「飼っている老猫が痩せてきて不安だな…」と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。痩せる背景には病気や加齢などがあります。
痩せてきてしまったらどのような食事をすればいいのでしょうか。
本記事では、老猫が痩せる原因やフードの選び方、日頃の対応を解説します。
目次
老猫が痩せるメカニズム
猫は、食事から栄養を摂取し、消化管で消化や吸収をします。吸収された栄養分は、体内で代謝されて、体の成長や体重維持に使われたり、活動するためのエネルギー源になったりします。
健康な成猫は、摂取量と消費量のバランスが取れているため、体重はほぼ一定です。しかし、摂取量と消費量のバランスが取れていない以下の状態だと猫は痩せてしまいます。
- 摂取量が少ない
- 消化・吸収がうまく働かない
- 消費量が多い
老猫が痩せてきた原因
老猫が痩せる主な原因は加齢が大きいでしょう。しかし、加齢だけでは済まない原因も隠れている場合があります。
高齢による食欲減退
猫も人間同様、年齢を重ね高齢になると食欲が減退します。いきなり食欲が減退するのではなく、徐々に減退していきます。年齢とともに起こる生理現象であるため、そこまで心配する必要はありません。
今まで以上に体重が減らないためにも、食べやすいフードを選んであげるといいでしょう。
お口トラブル
口内炎やお口の中に傷があるなどお口にトラブルを抱え、食事が摂れないケースもあります。傷に噛み砕いたフードが当たると痛みを増し、食べたくても食べられない状態になります。
数日間、急に食欲が湧かなくなった・食べるのを嫌がるなどの行動が見られた場合は、一度お口の中を見てあげるといいでしょう。
運動量の増加
猫は、活発に運動すると、その分エネルギーを消費します。また、活発な猫ほど筋肉量が多いため、基礎代謝量や必要なカロリー量も増加します。
したがって、健康であっても活発な猫は摂取するカロリー量が少ない場合、徐々に痩せていくかもしれません。
慢性腎臓病
猫がかかりやすい病気のひとつである慢性腎臓病に罹患していると痩せていきます。
元々は水分をあまり摂る動物ではないため、腎臓に負担をかけやすいです。腎臓に負担をかける中、加齢により腎機能が低下することで、腎臓の病気に罹患しやすくなります。
また、腎臓病は、進行するにつれて症状が全身に現れます。水分をよく摂り尿の回数も多いにもかかわらず、食欲がなく痩せてきている場合は腎臓病に罹患している可能性があるでしょう。
甲状腺機能亢進症
たくさん食べているのに痩せている場合は、甲状腺機能亢進症に罹患している可能性が考えられます。甲状腺はホルモンを分泌する機能です。亢進症はホルモンを過剰に分泌させ、代謝が活発になります。
以下の症状がみられる場合、甲状腺機能亢進症かもしれません。早めに動物病院を受診しましょう。
- 食欲がある
- 頻繁に水分をとる
- 体重が痩せていく
ガン
猫もガンになり、痩せていきます。ガンは進行すると全身に痛みを与えるため、食事を摂りたくても摂れない状態になります。強制的に餓死状態となり痩せてしまうのです。
また、抗がん剤を投与している猫は、副作用により食欲低下に加え、吐き気や下痢の症状も出てきます。
糖尿病
糖尿病とは、膵臓から分泌されるインスリンが不足したり、体がインスリンをうまく利用できなくなったりして、血統が増える病気です。
インスリンは、血液中のブドウ糖を細胞に取り込ませる働きをします。そのため、糖尿病になると、インスリンが不足したり、効きが悪くなったりして、ブドウ糖が細胞に取り込まれず、血液中に残ってしまいます。
老猫に以下の症状がみられた場合は、糖尿病を疑いましょう。
- 多食
- 多飲多尿
- 体重減少
寄生虫感染
回虫や条虫などの寄生虫は、猫の消化管に寄生して、栄養を吸収します。そのため、老猫が食べても、痩せている場合は、寄生虫に栄養を奪われているかもしれません。
