「ポメラニアンって冬でも寒くなさそう」と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ポメラニアンは丸っこくてふわふわした被毛が特徴的な犬種です。被毛の量から冬の寒さに強そうと思ってしまうのも無理はないでしょう。しかし、すべてのポメラニアンが冬の寒さに強いとは限りません。
本記事では、ポメラニアンの冬の寒さ対策に適する防寒グッズや室内温度を紹介します。
目次
ポメラニアンは冬に強い?
ポメラニアンは中央西ヨーロッパに位置するドイツ原産の犬種です。ドイツのポメラニア地方を由来として「ポメラニアン」と呼ばれるようになりました。寒冷地域の出身から、ダブルコートと呼ばれる分厚い被毛を持ち冬の寒さには強い犬種とされています。
しかし、日々の環境が移り変わる現代ではポメラニアンが寒さに強いとは限りません。飼育されている場所や環境によって冬の寒さ対策が必要になります。
飼い主様は、ご自分の愛犬ポメラニアンがどのような場所や環境に置かれているのか明確に判断しておきましょう。
室内飼育の場合は寒さに弱い
ポメラニアンのなかでも、特に室内で飼育されている場合は寒さに弱い犬種です。彼らは常に1日の大半を快適な温度に保たれた室内で過ごしており、先祖が生きてきた厳しい寒さとは無縁の世界で生きています。
その結果、寒さへの耐性が本来よりも劣っており、冬の寒さ対策が必要なのです。ポメラニアンは小型犬で室内飼育が可能なため、現在では屋外よりも室内で飼っている飼い主様が多いでしょう。室内飼育だからこそ、愛犬の寒さ対策に気をつけてください。
静電気でストレス過多に
冬の乾燥により起こる静電気はポメラニアンにとって大きなストレスのひとつです。ポメラニアンの豊かな被毛が静電気の衝撃を受けて抜け毛やフケなどを引き起こします。
また、静電気の衝撃を飼い主様に叩かれたと勘違いする場合もあるのです。静電気はブラッシングでも起こることがあります。ポメラニアンがストレス過多にならないように、ブラッシングの際は静電気防止対策を取るのが好ましいでしょう。
寒暖差は大敵
室内で飼育されているポメラニアンは、散歩のときの急激な寒暖差で体調を崩す場合があります。他の犬よりも小さな体型をしているため、寒暖差によるダメージを大きく受けやすいのです。
また、ブラッシング不足により防寒に十分な量の換毛ができていない場合もあります。余計な被毛を取り除き、冬毛に換毛できるようにしてあげてください。留守番をさせる時も室内気温や留守番時間を確認し、室内を適温に設定しましょう。
ポメラニアンが寒がっている7つのサイン
ポメラニアンが寒がっている際には、主に7つのサインを見せます。見逃しやすいサインもあるため、冬が訪れたときからポメラニアンの様子を注意して見守るようにしてください。
散歩に行くのを拒む
外が寒いと身体で分かるようになると、ポメラニアンは散歩に行くのを拒むようになります。人間が寒くなると暖かい部屋やこたつから出たくないように、犬も心地よい環境から出たくないのです。
しかし、なかには冬の寒さによって既に体調不良になっている場合もあります。下痢などの症状が出ていないか確かめてください。
いつも以上に人のそばにいる
いつも以上に誰かのそばにいたがる場合も寒さにより暖を取りたい可能性があります。もちろん、飼い主様への愛情からそばにいたがることが普通です。
ただし、いつも以上にそばにいたがる場合は何かストレスを感じていると考えるのが妥当でしょう。冬の寒さが厳しいときは寒がっているサインです。
寝る時間が長い
寝る時間が長いことも冬の寒さと関連しています。犬の平均睡眠時間は12〜15時間ですが、それ以上寝ている場合は寒がっている証拠です。
「冬の暗い時間は体を休ませる」という脳の仕組みが働き、普段より多く睡眠をとります。また、飼い主様の生活リズムにも影響されますが、冬により起きる時間が遅くなることも影響しているでしょう。
動きが鈍い
普段より動きが鈍くなった場合も寒がっているサインのひとつです。寒いため動くことが億劫であり、室内でもエアコンが効いている部屋から出ないことがあります。
しかし、寒さ以外にも関節炎などの病気で動きが鈍い可能性もあるでしょう。あまりにも動かない場合は病院に行き、獣医師に診てもらってください。
身体が小刻みに震えている
身体が小刻みに震えている場合は、筋肉を震わせて体温を上げようとしている証拠です。人間が寒いときに身体全体を震わせるのと同じで犬も寒いときは身体を震わせます。しかし、恐怖などのストレス要因から震えている場合があることも忘れないでください。
