを感じやすい犬や新しい環境に馴染めない犬へも効果を期待できます。愛犬の問題行動が目立っており、どうしようかお悩みの場合はアロマの利用を検討してみましょう。

痛みを緩和できる

アロマは薬ではないため直接的な痛みを改善することはできません。しかし、アロマは神経や体を落ち着かせる鎮静効果があり、痛みの緩和を期待できます。

リラックス効果が高いアロマを利用すれば、犬のストレスを軽減して痛みの感じ方を和らげる手助けが可能です。術後のケアやシニア犬の関節痛サポートとしてアロマは役に立つでしょう。

ただし、アロマを使用する際は獣医師に相談してから安全なものを選択することが重要です。

留守番時に落ち着かせられる

家でのお留守番を不安に感じている犬にもアロマが効果的です。アロマを使用すれば、留守番中のストレスを軽減し、リラックス状態を維持できます。

留守番中はアロマディフューザーを使用すれば部屋全体に香りを広げられ、専用の機械がない場合はアロマオイルを数滴垂らしたハンカチを置いておくだけでも効果的です。

また、ジンジャーやミントなどのアロマは車酔いの改善に効果が期待できます。アロマは犬の嗅覚を通して脳に働きかけ、吐き気や不快感を和らげます。アロマをうまく活用すれば、留守番中に不安を抱えている愛犬にも安心してもらえるでしょう。

胃・消化器官系トラブルを改善できる

アロマは、犬の胃・消化器官系トラブルの改善を期待できます。特に、カモミール・ローマンは、胃や消化器官を落ち着かせる効果があります。

犬の緊張を和らげる効果もあり、神経質な犬やアロマを始めて利用する犬にも最適です。また、安眠を促す効果があるため、旅行やお泊りなど、いつもとは異なる環境で落ち着かせる際にも役立ちます。

皮膚のケアができる

アロマは愛犬の皮膚ケアにも効果的です。アロマを使用してマッサージしてあげれば、かゆみや炎症を和らげて健康的な皮膚を保てます。

ただし、犬の皮膚は人間よりも敏感であるため、使用する際は事前に獣医師に相談して正しい濃度や使用方法を守ってください。使用中に異常が現れた場合は、使用を中止し、獣医師に相談するようにしましょう。

犬におすすめのアロマの香り

犬におすすめのアロマの香り

犬は人間と比べても優れた嗅覚を持つ動物のため、刺激がある匂いは避けなければいけません。 しかし、数あるアロマの種類から犬に合うアロマの香りがどれかわからないという方もいらっしゃるでしょう。以下では、犬におすすめのアロマの香りを紹介します。

真正ラベンダー

ラベンダーは、リラックス効果がある精油です。香りも甘く親しみやすい香りのため、アロマを初めて利用する方にも向いています。

ほんのり甘く柔らかい香りのため、とくにリラックスな空間を演出するにも最適です。また、香りとリラックス効果だけでなく、質の良い睡眠にもつながります。実際、愛犬のマッサージにラベンダーのアロマを使用して、睡眠の質が良くなったという例もあります。

犬にとっても睡眠は大切なため、睡眠の質向上やリラックス効果を得たい方におすすめです。

カモミール・ローマン

カモミール・ローマンには、「カモミール・ローマン」と「カモミール・ジャーマン」の2種類あります。

カモミール・ローマンは作用が穏やかなため安全性も高く、犬にも利用しやすい精油です。りんごに似た甘くフルーティな香りが特徴で、犬の不眠や鎮静にも効果的です。

ローズアブソリュート

ローズアブソリュートは優雅で甘い香りで、犬だけでなく飼い主様にもおすすめの香りです。アブソリュートとは、絶対的で完全無欠なようすを指します。精油の場合、有機溶剤を用いた香りの抽出法を「アブソリュート」といいます。

ローズの香りが好きな飼い主様に特におすすめです。

犬にNGなアロマの種類

犬にNGなアロマの種類

犬へのアロマの使用はメリットが多くありますが、アロマでも犬に使用してはいけないものがあります。以下では、犬にNGなアロマの種類を3種類紹介します。

クローブ

クローブはアロマのなかでも匂いが強い種類であるため、犬への使用は向いていません。犬は人間よりも優れた嗅覚を持っており、人間にとっては良い匂いでも犬には刺激臭として感じる可能性があります。

クローブのように刺激の強い匂いを長時間嗅ぐと、気分が悪くなったり、ストレスを感じたりして体調を崩す原因となるでしょう。

また、クローブはオイゲノールという肝毒性のある成分が含まれており、犬にとっては有害です。万が一、クローブのアロマを舐めてしまうと、健康に大きな影響を与えるため、クローブのアロマの使用は避けるようにしましょう。

オレガノ

オレガノは犬にとって刺激が強い匂いの香辛料です。オレガノはアロマにも使用されていることが多いため、アロマを使用する際は注意が必要です。

オレガノを使ったアロマオイルは皮膚に刺激が強く、マッサージをしようと犬に利用してしまうと愛犬だけでなく飼い主様も炎症を起こす可能性があります。

特に犬は皮膚が弱いため、もともと炎症がある場合は症状を悪化させてしまします。そのため、オレガノのアロマは使用を避けるだけでなく、犬が暮らす部屋には置かないようにしましょう。

