「猫をお迎えする前や、実際に一緒に暮らすためにはどのようなことに気をつければ良いのか。」と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、猫を飼い始めてから後悔しないために、事前に確認すべきことを解説します。
実際に猫との生活を送る際に気をつけるべきことや、すでに猫と暮らしていて2匹目の猫をお迎えすることを検討している飼い主様が考慮すべき点などもお伝えするため、参考にしてみてください。
目次
猫を飼う前にチェックすべきこと
猫を飼い始める前には、飼い主様やご家族が猫と暮らすことができるかどうかを慎重に検討する必要があります。ここでは具体的なチェック項目をお伝えします。
家族にアレルギーがないか
猫へのアレルギーを持つ人は少なくありません。ご自身やご家族が、すでに猫へのアレルギーを持っているかどうかは、病院でアレルギー検査を受けるとわかります。一度検査を受けると良いでしょう。
しかし、猫と生活したことのない方がアレルギー検査を受けてアレルギーがないと診断されても、実際に一緒に暮らし始めることでアレルギーが発症してしまうこともあります。
アレルギーが発症したからと言って必ずしも猫との生活ができないわけではありません。猫を飼い始める前には、ご自身やご家族がすでにアレルギーを持っているかどうか、また飼い始めてからアレルギーを発症したらどうすべきか含めて調べておきましょう。
猫を飼える環境か
現在の住居環境で、ペット飼育が可能か確認しましょう。もしもペット禁止の集合住宅などであれば、猫を飼うことはできません。違反した場合、強制的に退居せざるを得なくなったり、修繕費などの費用が多額にかかったりする可能性があります。
一軒家やペット飼育可能な住宅であれば安心です。環境を整えてから猫をお迎えする準備をはじめましょう。
近所に迷惑をかけないか
ペット飼育が可能な住居環境でも、トラブルが全くないわけではありません。猫の場合、糞や尿の臭いが強いことや、車などを引っかいてしまうこと、鳴き声などによってご近所に迷惑がかかる可能性もあります。
また、近隣に猫嫌いの方がお住まいになっている場合もトラブルに発展しやすいです。事前にご近所の情報をしっかりとリサーチし、猫の飼育を検討していることを伝えておくと良いでしょう。
終生面倒をみられるか
猫の平均寿命はおおよそ15年です。お迎えの前にはご自身やご家族の年齢、健康状態などをしっかりと検討する必要があります。猫も高齢になると、動物病院への通院回数が増えたり、介護が必要になったりと手がかかるかもしれません。
今だけでなく、10年後くらいのご自身やご家族の健康状態、ライフステージを想定して猫が寿命をまっとうするまで愛情を持って育てられるかどうかを考えましょう。
必要費用を理解したか
猫と生活するためには、想像以上に費用がかかります。必要な費用は以下のとおりです。
- ごはんやおやつなどの食費
- ペットシーツやお世話用品などの消耗品
- ワクチン代
- 医療費
- シャンプー・トリミング代
特に高齢になると医療費がかさむことも多く、猫に必要な生涯の経費は100万円以上になるとも言われています。必要費用を支払うことができるかどうかも冷静に検討すると良いでしょう。
猫を飼うために必要なものを以下で詳しく説明していきます。
猫を飼うために必要なもの
新しく猫を迎えるときは、ベッドやトイレ、食器などの日用品を揃える必要がありす。猫を飼うとどのようなものが必要なのか確認しておきましょう。
キャットフード
猫の食事は、猫用に作られたキャットフードを与えるのが安心です。人間の食事は塩分や糖分が多く、猫にとって危険な食材が含まれている場合があるためです。
キャットフードには、主に以下の3種類があります。
種類 | 内容 |
---|---|
総合栄養食 | 猫に必要な栄養素をすべて含んでいるため、毎日の食事におすすめ |
療法食 | 病気をケアするために栄養が調整された食事 |
間食 | おやつでしつけのごほうびやコミュニケーションなどに役立つ |
猫の健康を守るためには、猫に合ったキャットフードを選ぶことが大切です。
日用品
猫を飼う前に、日用品を揃えておく必要があります。猫を迎えるまでに準備しておきたい日用品には、以下のものがあります。
