「うさぎの腫瘍は全て重大な病気」と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

大好きなペットのうさぎは家族の一員。家族にとって大きな存在ですが、時に健康問題も抱えます。中でも腫瘍は飼い主様にとって大きな心配の種となる病気の一つです。

本記事では、うさぎの腫瘍についての基本知識や手術費用、そして余命や良い最期の過ごし方をご案内いたします。

うさぎの腫瘍は重い病気?

腫瘍とは細胞が異常増殖した病気です。無秩序に細胞がどんどん増殖し、悪影響を及ぼすものを悪性腫瘍(がん)と、増殖の速さが比較的緩やかで、まわりにもあまり悪影響をおよぼさない良性腫瘍とに分類されます。

良性であればすぐに健康に問題が生じるものではありません。悪性腫瘍の場合は、早期発見と早期治療が重要です。

腫瘍の種類

うさぎによくある腫瘍とその特徴をみてみましょう。

皮下腫瘍

うさぎの体をさわって、皮膚にしこりを見つけた場合は、皮下腫瘍の可能性があります。皮下腫瘍は、うさぎの皮膚の下にできる腫瘍で、触診で分かることが多いため、日ごろのスキンシップで少しでも違和感を覚えた際は、獣医師に相談しましょう。

成長速度は比較的遅めですが、早期発見・治療が望ましいとされています。

精巣腫瘍

雄のうさぎにみられる腫瘍で、40匹に1匹の確率で発生します。

うさぎの精巣腫瘍は、良性が95%以上であり、手術で取り除かずとも天寿を全うできるうさぎも多い、という専門家の意見もあります。

ただ、良性でも肥大化すると引きずり、うさぎが掻いたり、嚙んだりすることもあるため、様子を見ながら獣医師と相談し、手術も検討しましょう。

乳腺腫瘍

乳腺の腫れとして現れる雌のうさぎ特有の病気です。早期発見が難しく、うさぎの場合は圧倒的に悪性が多いとされています。悪性の場合は乳腺癌となり、肺やリンパ節に転移することもあります。乳腺が腫れて乳房にしこりが見られます。

腫瘍が大きくなったり、自分で気にしてかじったり、床にこすったりすると皮膚が破れて潰れ、潰瘍となることも。他の乳腺の病気と同じように卵巣からの性ホルモンが原因と考えられ、避妊手術をすることで予防できるとされています。

年齢などにより手術での摘出が困難な場合は、サプリメントで転移の進行を遅らせるという措置もあります。

うさぎの腫瘍に気付くヒント

腫瘍は外見や行動から気付くことができます。食欲不振、元気がない、ブラッシングやシャンプーで触った時のしこり感など。

毎日のうさぎの様子を観察し、普段と異なる様子や変化に敏感であることが、腫瘍の早期発見には大切です。日記をつけることも細かなサインに気付きやすくなるためおすすめです。

またかかりつけの病院を見つけておき、定期検診に通う・獣医師の考え方を理解する・夜間の急変に備え緊急時にどこまで対応してくれるかを確認しておきましょう。

うさぎの腫瘍を手術する料金

5〜10万円程度が目安で、早期発見と治療が経済的にも大切です。

腫瘍の種類摘出価格目安
皮下腫瘍5万円~10万円
精巣腫瘍4万5千円~7万円
乳腺腫瘍5万円~10万円

腫瘍の治療費は種類・大きさ・病院により異なります。詳細項目や内訳は、病院ごとで異なるため詳細を確認しましょう。

うさぎが腫瘍を患う原因

腫瘍を患う原因は以下になります。

  • 先天性
  • 老化
  • 寄生虫
  • ウィルスの感染

免疫力を下げないような環境を整えたり、病院での定期的な健康診断を受けたりするほか、毎日のスキンシップと細かな観察で、異変にすぐに気付けるようにしましょう。

うさぎの腫瘍を予防する方法

うさぎの腫瘍を予防する方法

大切な家族の一員であるうさぎが、元気で長生きするために飼い主様としてできる限りのことをしてあげたいですよね。以下では、うさぎの腫瘍を予防する方法を紹介いたします。

今すぐできるものもあるため、ぜひ参考にしてください。

ストレスのない環境を作る

うさぎは本能的に警戒心が強く、飼育環境の変化に影響を受けやすいため、ストレスの少ない環境を作ることが大切です。ケージや遊ぶ場所を清潔に保つことや、うさぎが過ごしやすい温度湿度にしてあげることもストレス軽減になるでしょう。また、栄養バランスのよい餌、新鮮な水を与えることもポイントです。

