「飼っている愛犬はいつから老犬になるのだろう」という不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
子犬の時期を過ぎると成犬になり、やがて老犬になりますが、歳をとると今までできていたことができなくなり、身体に変化が訪れます。
本記事ではいつから老犬になるのか、身体や行動の変化、飼い主が意識すべきことについて解説します。犬を飼っている方はぜひ参考にしてください。
目次
老犬はいつから?
老犬の年齢の目安は、犬種により異なります。小型犬は11歳以上、大型犬は8歳以上が老犬の目安です。
詳しくは以下をご確認ください。
犬の年齢 | 人間換算した年齢(大型犬) | 人間換算した年齢(小型犬) |
---|---|---|
1歳~3歳 | 12歳~26歳 | 15歳~28歳 |
4歳~6歳 | 33歳~47歳 | 32歳~40歳 |
7歳~9歳 | 54歳~68歳 | 44歳~52歳 |
10歳~12歳 | 75歳~89歳 | 56歳~64歳 |
13歳~15歳 | 96歳~110歳 | 68歳~76歳 |
16歳~17歳 | 117歳~124歳 | 80歳~84歳 |
上記の表を参考にすると、人間よりも寿命が短い一方で成長スピードも早いことがわかります。
一般的に、寿命の半分を過ぎた時点で「中高齢期」、寿命の3分の2を超えると「高齢期」となり、老犬に分類されます。
老犬に見られるサイン
老犬と呼ばれる年齢になると、今までできていたことができなくなり、身体に変化が起こります。
本項では、老犬に見られるサインを以下4つに分けて解説します。
身体の目に見える変化
身体の目に見える変化は以下の3点あります。
- 口腔内の変化
- 眼の色の変化
- 毛のツヤや色の変化
犬は歳をとると、歯周病が進行して口臭がきつくなったり、歯の色が黄ばんだりします。
口腔内の変化は口の中を見ないとわかりませんが、眼の色の変化と毛の変化は見ただけでわかります。
目の変化は、水晶体が濁って瞳が白くなる「白内障」で、視界がぼやけ最終的には失明のリスクがある病気です。
一方、毛の変化は、被毛がツヤを失ってパサつきが目立ったり、皮膚がハリを失って抜け毛が増加したり、白い毛が増えたりします。
上記のような変化は老化の原因だけでなく、目には見えない病気が隠れている可能性もあるため、注意してください。
身体の目に見えない変化
犬が老化すると、急に食欲不振になったり食欲旺盛になったりします。
食欲不振は、運動不足により胃酸や消化液の分泌が減少し、胃腸の動きが鈍くなることが原因です。
一方で食欲旺盛は、認知症の可能性があり、記憶障害を引き起こします。
とくに食欲不振は目に見えないため、毎回あげるご飯の量を一定にして、食べ残しの量で食欲を判断する必要があるでしょう。
行動の変化
犬は歳をとると動きが鈍くなり、以下の2つが起こります。
- 寝ている時間が増える
- 段差を上り下りできなくなる
身体に不快感や痛みが生じる機会が増えてしまうことで、外部への反応が鈍くなり日中に寝る頻度が高くなります。
また、筋肉の衰えや関節の痛みが原因で段差につまずくことが増えてしまうのも、老化のサインです。
精神面の変化
老犬は、五感がうまく機能しなくなり、以前よりもおびえることが増えます。
とくに以下の行動が増えるでしょう。
- 飼い主様に噛みつく
- 影を怖がる
上記のとおり、老犬になるとおびえる機会が増えるため、声を掛ける機会を増やした入り、遊ぶ機会を増やすようにしましょう。
また、日常生活においても迷子になることが増えたり、家族の顔が認識しづらくなったりすることも増えていきます。
そのため、急な音や環境の変化に過敏に反応するようになり、夜鳴きをはじめとする不安行動が見られるようになるケースもあるでしょう。精神面で異常が見られた場合は、動物病院に連れて行ってあげてください。
老犬が患いやすい病気
犬が歳をとると身体機能や体力が衰えていくため、病気になりやすくなります。
以下では、代表的な病気について5つご紹介します。どれも初期症状がわかりづらいですが、早期発見および早期治療が重要です。
犬が発信する些細な病気のサインを見逃さないように注意しましょう。
悪性腫瘍(がん)
老犬も人間と同様に身体に腫瘍ができます。悪性腫瘍の場合は、他の部位に転移するため非常に危険です。
悪性腫瘍が生じる箇所は多岐に渡ります。
- 乳腺
- 肛門
- 骨
- 皮膚
- 口腔
- 悪性リンパ腫
皮膚などの腫瘍は発見しやすいですが、他の部位は発見が遅れやすいです。すでに他の部位に転移して、手遅れになる場合も珍しくありません。
