「愛犬や愛猫のふとした行動で老いを感じた」という方もいらっしゃるでしょう。動物も人間と同じように、老化に伴い日常の行動に不便を感じます。
そのためペットが高齢になった場合、ペットのためのバリアフリーを検討してみましょう。本記事では、ペットのバリアフリーを検討するタイミングや、具体的なバリアフリー例について紹介します。
また、バリアフリー以外のペットの快適な環境作りなども記載しているため、ぜひ最後までご覧ください。
ペットが高齢になった場合、お別れのときに冷静な判断をするためにも、生前の終活をすることが大切です。
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目次
ペットのバリアフリーとは
バリアフリーとは、障害のある人や高齢者などが、社会生活において不便を感じることなく、自由に移動したり活動したりできるよう、物理的な障壁を取り除くことです。
身の回りでは、点字ブロックや手すりなど、多くのバリアフリーが施されています。たとえば、階段は健常者にとって不便なものではありませんが、車椅子の方や足の不自由な方、体力が落ちてきた年配の方には不便です。
階段をスロープにし、みんなが使いやすくすることこそがバリアフリーといえるでしょう。また、人間同様にペットも病気や加齢で日常に不便を感じるケースがあります。
動物だから大丈夫というわけではなく、不便やストレスを与える障害はできる範囲で排除してあげたほうがよいでしょう。
ペットが高齢化すると起こる変化
ペットも人間と同じように、年を重ねるにつれて身体に変化が現れます。老化によりペットの行動に変化が現れた場合は病気の可能性が考えられます。
そのため、歳のせいだと決めつけて放置するのではなく、かかりつけの動物病院で診てもらう必要があるでしょう。以下では、ペットが高齢化することによる変化について解説します。
足腰が弱くなる
動物が年をとると、徐々に筋肉量が落ちていき、衰えていきます。踏ん張る力も衰えてしまうため、フローリングのように滑りやすい場所をうまく歩けなくなったり、転倒して怪我をしたりするリスクが高まります。
また、関節炎や椎間板ヘルニアなどの病気により、動いたときに痛みが現れるため、歩くことがよりつらくなるでしょう。
目が見えづらくなる
ペットが年を取ってしまうと、老化や白内障などの病気により、視力が低下してしまいます。
目が見えづらくなっている場合、通り道の障害物に気づかずにぶつかってしまったり、壁や家具などにぶつかって怪我してしまったりする可能性が高まります。
また、目が見えにくいにもかかわらず、家具の配置を変えてしまうと怪我の原因になるため注意が必要です。
気圧や気温の変化に敏感になる
年老いたペットは体温調節機能が衰えてしまい、暑さや寒さに弱くなってしまいます。夏は熱中症になったり、冬は体が冷えやすく風を引いてしまったりします。
気温の変化により体調を崩すことも多いため、若い頃は体調に影響しなかった気温や気圧でも弱ってしまうことがあるでしょう。
とくに梅雨の時期や台風の時期は、気圧の変化が激しいため注意して様子を見守ってあげてください。
ペットのバリアフリー検討するタイミング
ペットの加齢に対するバリアフリーは、どのタイミングで検討するのか判断が難しいかもしれません。しかし、ペットの行動の変化に注目してみると検討する目安がわかるものです。
バリアフリーを検討する目安となる行動を参考に、当てはまる項目がないかチェックしてみてください。
家具や壁にぶつかるようになった
犬は人間と比較すると焦点を合わせることが元々得意ではなく、視力があまりよくありません。老犬になるとさらに視力が低下し、家具や壁にぶつかりやすくなります。
また、老化に伴い視力だけではなく聴覚や嗅覚も鈍くなるため、空間を察知できなくなります。壁や家具の角が鋭利だと、ぶつかっただけでもかなり痛いですし、勢いよくぶつかってしまうと出血したり、目をケガしたりする可能性があるでしょう。
さらに、家具の場所をむやみに動かしてしまうと、隙間に挟まり身動きが取れなくなってしまうケースもあるため、注意が必要です。
ボーっと立ったままが増えた
犬がボーっと立ったままの時間が増えたり、猫があまり動かなくなったりした場合は、病気や老いが関係しています。足のケガを確認し何もなかったのなら、寝たきりになる直前の症状かもしれません。
目立った足のケガはないものの、老化により足の筋肉力が低下しているサインです。老化のサインが見られた場合は、ラクな体制にしてあげ、ストレスがかからない程度の散歩に連れて行ってあげましょう。
床・段差・階段で思うように行動できなくなった
ペットにとってツルツルのフローリングは、ケガのリスクが高まるためあまりよくありません。とくに足腰が弱ってきた老犬や老猫にとっては滑りやすく、さらに危険です。