また、寄生虫は、下痢や嘔吐を引き起こすこともあります。さらに、以下の症状も見られるかもしれません。
- 便の量が増える
- 便臭がする
- 毛艶が悪くなる
痩せてきた老猫の様子に違和感を覚えたらすぐに病院へ
老猫は、加齢による食欲の低下や運動量の減少などにより、自然に痩せていくこともあります。しかし、病気が隠れている場合もあるため、以下で動物病院へ連れて行く判断基準について説明します。
様子をみて問題ないケース
老猫が太ってきて計画的にダイエットをしていたり、発情していたりするなど、原因がわかっている場合は、様子を見ても問題ありません。運動量が増えている場合は、体重の変化に応じて、食事量を見直しましょう。
原因がわかっていても、著しく体重が減少している場合は、病気が隠れている場合もあるため、日々の老猫の様子をしっかり確認することが大切です。
受診した方が良いケース
高齢猫が痩せてくると、加齢による食欲の低下や運動量の減少などによる自然な現象と考えられがちです。しかし、体重が1週間で2%以上、あるいは1か月で4~5%以上も減少した場合は、短期間での体重減少が著しい状態なため、早急に受診しましょう。
また、以下の症状が見られる場合も早めに受診することをおすすめします。
- 嘔吐や下痢
- 食欲不振
- 元気消失
- 水を飲む量やおしっこの量の変化
獣医さんに老猫の症状を伝えるポイント
老猫の場合は高確率で持病を持っています。初診の動物病院の場合は獣医さんも愛猫についてわからないことも多いはずです。そのため、普段と何が異なるか詳細に伝えましょう。
具体的には、以下の点を伝えてください。
- いつから食欲が落ちたのか
- 普段どのくらいの量を食べているのか
- 吐いたり下痢したりしていないか
- お腹が出てきたか
- よだれや口臭があるか
- 下痢や便秘があるか
- 体重の変化はないか
痩せてきた老猫に食べさせるフードの選び方と食べさせ方
成猫のときと同じ食事を、老猫でも賄えると思うのは間違いです。年齢に適した栄養は変わるため、年齢に合ったものを選ぶようにしましょう。以下では、老猫に適したフードの種類と食べさせ方について説明します。
高品質なタンパク質のもの
人間も同じですが、猫も高齢になるとタンパク質を必要とします。そのため、高品質なタンパク質を積極的に摂り入れましょう。
タンパク質は加齢で落ちてしまった筋力や病気への抵抗力サポートに活躍します。
炭水化物の少ないもの
逆に炭水化物は、少なくしましょう。炭水化物は、糖質と食物繊維が一緒になったものを指します。食物繊維は消化が大変になるため、消化機能が落ちている老猫には負担です。
添加物は極力控える
猫のフードにも添加物は含まれています。添加物の中には良いものと悪いものがあり、多くは悪いものです。悪い添加物は病気のリスクを高めやすくなります。
病気のリスクを少しでも減らすためにも、無添加のものや添加物少なめのものを選ぶようにしましょう。
手作りフード
市販のキャットフードは添加物が多い上、すぐに種類を変えられるわけではありません。そのため、極力老猫の体調に合わせて食事を用意したい場合は、手作りフードを作ってあげましょう。
老猫の体調に合わせて素材そのもので作るため、添加物もありません。安心して老猫に食事をしてもらえます。
食事を小分けにしたもの
猫は本来、少量ずつこまめに食べる習性があります。そのため、小分けにされた食事の方が、食べやすいと感じるでしょう。
また、小分けにすることで、食欲の向上にも効果が期待できます。小分けにされたフードは、風味豊かな状態が保たれているため、猫はより美味しく感じ、食欲が湧きやすくなるでしょう。
一方、置き餌の形で食事をあげると、時間が経つにつれて風味が落ちてしまい、猫が美味しく感じにくくなります。そのため、猫の食欲も落ちてしまうかもしれません。
香りを立たせたもの
猫は、人間の約1000倍の嗅覚力を持っていると言われています。そのため、食事の香りが強く、美味しそうなものほど食欲が湧きやすくなるでしょう。