飼い主様には気にならないことでも、うさぎにとってはストレスと感じることもあります。変化に気づけるよう日々の様子をチェックするようにしましょう。

避妊手術や去勢手術をする

避妊手術や去勢手術は、子宮頸がんや精巣がんの予防につながります。特にメスのうさぎは子宮や卵巣に病気が生じやすいため効果的です。手術時期は、メスは生後5-6ヶ月頃、オスは生後4-6ヶ月頃行うのが一般的です。

しかし、避妊去勢はうさぎにとってストレスが大きいだけでなく、手術自体にもリスクがあります。事前に手術の方法やリスクについて獣医師とよく話し合い、十分にメリットとリスクを把握した上で決断しましょう。

触ってしこりがないか頻繁に確認する

うさぎは高齢になるにつれて皮膚がんのリスクが高まります。皮膚がんの場合はしこりで気づきやすいため、飼い主様が飼っているうさぎの全身にしこりがないか頻繁に触って確認することが大切です。お腹側は気づきにくいため特に意識すると良いでしょう。

しかしうさぎは警戒心が強いため、無理やり触わると逃げようとして怪我をする可能性があります。うさぎの機嫌を見ながら、嫌がられないよう注意して触ってください。

うさぎのがんを早期発見するには

早期にがんを発見することができれば、うさぎと飼い主様の過ごし方や治療の選択肢が広がります。より長く一緒に過ごすためにも早期発見は大切ですがどうしたら良いでしょうか。以下では、具体的な方法について説明いたします。

基本的に初期症状はない

がんの初期症状は種類により異なりますが、基本的に症状が現れないことが多く、がんが進行してから症状が現れます。うさぎは生まれ持っている防衛本能として病気を隠す習性があるため、多少の事では弱っている様子を見せません。

がんなどの病気をできるだけ早期に発見するためにも、飼い主様が普段からうさぎの食事量や遊んでいる様子を注意深く観察し、少しでも気になることがあれば、すぐに獣医師へ相談するようにしましょう。

腫瘍ができたサイン

前述した通り、がんの初期症状はわかりづらいですが、初期の段階で発見することが望ましいため、腫瘍のサインがあった場合は絶対に見逃さないようにしましょう。

例えば皮下腫瘍は、皮膚がぽっこりと腫れてきます。触わるだけでなく見た目でもわかるのが特徴です。しこりの表面が脱毛している、ジュクジュクして皮膚がやぶけた状態になっていることもあります。

精巣腫瘍の場合は、精巣の片方または両方が腫れてきます。片側のみが腫れると反対側が萎縮するため、大きさに差が出てきます。乳腺腫瘍は、お腹側の乳腺にしこりができるのが初期の兆候です。乳腺嚢胞が進行し乳腺腫瘍になることもあるため注意が必要です。

上記のような腫瘍ができたサインを発見した場合は、速やかに動物病院で検査しましょう。

定期的な健康診断に行く

うさぎの健康を維持するためには、定期的に健康診断を受けることが大切です。もしも病気が見つかった場合、発見が早ければ手遅れになる前に治療可能です。

日頃から一番身近にいる飼い主様だからこそ、いつもと違う様子や体調の変化に気が付けます。健康診断以外にも飼い主様が違和感を覚えた際は、病院受診することをおすすめします。

うさぎの腫瘍が悪性だった場合

うさぎの腫瘍が悪性だった場合

悪性腫瘍の診断は、飼い主様にとって非常にショックなできごとです。

しかし、大切な家族であるうさぎと良い時間を過ごすためにも、冷静な対応と適切な手続きが重要です。まずは獣医師に確認をとり、変化する心の動きをどう受け入れるかを見ていきましょう。

まずは落ち着いて獣医師さんに確認

悪性と診断された場合、まずは獣医師と詳しい状態や治療方法について相談しましょう。悪性であっても早期発見ならば治療の幅も広がります。そして獣医師の意見をもとに、うさぎとの最良の過ごし方を考えることが大切です。

セカンドオピニオンをする場合は、かかりつけ獣医師と同意をし、他の獣医師の意見を求めましょう。それまでにどんな検査や治療を受けたのか、病状は改善したのか変化しなかったのかなど大切な情報はこれまでの獣医師しか持っていません。

発覚してからの心の動きと受け入れ方

腫瘍に気付いたとき、手術が必要だと分かったとき、余命がわずかだと分かったときのショックは大きなものです。冷静に対応する必要がありますが、悲しいのは当然のことです。