「躾が厳しすぎないか」「(他の犬を飼っている場合)別の犬との関係は大丈夫か」など、気温以外の理由も探る必要があります。
水を飲まない
水をあまり飲まないことも寒がっているサインのひとつです。水を飲むと身体が冷えるため飲まなくなります。
寒さを感じている時は水分消費が少ないため、脱水症になりやすいです。温かいスープなどを飲ませて脱水にならないよう注意してください。
小さく丸まって動かない
ポメラニアンが小さく丸まって動かない状態は、身体を寒さから守っている証拠になります。身体の面積を小さくして体温を奪われないようにしているのです。
自分のハウスやベッドは安心できる場所でもあるので、そこで小さく丸まって動かない場合が多いです。ハウスから出てこないときは、どんな体勢でいるかを確かめてあげてください。
ポメラニアンにできる3つの寒さ対策
ポメラニアンに暖かく過ごしてもらうためには、主に3つの寒さ対策があります。気温の変化は毎日のことであるため、忘れることがないように気をつけましょう。
室内温度を適温に保つ
室内で飼育している方は、室内温度を適温に保ちましょう。愛犬にとって快適な気温は約20〜25度です。エアコンの暖房機能をフル活用してください。
ただし、直接エアコンの風が当たるのは乾燥につながり良くありません。風が直接当たらないように機能設定をしてください。また、エアコン以外の暖房器具にはガードなどを取り付けて安全対策を怠らないようにしましょう。
ペット専用の防寒グッズを活用する
現在ではペットの防寒グッズも豊富です。ペット専用の暖かい洋服や足を保護するブーツ、ネックウォーマーなどを活用して散歩しましょう。寒い日でも散歩は必要です。「寒そうだから」と散歩を全くしない日が続かないよう気をつけてください。
冬は外の散歩を短めにして室内での運動を多くすると良いです。そして、移動の際は寒暖差をあまり感じないように犬用の冬服を着せて靴も履かせてあげましょう。
ハウスに暖房グッズを使用する
愛犬が一番落ち着くハウスを快適に暖かくする方法も良いです。ハウスに毛布や湯たんぽなどの暖房グッズを使用してみましょう。ペットヒーターなど加熱性のものを使う場合は、低温やけどに気をつけて使用してください。
冬のポメラニアンへの洋服の選び方
ポメラニアンは寒い地域で生まれた犬種であり、ダブルコートの被毛を持つことから、比較的寒さに強い傾向にあります。しかし、日本で人気なカットスタイルは、寒さから体を守るには毛量が少ないのです。
そのため、冬の寒さからポメラニアンを守ってあげるためには、洋服で温度調整してあげる必要があります。以下では、冬のポメラニアンへの洋服の選び方について解説します。
動きやすい服を選ぶ
冬のポメラニアンに洋服を着せてあげる際は、伸縮性があって動きやすい服を選んであげましょう。ポメラニアンは元気で走り回る子も多いため、動きが制限されてしまうとストレスを感じさせる可能性があります。
散歩に行くときでも歩いたり走ったりすることは多いため、足元や腰回りにゆとりがあり、締め付けがない服を選んであげましょう。サイズが小さい服を着せてしまうと、洋服がねじれて窮屈に感じさせる可能性もあります。
そのため、ぴったりのサイズよりも少しゆとりがある洋服を選ぶと良いでしょう。
天然素材の生地を選ぶ
冬場にポメラニアンに洋服を着せる場合は、天然素材の生地を選びましょう。
冬場に犬に洋服を着せる際は、洋服と毛の摩擦により静電気が発生することがあります。犬は静電気のバチバチした音や痛みが苦手です。そのため、静電気が頻発すると犬は洋服に嫌な印象を抱いてしまいます。
特にポリエステルなどの化学繊維は静電気が生じるため、静電気が起こりにくい天然素材の生地で洋服を選んであげてください。
冬のポメラニアンに暖房を使用する際の注意点
冬場、ポメラニアンに暖かく過ごしてもらうためには、暖房を使用しようとお考えの飼い主様もいらっしゃるでしょう。しかし、暖房を使用する際は5つの注意点があります。
トラブルを避けるためにも、以下では各注意点について解説します。
設定温度に注意する
冬場に暖房を使用する際は、ポメラニアンにとって最適な室温を保ってあげましょう。ポメラニアンが快適に過ごせる室温は23度〜26度前後です。そのため、冬場は毎日の気温に合わせて暖房を使用してあげてください。
また、寒がっている際に自分で暖を取れるように、毛布やベッドを用意してあげるのも効果的です。
低温やけどに気をつける
暖房器具やヒーターを利用する際は、ポメラニアンが低温やけどを起こさないように気をつけましょう。
