「猫が間食に草を食べているけど問題はないのか心配」と不安に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
猫が草を食べていると本当に食べてもいいのか不安になってしまいますよね。
本記事では、猫が草を食べる理由について解説します。
猫が草を食べる際の注意点についても解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
猫が草を食べる理由
猫が好んで食べる草を「猫草」といい、代表的なものとしては燕麦やエノコログサなどのイネ科の植物が挙げられます。
猫は肉食動物のため、このような植物を食べたとしても消化されず、そのまま排出されてしまいます。
それでは、なぜ猫は草を食べるのでしょうか。
以下では、猫が草を食べる理由について解説します。
毛玉を吐くため
猫が草を食べる理由は、胃に溜まった毛玉を吐き出すためといわれています。
猫は毛づくろいをする際に、自分の毛を一緒に飲み込んでしまい、飲み込んだ毛は消化されることなく胃に溜まってしまいます。
一般的に、胃に溜まった毛はそのまま排泄されたり、吐き出したりするため、あまり問題はありません。
しかし、自然に吐き出すことができず、胃や腸で詰まる可能性があります。
飲み込んだ毛が胃や腸の中で溜まってしまうと腸閉塞を起こすことがあるため、猫は溜まった毛を吐き出そうとします。
そのため、細長く尖った葉を食べることで猫の胃を刺激して、毛玉が猫の体内に貯まる前に吐き出すために草を食べているのです。
便秘を防ぐため
猫が草を食べる理由として、便秘を解消するためともいわれています。
猫は犬と比べても肉食の動物で、食物繊維が不足しがちです。
さらに、猫の体は肉を消化しやすいため、便秘になりやすい傾向にあります。
また、草を食べても上手く消化することができず、消化しづらい草が胃や腸を刺激することで、便通を良くします。
そのため、猫は便秘を感じたら本能的に草を摂取して、胃腸をスッキリさせているのかもしれません。
不安に感じているから
日々感じているストレスにより、草を食べていることもあります。
人間でもストレスを感じたら、ついつい食べてしまうことがありますよね。
猫も同様に、ストレスを解消するために草を摂取し、不安を解消しているのかもしれません。
猫が芝生や観葉植物を噛んでいる、また家族から隠れようとしたり、攻撃したりなどのストレスを感じているサインがあれば、医師に相談しましょう。
食感が好きだから
ただ草を食べることが好き、食感が好きだから草を食べているということもあります。
しかし、草ばかり食べていると、嘔吐や便秘になる可能性があるため、与えすぎには気をつけましょう。
猫草を食べることで期待できる効果
猫草を与えると3つの効果が期待できます。
以下では、猫草を食べることで得られる3つの効果について解説します。
毛球症の予防
猫がグルーミングする際、毛も同時に飲み込んでしまい、飲み込んだ毛は毛玉として吐き出すか、便として排出されます。
しかし、稀に飲み込んだ毛が胃の中で固まって、上手く排出できずに毛球症を引き起こすことがあります。
毛球症とは、飲み込んだ毛を排出できず、胃や腸のなかで大きな球状になる状態です。
巨大化した毛玉は嘔吐や排出が困難となり、何度も嘔吐したり、食欲不振になったり、便秘やお腹が膨らむなどの症状が見られます。
毛球症は腸閉塞や窒息につながる可能性もあり、外科手術が必要となるケースもあるでしょう。
猫草を食べると尖った葉により、胃の粘膜が刺激されて毛玉を吐き出しやすくすることが可能です。
結果、毛をうまく排出でき、毛球症予防につながるといわれています。
便秘予防
猫は肉食動物のため、食物繊維をあまり摂取せず、便秘気味になる傾向にあります。
便秘とは、腸内で便が溜まり、排出できない状態です。
排便の頻度や量は猫により差がありますが、一般的に丸2日以上排便が見られない場合は便秘である可能性が高いといわれています。
また、排便はあっても、1日に何度も排便したり、便の切れが悪かったりする場合も便秘であるかもしれません。
便秘気味な猫にも猫草は有効的で、胃と腸を刺激することから便秘予防や解消の効果が期待できます。
ストレス解消