また、小さな段差でもつまずいたり、若いころだったら軽快に駆け上がっていた階段に登れなくなった場合も足腰が弱っていたり、視力が低下しているサインのため、バリアフリーを検討しましょう。
階段においては、登れたとしても踏み外して転落し、大けがをしてしまう可能性もあり非常に危険です。
トイレの失敗が増えた
ペットは環境変化によるストレスや、飼い主様が傍にいない不安からトイレを失敗することがあります。
しかし、気になる環境の変化もなく、飼い主様とペットとの距離も通常通りなのに、トイレの失敗が増えた場合は、老いによりトイレの距離に間に合わず失敗しているかもしれません。
また、認知症を発症し、トイレの場所を忘れているケースもあるため、トイレの位置を近くに動かしても失敗するようでしたら、動物病院へ連れていくことも検討しましょう。
留守番中に起こりやすいペットの怪我
ペットが年を取ると、留守番中に怪我や事故をおこすリスクが高まります。とくに、飼い主様がいない間は事故が多く、ペットの健康に影響する場合があるため注意が必要です。
以下では、留守番中に起こりやすいペットの怪我について解説します。
家具の隙間に入って出られなくなる
高齢のペットは、家具の隙間やクローゼットの中に入ってしまったら、出られなくなる可能性があります。
年老いたペットは安心感を得るために、狭い場所に隠れようとすることがあります。隙間に入って出られなくなってしまったら、パニックに陥ったり、食べ物や水を補給できない時間が続いて脱水症状を起こしたり、低血糖になったりするかもしれません。
隙間に入って出られなくなることを防ぐためには、家具の隙間を塞いでおき、クローゼットの扉は事前に閉めておくようにしてください。また、ペットに安心感を与えるために、ベッドやクレートを与えるといいでしょう。
ソファーや階段から転落する
ペットの足腰が弱くなってしまうと、ソファーや階段から転落して怪我をしてしまうリスクが高まります。
ソファーや階段から転落してしまうと、骨折や脳震盪などの重症につながることも考えられるため、すぐに動物病院で診てもらう必要があります。
ソファーや階段からの転落を防ぐためには、ソファーから降りるときに滑って落ちないように、ドファーの下にマットを敷いて対策することが重要です。
熱中症になる
高齢のペットは、気温や気圧の変化が敏感になるため、熱中症になりやすいです。熱中症になってしまうと体温が上昇し、呼吸困難や脱水症状などの危険な症状が現れてしまう危険性が高まります。
熱中症にならないためには、室温を適切に調節して、エアコンや扇風機などの冷房器具を使用してください。また、水分補給ができるように、常に水が飲めるように水飲み場を設置しておきましょう。
体が冷えてしまう
高齢のペットは、体温調節能力が低下してしまうため、身体が冷えてしまいます。身体が冷えてしまうと関節痛や筋肉痛などがある場合は痛みが伴い、風邪や肺炎などの病気にもかかりやすくなるでしょう。
高齢化したペットが冷えないようにするためにも、室温を適切に調節できるように暖房器具や湿度計などの温度管理用具を見て適温に調節してください。
また、暖房器具を使用してもペットの身体が冷えている場合、毛布やベッドなど体温を高くできる道具を準備しましょう。
冷える時間帯はできるだけお留守番させないように、飼い主様の帰宅時間や外出時間についても注意してください。
ペットの具体的なバリアフリー例
続いて、ペットの加齢による影響や住居での不便を見つけた場合の具体的なバリアフリー例を紹介します。
高齢なペットが快適に過ごせるようにするためにも、バリアフリーを取り入れることが重要です。
住居をリフォームする大掛かりな工事ではない、ペットのためのバリアフリーをぜひ実践してみてください。
フローリングにタオルマットやコルクマットを敷く
ペットが足腰の筋肉量の低下によりフローリングで滑ってしまう場合は、タオルマットやコルクマット・カーペットを敷いてあげることで、ケガのリスクを減らすことができます。
おすすめはコルクマットで、爪にも引っ掛かりにくいですし、トイレを失敗したときの後処理も簡単に済みます。
また、タオルマットも防水タイプだと汚れやトイレの失敗にも安心です。衛生面を考えてフローリングに何も敷きたくない場合は、ペット用の滑り止めワックスを塗ることもおすすめです。
段差にステップやスロープを設置
ソファーや少しの段差対策には、ステップやスロープの設置がおすすめです。ペットにとって上り下りは、足腰が弱ってきたペットだけでなく、ダックスフンドなどの足の短い犬種にとっても体の負担やケガのリスクが高まります。
ペット用スロープ・ステップ商品の中には、角度が調節可能なものや、柔らかい素材でできた階段タイプがあります。
しかし、多くの商品がソファーやベッドへの固定ができないタイプのため、床面に滑り止めを施すなどの工夫をしたほうが良いでしょう。
ドアストッパーを設置
ペットと一緒に暮らしていると、飼い主様がドアを閉めようとしたタイミングで外に出ようとする場面に遭遇したことがありませんか。