定期的な健康診断で早期発見できるようにしましょう。老犬の場合は半年に1回の受診が推奨されています。
心臓病
老犬になると心臓病になるリスクが高くなり命に関わる場合もあります。
なかでも「僧帽弁閉鎖不全症」という、心臓の弁が機能せずに血流が逆流する危険な病気が頻発しています。
初期症状として運動時や興奮時の咳が挙げられ、悪化すると安静時にも咳が出るようになるため注意して観察しましょう。
さらに悪化すると心不全による呼吸困難に陥り、命を落とす可能性もあるため注意が必要です。咳をし始めたら早めに病院に連れて行きましょう。
腎臓病
老犬になると、腎臓病になりやすいです。
なかでも「慢性腎不全」という、徐々に腎臓の機能が失われる病気には注意しましょう。
老廃物や有害物質を体外に排出できなくなり、命にも関わります。腎臓病の代表的な症状としては、以下のとおりです。
- 水をたくさん飲む
- たくさん食べるのに痩せていく
- 元気がない
- 嘔吐
- 身体の動きが悪くなる
腎臓機能は1度低下すると元には戻りません。そのため、悪化を抑制する治療や症状を緩和する治療が一般的です。
病気を発見するのは機能が低下する前が良いため、日頃から愛犬の様子をよく観察しておきましょう。
認知症
犬も歳をとるにつれて認知症になることがあります。
認知症の初期症状は老化の特徴と似ているため、見逃す飼い主様も多くいらっしゃいます。
代表的な症状は以下のとおりです。
- とくに目的もなく歩き回る
- 無駄吠えが多くなる
- 食事を与えても空腹感がある
- ところかまわず排尿、排便をする
- 飼い主様を威嚇する
認知症は一度発症すると治すことができません。薬物療法などにより進行を抑えることしかできないため、早期発見と早期治療が重要です。
行動に違和感を覚えたら、早めに獣医師に相談しましょう。
糖尿病
糖尿病は老犬になると発生しやすい病気のひとつです。
病気が進行すると体内に有害物質が蓄積し、食欲の低下や嘔吐、下痢などの症状を引き起こします。
また、腎臓病などの合併症のリスクも高めるため注意が必要です。糖尿病に見られる代表的な症状としては、「水を飲む量が増える」「排尿量が増える」が挙げられます。
糖尿病の対策として、適度な運動とバランスの良い食事が重要です。心配な方は獣医師から指導やアドバイスを受けると良いでしょう。
老犬になった際に意識すべきこと4選
老犬になった場合、若い時期と同じような生活を送ると心身に支障が出る可能性があります。
そのため、老犬になる時期に応じて適した生活習慣へと変化させていかなければいけません。
老犬になった際に意識すべきことは、以下の4つです。
運動時間を確保する
老犬になると、筋肉量と骨量の減少が否めません。
できるだけ毎日運動時間を確保して、身体機能の衰えを抑制しましょう。
老犬になると一度失われた筋肉を再び増やすのは難しく、筋肉が少ない状態で無理矢理運動すると怪我のリスクが高まります。
運動をする際は、1回あたり10分を目安に、1日2~3回散歩に行きましょう。
気温が暑い時期は、涼しい早朝や夜などに散歩すると老犬への負担が軽減されます。
体力が低下すれば自然と犬も外に出たがらなくなります。
しかし、外の刺激に触れたり、体を動かしたりするだけでも血流が良くなって脳も活性化されていくでしょう。
散歩中に息切れをしている場合や座り込むことがある場合は、お散歩がきついと感じている証拠です。
以前であれば難なく歩けていた段差や坂道も、老犬にとっては負担になります。そのため、老犬になったペットの三本は首輪ではなく、ハーネスを利用するとより良いでしょう。
首輪は引っ張ったときに首への負担がかかりますが、ハーネスは負担を分散させてくれるため怪我の心配もありません。
食事の質に気を配る
犬は老化とともに消化や吸収能力が低下するため、食事の質に気を配りましょう。
老犬になると基礎代謝量が変化することにより、若い頃と同じフードを与えると肥満になる可能性があります。
主に以下の栄養素に注目してください。
- オメガ3脂肪酸を増やす
- 脂肪摂取を制限する
- リン摂取を制限する
上記の3つの栄養素を踏まえ、餌を与えましょう。
毎日ご飯を手作りするのは手間がかかるため、市販の老犬向けドッグフードに含まれている栄養素を比較しながら、選ぶことをおすすめします。
また、急にフードを変えてしまうとお腹を壊してしまう可能性が考えられます。
そのため、まずは以前のフードに混ぜて与え、徐々にシニアフードを増やして切り替えていきましょう。
また、健康な場合でも老犬になると食欲が低下してしまいます。原因として考えられるのは、鼻が効かなくなっており、ご飯が美味しそうに感じなくなっていることです。