高齢猫は、若い猫に比べて、嗅覚が衰えやすい傾向があります。そのため、食事の香りが分かりにくくなり、食欲が低下してしまうことがあります。
そのため、高齢猫の食欲を高めるために、食事の香りを立たせましょう。具体的には、食事を温めることで、香りが立ちやすくなります。猫は高温のものを苦手とするため、人肌程度の温かさにしてあげてください。
食べやすい形状のもの
高齢になると、猫の胃や腸などの消化器官の機能が衰えてきます。そのため、硬い粒のフードを食べるのが難しくなるでしょう。食欲が低下したり、消化不良を起こしたりすることがあります。
老猫には、粒を小さくしてあげると良いかもしれません。粒が小さくなれば、噛む回数が減り、胃への負担が軽減されます。また、消化しやすくなるため、食欲増進にもつながります。
水分を多く含んだペースト状のものを好む猫もいるでしょう。一方で、ウェットフードやドライフードをふやかしたものなどに口をつけない猫もいるため、飼い主様が食べる様子を見ながら、食事の形状を調整してあげましょう。
高カロリーのもの
高齢猫は、加齢による食欲の低下や運動量の減少などにより、自然と痩せていくことがあります。特に病気はないけれど体重減少が気になる場合は、高カロリーなフードを検討しましょう。
高カロリーなフードは、栄養価が高く、効率よく体重を増やせるでしょう。しかし、高齢猫の消化器官は衰えています。いきなり高カロリーなフードを与えすぎると、消化不良を起こすかもしれません。
普段のフードの量を少しずつ減らして様子を見ながら高カロリーのものに切り替えましょう。
痩せてきた老猫への日頃の対応
痩せてきた老猫にいつ何が起きるか分かりません。しかし、日頃から飼い主様ができることはあります。日々の確認は非常に重要になり、異変があった際、猫の状態を正確に獣医師に伝えられます。
食欲の有無を確認
食欲の確認は非常に大切です。何気にご飯をあげるのではなく、ご飯をあげたときの反応や食いつきを確認しておきましょう。
老猫の場合、食べる量が少ないです。そのため、どのくらい食べているのか把握するためにもグラム数をあらかじめ計っておくとわかりやすいでしょう。
体重管理
体重管理も日頃の大切な対応のひとつです。毎日計ることで、以下のことがわかります。
- 体重が維持できているか
- 増えているか
- 減ってきているか
実際に身体を触って痩せている・太っていると確認するプラス、体重計にのり正確な体重を測定しておきましょう。
エサ入れの配置に気を配る
老猫は、加齢によって動きや認知機能が低下していきます。そのため、いつも置いてあるエサ入れの位置に気を配り、猫が快適に過ごせる環境づくりを行いましょう。
老猫は動きが鈍くなるため、エサ入れまでの距離が遠いと食事をしなくなることもあり得ます。また、認知機能が低下すると、普段どこで食事をしていたのか分からなくなってしまうかもしれません。
そのため、エサ入れの数を増やして、食事をしやすいようにしましょう。猫がよく過ごす場所や、猫が分かりやすい場所にエサ入れを設置します。
毎日の過ごし方の確認も忘れずに
老猫であるため、毎日の過ごし方の確認を忘れてはなりません。
- 口の中は痛がっていないか
- 尿の回数はどうか
- 排便する際、痛がっていないか
毎日の中でちょっとした異変を見つけられます。老猫の行動チェックはもちろん、スキンシップがてら軽く身体を触ってみるのもいいでしょう。
老猫が痩せてきたら慌てず様子をみよう
最愛の老猫が急に痩せてきたら、居ても立っても居られない気持ちになるでしょう。しかし焦っても痩せるのが止まるわけではないため、まずは老猫の観察をしましょう。
観察をすることで、老猫の状態を冷静に判断できます。しかし、いつかはお別れがくるものです。悔いのないよう送り出してあげたいものです。
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