- ゲージ
- トイレと猫砂
- 食器(フード用と水用)
- キャリーバッグ
- ベッド
- 爪とぎグッズ
- ブラシ
上記の日用品は、猫の快適な生活のために必要不可欠です。猫を迎える前に、事前に準備しておきましょう。
遊具
猫が退屈しないために、おもちゃや遊具を用意しましょう。例えば、猫は高い場所での遊びが好きなため、キャットタワーがおすすめです。
室内飼いの猫は運動不足になりやすいため、キャットタワーがあると運動不足解消にも役立ちます。猫と遊ぶことは、猫とのコミュニケーションにもなります。毎日数分でも、猫と遊ぶ時間を作ってあげましょう。
トリミング代
猫のトリミング費用は、店によって大きく異なります。
ペットショップや動物病院でのトリミングは、シャンプーだけでも5,000円程度かかります。しかし、猫によっては知らない人に体を触られることを嫌がり、ストレスを感じる場合もあります。
病院代
猫が病気や怪我で動物病院にかかると、高額な治療費がかかる可能性があります。人間のように公的な健康保険制度がないため、医療費は全額自己負担です。
猫は腎・泌尿器系の病気にかかりやすい傾向があり、将来的に高額な治療費が必要になることも考えられます。さまざまな保険があるため、比較しながら猫に合ったものを選びましょう。
また、ワクチンも必須です。感染症にかかってしまい、重症化すると命に関わることもあるため、ワクチン接種で予防しましょう。初めてのワクチンは、生後6〜8週齢から始めるのが一般的です。詳しい接種スケジュールは医師に確認し、数回追加接種をしましょう。
猫を飼ってから気をつけること
以下では、実際に猫との生活をはじめたら気をつけるべきことを解説します。
迷子札を付ける
猫は思わぬ隙間からお外へ脱走してしまうことが多い動物です。いざという時のために迷子札を付けておくと良いでしょう。
2022年の6月以降にペットショップやブリーダーからお迎えした猫には必ずマイクロチップが入っています。マイクロチップの入っていない猫をお迎えした場合は、動物病院でマイクロチップを入れてもらうことも検討しましょう。
飼育環境を整える
猫と暮らすためには、お部屋の環境が猫にとって適切であるかどうかが重要です。猫がしっかりと動き回れるスペースを確保しましょう。室内は20~28度を保つ必要があります。
トイレの設置や、抜け毛をすぐに掃除できる環境であることも大切です。以下のものは猫にとって有害なため使用を控えましょう。
- 消臭剤
- 殺虫剤
- タバコ
- 観葉植物
- アロマオイル
しつけをする
猫のしつけは犬とは少し異なり、猫にして欲しくないことをさせないための環境づくりが一番大切です。たとえば、猫は本能的にティッシュをまき散らすなどのいたずらが大好きです。
しつけでコントロールしようとすると、猫にとっても飼い主様にとっても大きなストレスになるため、猫に触って欲しくないものは手が届かない場所に置きましょう。
猫はトイレの失敗が少ない動物ですが、前の排泄物が残っている場合や、トイレ自体の場所が気に入らないと粗相することもあるため、猫が排泄したらすぐに片付けましょう。
健康管理をする
猫の健康管理のためには、以下の観察が大切です。よく確認しましょう。
- 日々の食事量や食べ方
- 排泄量や排泄回数
- 排泄物の様子
- 歩き方や動き方
- 機嫌
猫は胃腸炎などの消化器系のトラブルや、膀胱炎や腎不全などの尿路系の疾患にかかりやすいと言えます。猫がかかりやすい病気やそれぞれの症状を事前に把握し、気になることがあれば動物病院を受診しましょう。
去勢・不妊手術を検討する
不妊手術にはメリットとデメリットがありますが、一般的には、繁殖を希望しない場合は手術を選択する飼い主様が多いと言えるでしょう。
猫の性成熟は思っている以上に早く、まだ子猫だと思っていたらいつのまにか妊娠していたということもあるため、生後6ヵ月をめどに検討すると良いでしょう。
ワクチン接種をする
ワクチン接種をしてもすべての病気を予防できるわけではありません。ワクチンで予防できる主な感染症は以下のとおりです。
- 猫ウイルス性鼻気管炎
- 猫カリシウイルス感染症
- 猫汎白血球減少症
- 猫クラミジア感染症
- 猫白血病ウイルス感染症
