スコティッシュフォールドと暮らす飼い主様は「家族の一員である愛猫に長生きしてもらいたい」と考えることが多いでしょう。長生きのためには、平均寿命や長生きにつながる飼い方を把握するとともに、かかりやすい病気についても理解しておくことが大切です。

今回の記事では、スコティッシュフォールドの特徴や寿命について解説し、長生きにつながる飼い方のポイントやかかりやすい病気などについてお伝えします。

スコティッシュフォールドの特徴と平均寿命

スコティッシュフォールドの特徴と平均寿命

スコティッシュフォールドと言えば、愛らしい丸い顔と独特の折れ耳が特徴ですね。体長約60cm、体重約3~6㎏と猫としては平均的なサイズで、しつけのしやすいおっとりした性格をしています。

スコティッシュフォールドの平均寿命は、およそ10年~13年ほどと言われています。一般的な猫の平均寿命は15歳前後ですので、スコティッシュフォールドは比較的寿命が短い傾向にあると言えるでしょう。

スコティッシュフォールドの寿命が短めなのは、予防しにくい遺伝性の病気にかかりやすく、体も弱い傾向にあることが要因だとされています。しかし、体調や環境に気を付けながら飼育を行なうことで、長生きしてもらうことも不可能ではありません。

スコティッシュフォールドの長生きにつながる飼い方の5つのポイント

スコティッシュフォールドの長生きにつながる飼い方の5つのポイント

スコティッシュフォールドの長生きのためには、食事や環境などさまざまな点に注意が必要です。ここでは、長生きにつながる5つのポイントをそれぞれ詳しく解説します。

おもに室内で飼うこと

猫の寿命については、完全室内飼いの猫の方が、外に出る猫よりも長生きである傾向があることがわかっています。完全室内飼いでは感染症や他の猫との闘争、交通事故などのリスクが少ないからです。特に、スコティッシュフォールドは猫のなかでも室内飼育を想定されて品種改良された猫です。室内で飼うことが重要だと言えるでしょう。

室内飼育では、エアコンなどの利用で快適な温度や湿度を保つこと、キャットタワーの設置で運動不足とストレス解消を促すこと、トイレの環境整備など、スコティッシュフォールドがストレスなく過ごせる工夫が大切です。

意識的に食事を管理すること

スコティッシュフォールドはおとなしい性格で、激しく動き回ることは少ないです。そのため、運動不足からの肥満になりやすい傾向があります。肥満は猫の長生きにとって大敵です。関節や心臓への負担に加え、さまざまな病気を発症する確率を高める恐れもあるからです。

肥満を防ぐためには、理想体重を維持するための食事量を守ることが大切です。おやつのあげすぎや、歯磨きガムなどのカロリーにも気をつけましょう。併せて、新鮮できれいな水をいつでも飲めるようにするのが重要です。人間の食べ物は肥満の原因になるだけでなく、猫に中毒を引き起こすこともあるため、与えてはいけません。

適度な運動をさせること

適度な運動をさせること

スコティッシュフォールドはそれほど積極的に運動をしない猫です。しかし、好奇心が強く好きな遊びには熱中するタイプです。スコティッシュフォールドが遊びに夢中になってくれるように、猫の狩猟本能を満たせるよう適度な運動を取り入れると良いでしょう。

例えば、おもちゃなどを素早く目の前で動かし、スコティッシュフォールドが疑似的に狩りを体験できる遊びなどがおすすめです。猫にとっての遊びは、運動不足の解消だけでなく、飼い主様に構ってもらえる満足感やストレス発散にもつながるのです。

避妊・去勢手術を行なうこと

スコティッシュフォールドを飼う場合は、たとえ1匹だけであっても必ず避妊・去勢手術を行なうようにしましょう。発情は体力を奪い、気力を低下させる恐れがあるためです。発情や望まない妊娠を避けるだけでなく、避妊・去勢手術を行なうことで雌の子宮や乳腺、雄の精巣や前立腺など生殖器系の疾患も予防できます。

かかりつけの動物病院を見つけ、定期的に健康診断を受けること

信頼できるかりつけの動物病院を見つけておけば、万が一の体調不良の際にも安心して治療を受けることができます。特に、かかりつけの病院で定期的に健康診断を受けることが重要です。病気の早期発見をすることで「知らない間に進行していた」という事態を避けることができるでしょう。