暖房器具の近くで休んでいたり、眠ってしまったり、熱が近い状態が続くと低温やけどを起こすことがあります。ペットヒーターはペットのために温度が比較的低く保たれていますが、同じ部位を温め続けると低温やけどを引き起こします。
そのため、愛犬が暖房器具の近くで休んでいる場合は、やけどしないように器具からペットを遠ざけるようにしてください。
乾燥に注意する
ポメラニアンのために暖房をつけて部屋を温めるのは良いですが、乾燥対策を行うことも重要です。特に冬場は乾燥しており、皮膚が乾燥したり肉球のひび割れを起こしたりするため、乾燥対策をしてあげてください。犬にとって快適な湿度は40〜60%程度です。
乾燥が続いてしまうと鼻や喉が乾き、最近やウイルスに対する免疫力が低下していきます。乾燥は病気のリスクも高めるため、加湿器を利用して湿度を保ってあげてください。
火事に注意する
ポメラニアンを留守番させる際に暖房器具を使用する場合は、火事に注意しましょう。暖房器具をつけっぱなしで犬にお留守番させてしまうと、愛犬が火傷したり、ぶつかった衝撃で暖房器具が倒れて引火したりする可能性があります。
また、コンセントをかじってしまうと感電する可能性もあるため、注意しなければいけません。長時間、愛犬を留守番させる際は、エアコンや床暖房以外の暖房器具は電源を切り、湯たんぽや毛布など安全性が高いものを用意してあげてください。
温かい体を冷やせる場所を確保する
暖かい部屋でずっと過ごしていると、最初は快適でも徐々に厚く感じる場合があります。人にとって過ごしやすい温度である26度は、犬にとっては寒く感じます。長時間暖房の効いた部屋で過ごしていると、犬の体が熱くなりすぎて危険です。
そのため、犬が暑さを感じたら自ら移動できるように、熱がこない涼しい場所を確保しておきましょう。また、部屋の扉や窓を少し開けておくだけでも効果的です。
暑さにより脱水症状を起こさないためにも、新鮮な飲水も常に用意してあげるとより良いでしょう。
冬場のポメラニアンに注意したいこと
冬場でもポメラニアンに快適に過ごしてもらうために、防寒対策を行う飼い主様は多くいます。冬場のポメラニアンに心地よく過ごしてもらうためには、以下のポイントに注意しましょう。
暖かい洋服に気をつける
寒さ対策のためにポメラニアンに洋服を着せることもありますが、あたたかすぎる洋服には注意が必要です。
ダブルコートであるポメラニアンは、洋服を着用すると通気性が悪くなり、汗で蒸れてしまうことで皮膚トラブルを引き起こす可能性があります。特に、すでに暖かい部屋で洋服を着せる場合は、熱中症を引き起こすリスクもあるため注意してください。
寒暖差に注意する
冬場は暖かい家と寒さが厳しい外では、寒暖差が大きくなります。特に高齢のポメラニアンや関節がかたいポメラニアンは、急激な寒さを感じると体がかたまって、足腰に負担をかける可能性があるでしょう。
また、暖かい室内から寒い屋外にでると、急激な寒暖差により体に負担を与えるヒートショックを引き起こすリスクがあります。
急激な寒暖差を感じさせないためにも、外に出る前に外の気温に近い玄関で遊んでおいたり、洋服を着せたりしてから散歩にいきましょう。
こたつの危険性を理解する
冬場になるとこたつを準備し、愛犬と一緒に温まる方もいらっしゃるでしょう。こたつは暖かく犬にとっても居心地がいい場所ですが、頭から潜ってしまうのは危険です。
頭から潜っていることに気づかずそのまま放置してしまうと、低温やけどや脱水、また炭を使った掘りごたつの場合は一酸化炭素中毒を引き起こす可能性があります。冬場にこたつを利用する場合は、愛犬の行動をよく監視しておきましょう。
アスファルトに注意する
真冬のアスファルトにも注意が必要です。雪の降った日や凍った道路を散歩する場合、ポメラニアンの肉球に大きなダメージを与えます。
ポメラニアンは寒さに強いですが、肉球が寒さに強いわけではありません。肉球で道を歩くのは、人間が裸足で歩くのと同じ感覚です。
そのため、肉球にダメージを与えないためにも日が出ている時間に散歩するか、犬用シューズを履かせるなどして寒さ対策を行いましょう。
ポメラニアンが冬を楽しく過ごせるよう工夫を凝らそう
本記事では、ポメラニアンの冬に必要な寒さ対策を解説しました。被毛が多いポメラニアンは寒さに強いと思われがちです。しかし、昔と今ではありとあらゆる環境の違いがあります。
室内飼育はもちろんのことペットカフェなど、屋内で快適に過ごすことが多くなってきたのです。そのせいで冬の寒さに耐えきれないポメラニアンが出てきました。特に子犬やシニア犬の場合は、身体が弱いのでより注意が必要です。
ポメラニアンの普段の様子をよく確認しながら、防寒対策や適切な室内温度管理をしてください。