- 猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)
完全室内飼いの場合も、飼い主様がお外の猫と触れ合って感染する可能性がゼロではありません。また、ペットホテルやトリミングサロンなどはワクチン接種をしていないと受け入れてもらえないことも多いため、ワクチン接種をしておく方が良いでしょう。
爪とぎの場所を覚えてもらう
猫を迎えたらいち早く、爪とぎの位置を教えてあげましょう。猫は本能的に爪とぎをするため、事前に対策しておけば、室内を傷つけられるリスクを減らせます。爪とぎは猫がよく過ごしていて、安定感のある場所に設置しましょう。
爪とぎの場所を覚えるまでは、家具や壁などにはカバーをかけたり、猫を近づけさせない工夫をしたり、対策を考えましょう。
毛並みケアを行う
猫には、ブラッシングが好きな子と嫌いな子がいます。必要に応じてケアの回数を調整しましょう。
猫にとってブラッシングはストレスになる場合もあるため、無理強いせず、少しずつ慣れさせていくことが大切です。
もし、毛並みのケアを怠ると猫は毛づくろいをする際に毛を飲み込んでしまいます。井の中に溜まった毛は定期的に吐き出しますが、こまめにブラッシングをすることで毛玉の形成を抑制し、吐き出す頻度を減らせます。猫にとっても飼い主様にとってもメリットがあります。
怪我や病気をした時の対応
室内飼いの猫でも、高い場所から落下して捻挫や骨折をすることがあります。歩き方がいつもと違ったり、動きたがらなかったりする場合は骨折の可能性もあるため、動物病院でレントゲン撮影などの相談をしましょう。
また、猫がかかりやすい病気には「慢性腎臓病」「膀胱炎」などがあります。慢性腎臓病の場合、尿の色が薄くなります。普段から尿をチェックしておくと、病気の早期発見につながります。
膀胱炎になると、尿の匂いや色がいつもと違ったり、排尿時に痛そうに鳴いたりします。上記で説明した観察事項を参考に、猫の変化を見極めて、動物病院に連れて行きましょう。
2匹目の猫を迎える際に気をつけること
すでに猫と生活している飼い主様の中には、猫をもう一匹お迎えしたいと考えている方も多いでしょう。猫の多頭飼いの際に気を付けるべきポイントについてお伝えします。
猫同士が快適に過ごせるスペースを準備する
猫は自分自身のパーソナルスペースがあるため、室内にある程度の広さが必要です。また、部屋の数自体も猫の頭数+もう一部屋の余裕を持つと良いでしょう。ワンルームで多頭飼いなどは、猫にとっても飼い主様にとってもお勧めできる環境ではありません。
食器はそれぞれ必要
食事用の食器、水飲みの食器は猫それぞれに必要です。食器の共有は喧嘩の原因になったり、弱い子がなかなか食べられずに栄養不足になったりなどの問題を引き起こします。水飲みは、最低でも猫の頭数分用意しましょう。
トイレは猫の数より1つ多く設置する
猫は他の猫とトイレを共有したがりません。必ず猫の頭数分のトイレが必要です。さらにもう1つ多く設置しておくと猫にとって快適です。
猫の触りすぎには注意
つい猫が可愛くて触りすぎてしまうこともあるかもしれません。しかし、猫に触りすぎると、嫌がり、以下の行動をとってしまいます。猫に嫌われないためにも確認しておきましょう。
触りすぎて逃げてしまう
猫は、不安を感じると逃げて隠れる習性があります。新しい環境や苦手な人に対しては、特に警戒心が強くなります。
猫が安心できるためには、猫が身を隠せる場所を作ってあげることが大切です。
耳が後ろに倒れるのは怖がっているから
猫が耳を後ろにして身を引きながら鳴く行為は、多くの人が威嚇だと勘違いしますが、実はほとんどの場合、恐怖の表れです。警告でもあるため、猫を刺激せず、距離を置くことが大切です。
事前準備をしっかり行い猫との暮らしを楽しみましょう
猫との暮らしは、可愛らしい行動や仕草に癒されるだけでなく、猫のためにお掃除やお片づけをこまめに行うなど生活面でのメリットも多いと言えます。
しかし、住居環境や費用、ご自身やご家族の健康やライフステージなどを考慮しないと、猫にとっても飼い主様自身にとっても問題が発生する可能性があります。猫をお迎えする際には、今回の記事も参考に、ぜひ事前準備をしっかり行いましょう。