さらに、日常的に動物病院側とコミュニケーションを取ることで、愛猫のことを知ってもらい、飼い主様としても納得できる説明を受けることができる病院かどうかを見極めることができると言えます。かかりつけの病院の休診日やセカンドオピニオンにも対応できるよう、いざという時に頼れそうな病院を予めいくつかピックアップしておくのも良いでしょう。

スコティッシュフォールドに長生きしてもらううえで注意すべき5つの病気

スコティッシュフォールドに長生きしてもらううえで注意すべき5つの病気

長生きのためには、上でお伝えした5つのポイントに加えて、万が一の際にすぐに対応できるように、かかりやすい病気を把握しておくことも大切です。ここでは、スコティッシュフォールドの代表的な病気を5つご紹介します。

肥大型心筋症

肥大型心筋症は、心臓の左心室の心筋が進行性に肥大する疾患です。心臓が硬くなったり伸縮性が低下するため、血液の循環に障害が生じ、他の臓器にも影響が出たり、血栓ができやすくなります。肥大型心筋症は、初期では無症状なことが多いですが、進行するにつれて運動を嫌がる、咳や呼吸困難などの症状が出ます。血栓が詰まると後ろ足の麻痺が生じることもあります。

原因は遺伝で、根本的な治療はありません。できるだけ早期に発見し、病気の進行を遅らせることが大切です。

多発性嚢胞腎

多発性嚢胞腎は、腎臓に「嚢胞」と呼ばれる液体が入った袋が複形成される病気です。嚢胞の数や大きさが増加すると共に正常な組織が減り、腎臓の機能が徐々に低下します。病気が進むにつれて多飲多尿、口臭、体重減少、嘔吐などが目立つようになります。

多発性嚢胞腎の発症には遺伝が関与します。完全に予防することはできませんが、普段から腎臓ケアを考慮して、塩分や脂肪分の高い食事は避けるなどの食事管理を心掛けることが大切です。

遺伝性の骨形成異常症

骨形成異常は、骨に「骨瘤」と呼ばれる骨の塊(コブ)が形成され、関節を動かせなくなり痛みが出る病気です。異常が発生するのは手首や足首、指の骨などが顕著です。進行と共に、動きたがらない、歩き方が不自然、関節が固く膨らむ、関節に痛みが生じるなどの症状が見らます。

発症には遺伝が関係していて、折れ耳タイプのスコティッシュフォールドでは100%発症すると言われています。生後3ヵ月~2年程度の間に発症し、根本的な治療方法はありません。生活の質の維持のために、早い段階で痛みの緩和などの対処が必要です。

尿路結石

尿路結石は、腎臓、尿管、膀胱、尿道といった尿路のどこかに結晶や結石ができる病気です。結晶や結石が尿路を傷つけたり、どこかに詰まってしまったりすることもあります。スコティッシュフォールドやアメリカンショートヘア、ヒマラヤンなどの純血種が好発品種で、遺伝の関連も指摘されています。

尿路結石の症状は、排尿痛や頻尿などです。普段から猫の排尿の様子をよく観察し、異常がみられたらすぐに動物病院を受診しましょう。

外耳炎

外耳炎とは、細菌感染や耳ダニ、異物混入やアレルギーなどが原因となって、耳の入り口から鼓膜までに炎症が起こる病気です。スコティッシュフォールドは折れ耳のため、通気性が悪い、汚れが溜まりやすいなどの理由で好発品種だと言えます。外耳炎になると、強いかゆみを伴うことが多く、猫が頻繁に耳を掻きます。耳から悪臭がしたり、耳垢が汚くなくなったりすることもあります。

外耳炎は、軽度であれば比較的治療が簡単です。また、動物病院での耳掃除などで発症リスクを落とすことができるため、定期的に耳のチェックを行うと良いでしょう。

特徴をよく知って長生きを目指そう

今回の記事では、スコティッシュフォールドの特徴や寿命、長生きのためのポイントやかかりやすい病気についてお伝えしました。スコティッシュフォールドには遺伝が関与する病気が多い特徴があります。予防が難しいため、早期発見・早期治療が重要だと言えるでしょう。スコティッシュフォールドをお迎えしたら、定期的な健康診断を欠かさずに、動物病院と上手に連携することで長生きを目ざしましょう。