猫により、普段の食事の食感とは異なることから、ストレス解消になる場合があります。
猫が好んで草を食べている場合は、危険な草は避けて安全性の高い猫草を与えるようにしましょう。
猫に草を与えるときの注意点
愛猫が草を食べるのが好きだからといって、草ばかり与えていると悪影響を及ぼす可能性があります。
愛猫に猫草を食べさせたい場合は、以下のポイントに気をつけましょう。
猫に与えてはいけない野菜や植物を理解する
猫に草を与える際は、猫に危険な野菜や植物を理解しておきましょう。
人間にとって野菜や植物は健康ですが、猫にとっては害になる場合があります。
具体的に猫にとって危険な野菜は、ネギ・玉ねぎ・にんにく・ニラなどです。
危険な野菜を食べてしまうと、血液中の赤血球が壊れて溶血性貧血を起こし、最悪の場合、死に至る可能性があります。
また、ナス・トマト・じゃがいもなどは触れるだけでも皮膚炎や結膜炎を引き起こし、食べると嘔吐や下痢、腹痛、呼吸困難を発症してしまいます。
危険な食べ物を与えると悲しい結果を引き起こす可能性もあるため、事前に与えても良いかどうかを確認しておきましょう。
子猫や老猫には与えない
子猫や老猫には草を与えないようにしましょう。
子猫や老猫は胃腸が丈夫でないため、与えてしまうと刺激が強すぎる、または上手く消化できない場合があります。
そのため、猫に草を与える場合は、胃腸器官が整っている1歳以上からが良いでしょう。
また、老猫に猫草を与える場合は、まず医師に相談してから問題ないかを確認したうえで与えるようにしてください。
食べすぎないように気をつける
猫に草を与えても問題ありませんが、食べすぎないように注意しましょう。
元気な猫でも、猫草を食べすぎてしまうと、嘔吐や下痢など病気につながる可能性があります。
また、胃腸にも負担がかかるため、体が弱っているときや下痢を引き起こしている場合は、草を与えないようにしましょう。
猫草は必ず与えないといけない?
普段しっかり餌を与えていても、猫草は必要なのか気になる方もいらっしゃるでしょう。
以下では、猫草を与える必要性があるかどうかについて解説します。
興味がなければ与えなくてもいい
猫が草に興味がなければ、猫草を与える必要はありません。
また、草は猫にとっての嗜好品であるため、とくに与える必要はないです。
猫の健康維持のために必要なものは、基本的にキャットフードに含まれています。
そのため、猫草を別で与えなくても、猫は健康を維持できます。
猫草を一度与えてみて、興味がなさそうであれば、猫草を与えなくても問題ありません。
子猫に猫草は与えない
子猫は消化器官が発達していないため、草を与えないようにしましょう。
下痢やお腹を下す原因となるため、1歳前後の成猫になるまでは猫草を与えないように気をつけてください。
お腹を下している猫には与えない
猫がお腹を下している場合も、猫草を与えないようにしましょう。
草は猫にとって刺激物になるため、よりお腹を下して悪化する可能性があります。
普段猫草が好きな猫でも、お腹の調子が治るまでは猫草を与えないようにしましょう。
猫に与えてはいけない草の種類
上記でも述べたとおり、猫には与えてはいけない草があります。
猫が食べたり、樹液に触れたりするだけでも有害で、危険な症状を引き起こすこともあるでしょう。以下では、猫に与えてはいけない草の種類について解説します。
ユリ科の植物
ユリ科の植物は花が大きく、大きく甘い香りが特徴ですが、猫にとっては猛毒の植物です。
観葉植物として人気であることから、自宅でユリ科の植物を育てている方も多くいらっしゃいますが、水差しにユリをいけている場合は水にも注意が必要です。
ユリに与えた水を猫が誤って摂取した場合、肝臓への毒性から急性腎障害を引き起こして死に至ることがあります。そのため、猫が触れられる場所にユリは置かないようにしてください。
サトイモ科の植物
サトイモ科の植物は、葉が大きくきれいな緑が特徴です。
しかし、サトイモ科の植物には葉や茎に「シュウ酸カルシウム」が多く含まれており、猫が食べると口腔内に刺さって炎症を引き起こし、嘔吐する可能性があります。
そのため、猫がいる室内には置かないように気をつけてください。
ドラセナ
ドラセナは、人気の観葉植物の一つですが、葉に強い毒があります。