柑橘系

オレンジやレモンなどの柑橘系のアロマは、人間にとっては心地よく感じますが、犬にとっては刺激が強い傾向にあります。

柑橘系のアロマの中には犬の身体に使用してから散歩をし、紫外線を当たってしまうと強い刺激を受けることがあります。そのため、皮膚が弱い犬にとっては刺激が強く、使用を避けるようにしなければいけません。

万が一、柑橘系のアロマを使用した際は、使用中や使用後すぐに紫外線を浴びないように注意しましょう。

犬にアロマを利用する際に注意すべきポイント

犬にアロマを利用する際に注意すべきポイント

犬に刺激の少ないアロマを使うことは問題ありませんが、アロマを使用する際に2つの注意点があります。注意点を知らずにアロマを使用してしまうと、愛犬に悪影響を及ぼす可能性があります。

以下では、犬にアロマを利用する際に注意すべきポイントについて解説します。

100%天然のエッセンシャルオイルを使用する

犬にアロマを使用する際は、合成香料が含まれるものは利用せず、100%天然のエッセンシャルオイルを使用しましょう。

具体的には、アロマの植物名や学術名、原産地、製造ロットが明記されているアロマを利用するといいでしょう。

犬が誤って口にしてしまったり、直接皮膚に触れたりしないように保管に気をつけなければいけません。

精油を用いるタイミングに気をつける

精油を利用する際は、タイミングに気をつけましょう。犬も人間と同じようにできごとや経験をニオイと結びつけて記憶します。

安心したときや楽しんでいるときにアロマを活用すると、香りと感情が結びついてより効果的です。逆に、恐怖やストレスを抱えているときにアロマを利用してしまうと、香りをネガティブな印象として記憶してしまいます。

そのため、アロマを利用するときは、愛犬のリラックスしているときや楽しんでいるときに使用してあげましょう。

子犬や妊娠した犬には使用を避ける

子犬や妊娠中の犬へのアロマオイルの使用は避けましょう。生後3ヶ月頃の子犬は、社会性を身につけるために他の犬との触れ合いが重要といわれています。

しかし、アロマを使用してしまうとアロマの刺激的な匂いにより、他の犬に嫌がられ、うまくコミュニケーションが取れなくなる可能性が考えられます。

また、特定のアロマオイルは子宮に刺激を与える可能性があり、妊娠中の犬にとっては危険です。そのため、子犬や妊娠中の犬への使用は避けておくようにしましょう。

無理強いしない

犬にアロマを使用する際は、無理強いはしないように気をつけましょう。愛犬がアロマオイルの匂いを嫌がっている場合は、すぐに使用を中止しましょう。

無理にアロマを使用してしまうと、愛犬にストレスを与えて体調不良を引き起こす可能性があります。犬にとってストレスなくリラックスできるような環境を保つためにも、愛犬の反応を尊重しながら使用してあげてください。

皮膚に直接使わない

犬にアロマを使用する際は、皮膚に直接使用することは避けてください。アロマは高濃度であるため、敏感な犬の皮膚に塗布すると刺激を感じる場合があります。

マッサージでアロマを使用する場合は、植物性のベースオイルで薄めてから使用するようにしましょう。また、薄めて使用する際も、目の周りや耳の中、肛門などの粘膜部分は塗布しないように注意が必要です。

上記のような粘膜部分は特に敏感であり、アロマオイルが付着するとトラブルを引き起こす原因となります。

日光を避ける

アロマを使用した後は、日光を避けるようにしましょう。柑橘系などのアロマは、紫外線に当たると刺激を与える場合があります。

柑橘系のアロマをどうしても使用したい場合は、散歩が終わってからや夕方以降に使用するようにしてください。

誤飲に気をつける

アロマを使用する際は、愛犬が誤飲しないように注意が必要です。アロマオイルは犬にとって良い効果を与えますが、誤飲してしまうと中毒症状を引き起こす可能性があります。

そのため、アロマを使用する際は犬が口にしないように、保管場所を工夫しなければいけません。

万が一、愛犬がアロマを誤飲してしまった場合は、早急に獣医に相談しましょう。使用量だけでなく、誤飲防止にも気をつけて正しくアロマを使用してあげてください。

正しくアロマを使って犬にリラックスしてもらおう

本記事では、犬とアロマの相性について解説しました。基本的に、精油を利用した芳香浴であれば同じ部屋で使用しても問題ありません。

人間の使用するアロマの中には、犬にとって刺激的すぎる場合があるため、アロマを選ぶ際は慎重に選んであげましょう。

とくに、子犬やシニア犬、妊娠中、既往症のある場合は使用できるアロマにも限りがあります。そのため、犬にアロマを利用してあげる際は、少量から使用して,慣らしていってあげてください。