ドアの挟まりをなくすためには、ドアストッパーを設置し危険を回避しましょう。また、ペット用のドアもありますが、ペットがドアを通過している途中に、飼い主様やご家族が気づかずドアを開閉してしまうと、挟まってしまうため注意が必要です。
ドアそのものに近づけさせたくない場合は、ドアに行けないように飛び越えられない高さの柵を設置すると良いでしょう。
トイレはペットが使いやすい位置に置く
匂いや衛生面の問題でペットのトイレを人が集まる場所から離して置いているご家庭は多いでしょう。
しかし、老犬や老猫は一定の場所に留まっているため、トイレまで距離があると失敗する可能性も高まります。老化によるトイレ対策は、ペットのよくいる場所から5~10歩の距離にトイレを置いてあげましょう。
また、トイレの場所を増やすことも失敗のリスクを減らすおすすめの方法です。認知症を患っていたり、空間認知能力が低下していたりするペットには、トイレの位置を頻繁に変えないことも大切です。
角・出っ張りにはクッションとなるものを施す
空間認知能力が低下してきたペットのために、家具や壁の角や出っ張りでケガをしないようにクッションやタオルなどの緩衝材を施してあげましょう。
おすすめなのはフローリング滑り対策にも使える、タイルカーペットです。タイルカーペットはカッターで簡単にカットすることが可能で、適切な大きさを危険箇所に張れます。また、汚れにも強いため取り扱いも簡単です。
バリアフリー以外の快適な環境作り
続いて、バリアフリー以外のペットのための快適な環境作りを紹介します。
老犬や老猫はあまり動かなくなり、その場にとどまることが多いため、よくいる場所はできるだけ環境を合わせてあげましょう。
湿度・室温のこまめな調整
あまり身動きを取らなくなるペットのために、湿度や室温のこまめな調節は必須です。暑い、寒いと感じていても、意思表示をせず、居場所を変えないこともあるため、飼い主様が気づいて快適な環境作りをしてあげましょう。
犬にとっての快適な温度は25度、湿度は50%といわれています。また、猫の快適な温度は20~25度、湿度は50~60%です。適度な温度と湿度を保つためには、エアコンや加湿器、除湿機などを使用して管理してください。
加湿器がない場合は、濡れたタオルを部屋においておくだけでも効果的です。
光の調整
ペットの快適な環境作りに欠かせないのが、光の調整です。犬猫は夜行性の動物なため、夜遅くまで電気がついている場合、ずっと昼が続く感覚に陥ります。
ペットの体内時間を狂わせないためにも、夜遅い時間まで照明をつけるのは控えましょう。また、猫は暗視能力が優れており、人間の6分の1の光があれば生活できます。
その為、蛍光灯やLEDの照明だけでなく、日差しや西日の配慮もしてあげなければいけません。
清潔に保つ
ペットが高齢になった場合、今まで以上に室内を清潔に掃除しておくことが重要です。とくに心臓病や気管支疾患などの持病があり、咳が出やすいペットの場合は、ホコリを吸い込んでしまわないように定期的に掃除してください。
また、ペットの視力が低下してしまった場合、怪我をしないようにペットの通り道に物を置かないように片付けてあげることが重要です。
持病以外に老犬になると皮膚や毛のトラブルを防ぐためにも、定期的な掃除を心がけてください。定期的に掃除することで、感染症や皮膚病などの治療や予防にもつながります。
食事環境を見直す
ペットが高齢になってしまった際は、食事環境を見直してください。ペットの老化が進むと歯や歯茎が弱くなり、食欲が低下してしまうでしょう。
また、老化により筋力が衰えてしまうと食事する体勢をとることも困難です。年齢に合わせて食事の量や質に気をつけてペットフードを選ぶことで、栄養バランスの良い食事を摂取できるでしょう。
また、歯が弱いペットのために、食事に水分を含ませて柔らかくすると、食欲も戻ってくる可能性があります。ペットが食事しやすいように食器の高さや角度も調整してあげてください。
お留守番カメラを設置する
高齢なペットをお留守番させる場合、体調や怪我がないか不安になる飼い主様もいらっしゃるでしょう。留守番の間でもペットの様子を確認できるように、部屋にお留守番カメラを設置してみてください。
ペットが暮らす部屋にカメラを設置すると、外出中や家事の間でも離れた場所でペットを見守れます。とくに、留守番の間は定期的にカメラでペットの様子を確認してください。
高齢のペットは不安を感じることが増えて心の病気を発症する可能性があります。そのため、カメラでペットの様子がおかしいと感じた場合、すぐに獣医師に相談するようにしてください。
大切なペットのためにバリアフリーを施し快適な環境を作ろう
今回は、ペットのためのバリアフリーについて紹介しました。老犬や老猫は若いころと比較すると、日常生活に不便が生じしやすいため、飼い主様がバリアフリー対策などを施して配慮してあげてください。