猫が誤ってドラセナを口に含むと、嘔吐や下痢、手足の腫れ、麻痺を引き起こしかねません。最悪の場合は死に至るため、ドラセナは猫のいる部屋に飾らないようにしてください。
多肉植物
アロエやサボテンなどの多肉植物も猫には危険な植物です。
アロエの皮や葉にはバーバロインという成分が含まれており、口にすると下痢や腎炎を発症します。
また、サボテンのようなトゲが多い植物が多いため、猫が触れたり口に入れたりすると、猫の体が傷ついてしまうでしょう。
ケガや病気を発症させないためにも、多肉植物には気をつけてください。
食べてはいけない猫草を食べた場合の対処法
猫が食べてはいけない植物を誤飲・誤食した場合、飼い主様は適切に対処する必要があります。
以下では、食べてはいけない種類の植物を食べた場合の対処法について解説します。
すぐに動物病院に連れて行く
有毒な草を愛猫が食べてしまった場合、自宅でできる応急処置はありません。誤飲したとわかったら、また誤飲の疑いがある場合は、すぐに動物病院へ連れて行ってください。
動物病院を受診する際は、なんの植物をどれくらい食べたか、いつ頃に食べたか、またどのような症状がいつから出ているかをメモしておくと、スムーズに診察が受けられます。
胃の中に植物がある場合の対応
食べてはいけない植物を誤飲した場合や、猫の胃の中に植物がある場合は薬を投与して吐かせる処置が行われます。
1回の投与で終わる場合もありますが、猫がなかなか吐かない場合は、繰り返して治療が行われることもあります。
植物が吸収された場合の対応
植物が胃の中で吸収され、症状がとくに現れていない場合は経過観察になります。
また、症状が現れている場合、症状に合わせて治療が行われます。症状により対処法は異なるため、まずは動物病院を受診してください。
猫草の選び方
猫の健康のためにも猫草を取り入れようとお考えの飼い主様もいらっしゃるでしょう。しかし、猫草には種類がたくさんあり、どれを与えようか迷ってしまいますよね。
以下では、猫草の選び方について解説します。
猫の好みの種類を選ぶ
猫草には種類があり、猫の好みも個体差がありますが、日本で有名な猫草は、「えん麦」です。
えん麦はイネ科の植物で、他の穀物より食物繊維が豊富であり、血糖値上昇とインシュリン分泌を穏やかにさせる効果があります。
また、麦以外にも、牧草のチモシーやイタリアンライグラスなどを猫草として与えても問題ありません。
猫草により味や食感は異なるため、まずは猫に与えてみて猫が気に入ったものを与えると良いでしょう。
土の種類から選ぶ
猫草は観葉植物のように室内に置いておくと、猫が自分の好きなタイミングで食べます。そのため、猫が土を触ったり、プランターを倒してしまったりする可能性もあります。
猫が土で部屋を汚してしまわないようにするためにも、飛び散りにくい土が採用されている猫草の栽培キットを選ぶと良いでしょう。
土は可燃ごみとして捨てられるものもあるため、片付けの際もスムーズに行えます。猫草を購入する際に迷っている方は、土の種類から選んでみましょう。
無農薬かどうか確かめる
大切な家族である猫に猫草を与える際は、できるだけ健康で体に優しい無農薬の猫草を選んであげましょう。
発芽している猫草は無農薬である可能性が高く、事前に調べておくことが重要です。猫草として販売されているものでも、病気にかかりやすいイネ科は農薬が使用されていることがあります。そのため、購入時は、無農薬種子かを確認しておきましょう。
発芽率の高さで選ぶ
種を買っても、発芽しなければ猫草を与えることはできません。そのため、猫草の栽培キットを選ぶ際は、発芽率の高さを確認しましょう。
猫草を確実に育てるためにも、発芽率が高いものを購入しておくと、猫にも喜んでもらえます。
発芽率は、商品のレビューや口コミを参考にしてみると良いでしょう。
猫に草を与える際は適切なものを選ぼう
本記事では、猫が草を食べる理由や注意点について解説しました。
猫は、毛玉を吐くためや便秘予防、ストレス解消などを理由に草を食べます。
しかし、猫は肉食動物のため、草を上手く消化することはできません。
そのため、猫が草を好きで食べている場合でも、与えすぎてしまうとお腹を下す可能性があるため要注意です。