感情は封じ込めず、悲しさを十分に感じて表現してください。周囲の信頼できる友人やカウンセラーに話を聞いてもらうのもひとつの手段です。

愛するうさぎと良いお別れをするためにも、悲しみを感じきり、残された時間でできることを最大限にしましょう。

うさぎのがんの治療方法

うさぎのがんの治療方法

うさぎが、がんになってしまった場合、飼い主様とうさぎのお互いにとって最適と思う方法を選択することが大切です。以下では、がんの治療方法を説明いたします。治療法はうさぎの状態により異なるため、獣医師ともよく相談して決定するようにしましょう。

痛み止めや点滴で応急処置

すでに痛みや体調不良を訴えている場合、応急処置を優先することが重要です。うさぎの応急処置は、点滴を使用して栄養を与える方法が一般的です。

腫瘍摘出の手術をする

腫瘍の摘出が可能であれば手術も選択肢の1つです。手術を選択した際は、ご家族様との十分な話し合いと獣医師への相談が重要となります。手術には一定のリスクが伴うため、ご家族間で治療方針に違いが生じないようにしておくことが大切です。

また、手術はうさぎにとってストレスとなるため、事前に獣医師に手術内容やリスク、予後を確認し納得したうえで受けるようにしましょう。手術をした後も長期的ケアが必要になる場合を想定して、経済面や時間的にもケアが可能か検討することをおすすめします。

抗がん剤治療

手術以外にも抗がん剤治療という方法もあります。抗がん剤治療は、注射や内服により薬を全身に巡らせることで、がん細胞の増殖や転移を防ぐ方法です。一方で、薬が全身に作用することにより副作用のリスクも伴います。

副作用により体調不良が起こる可能性も十分にあります。抗がん剤治療を受けた際は、うさぎに体調の変化はないか注意深く観察することが必要です。今の状態で抗がん剤治療が適切か獣医師に相談し、抗がん剤治療を行うか決定しましょう。

お別れの準備

うさぎは人間より寿命が短く、いつか必ずお別れの日がやってきます。

生前からうさぎを取り巻く快適な環境と心の準備をしておくことが大切です。腫瘍に気付いてからの余命と、お別れまでの良い時間の過ごし方を見ていきましょう。

腫瘍に気づいてからの余命

腫瘍の種類や進行度により異なりますが、手術をして天寿を全うできる場合もあれば、悪性の場合、数ヶ月〜1年程度の余命となることもあります。

呼吸困難や、食事・排泄ができないなど、うさぎが苦しんでいる場合には安楽死もひとつの手段です。獣医師と相談し、家族全員で話し合って最善の選択をとっていきましょう。

最期の良い時間を過ごすために

これまでと変わらない愛をうさぎが感じられるように接していきましょう。うさぎは、変化を好まない生き物です。動揺は伝わりやすいため、日常生活を送りながら、うさぎの好きな食べ物や遊びを取り入れ、快適な生活を心がけましょう。

構ってアピールには最優先でこたえるなど、飼い主の愛情を感じさせる時間を増やしましょう。

うさぎの終活準備

余命を受け止めたっぷりの愛情を注ぎつつも、慌てずに最期をむかえられるよう、事前に準備をしておきましょう。

臨終が近づいたときにどこまで措置を行うのか獣医師と話し合う、どこで最期を迎えるかを決める、関係者への緊急連絡先のシェア、葬儀屋の選定などあらかじめ考えておきましょう。 いざお別れのタイミングが来ても事前に準備をしておくことができれば、後悔のないお別れができます。

ペットのお別れのご相談は専門家に

ペットのお別れのご相談は専門家に

愛するうさぎとのお別れを考えることはつらいことですが、いつか必ずやってくるその日に後悔がないよう、準備をしておきましょう。

ペットの葬儀に関することはCOCOペットで24時間365日受け付けています。亡くなる前からご相談可能なので、いつでもご連絡ください。

大好きなペットにはいつまでも元気でいてほしいですが、いつか必ずお別れの時がやってきます。いざその時が来ると、急な悲しみで冷静な判断ができなくなることもあります。

そのため、ペットが元気なうちから、ペットの看取りや葬儀などをどうするのかを考えておくことで、後悔のない最期の時を過ごすことができます。また、悔いなくきちんとペットとお別れをすることは、その後のペットロスの緩和にも繋がります。

COCOペットでは、生前の終活についてのご相談も承っております。些細なご質問でも、お気軽にご相談ください。