上記のような場合は、フードをお湯でふやかしたり、電子レンジでフードに熱を加えたりして、風味を強めてあげるといいでしょう。
定期的に健康診断を行う
犬は年齢が高くなるにつれ、さまざまな病気のリスクが高まります。
病気は早期発見および早期治療が重要になるため、老犬は最低でも半年に1回の頻度で定期健康診断を受けましょう。
老化による行動の変化だと思っていても、目には見えない病気が隠れている可能性があります。
健康に過ごせるよう、常に身体の状態を把握しておくことが重要です。健康診断では、一般的に以下の検査を行います。
- 視診
- 触診
- 聴診
- 血液検査
- レントゲン検査
- 尿検査
- 糞便検査
- 超音波検査
定期健診は必ず受けて、病気を早期発見しましょう。
視力や聴力が落ちていないか確認する
老犬になると視力や聴力が低下していきます。
老犬は周囲の状況を確認しにくく、家族の言うことや顔を判断しにくくなるため不安になることがあるでしょう。
また、視力が低下することにより家具や家の壁にぶつかったりして怪我する可能性も考えられます。
視力が聴力に異変がある場合、すぐに病院で診てもらうことが重要です。目の場合、白内障などの老化である場合と怪我からきている場合があります。
耳の場合でも感染症や怪我の可能性もあるため、治療や改善するためにも迅速に動物病院に連れて行ってあげてください。
老犬のための飼育環境を整えるには
視力や聴力が低下すると、犬は日常生活において壁や家具にぶつかって怪我するリスクが高まります。
そのため、怪我をしないためにも飼育環境を整えてあげる必要があります。
滑りにくい床にする
年齢を重ねると踏ん張る力が弱まり、フローリングなどの滑りやすい床の場合は老犬の足腰に負担がかかります。
日頃から足腰に負担がかかっていると、変形関節症を発症することも考えられます。
家の床がフローリングの場合は、カーペットやマットを敷いて滑りにくいように工夫することが重要です。
ただし、カーペットは毛足の長いものや繊維がループ状になっているカーペットの場合は爪が引っかかって怪我する可能性があるため、注意が必要です。
無理に模様替えしない
愛犬の視力の低下が見られる場合は、家具の位置を大きく変え、模様替えをしないようにしましょう。
普段なかったはずの場所に家具があることに気づかずにぶつかり、大きな怪我につながる可能性があります。
模様替えが必要な場合は、家具の角や取っ手にケガ防止クッションなどで覆って怪我対策を行いましょう。愛犬の視力低下が見られる際は、できるだけ大きな模様替えは避けておくことが重要です。
室温と湿度を調節する
老犬になると抵抗力が低下し、温度差により体調を崩す可能性があります。
老犬に快適に過ごしてもらうためには、室温を保ち、湿度も調節してあげましょう。ただし、冷えすぎ、温めすぎ、乾燥などは愛犬が体調を崩す原因の一つです。
そのため、室温は18〜26度に設定し、愛犬の様子を確認しながら都度適温に変更してあげてください。
トイレを寝床の近くに設置する
犬も歳を重ねるにつれてトイレが近くなります。
愛犬がトイレに失敗しないようにするためにも、愛犬の居場所の近くにトイレを設置してあげてください。また、万が一、トイレを失敗してしまったとしても叱らないようにすることが重要です。
飼い主様にトイレの失敗を叱られてしまうと、自信をなくしたり、失敗してはいけないという緊張によりストレスが溜まったりして、再び失敗するリスクが高くなります。
トイレを何度も失敗してしまう場合、ほかに病気が潜んでいる可能性も考えられるため注意が必要です。異変を感じた場合は、すぐに動物病院で診察を受けましょう。
段差を作らない
老犬になると筋力が衰えていき、段差が足腰の負担となります。
今まで容易に上り下りできた場所でも、登れなくなってしまい、犬は自信をなくして落ち込んでしまうこともあります。
そのため、愛犬のお気に入りの場所が高いところにある場合は、踏み台やスロープを設置して行きやすいようにしてあげましょう。
老犬の健康を維持する方法
愛犬にはできるだけ長く健康でいて欲しいですよね。
歳をとることは止められないですが、工夫次第で老犬の健康を維持できます。以下では老犬の健康のために、飼い主様ができることについて解説いたします。
犬にとって負担の少ない遊びをする
遊びや運動は健康にも重要な要素です。
しかし、老犬になると激しい遊びや運動が身体の負担になるため、注意しながら行いましょう。
屋内での遊び方
屋内での遊びも老犬の健康につながります。
老犬の足腰は衰えてきているため、負担をかけないような遊び方をしましょう。屋内で遊ぶ際は、知育おもちゃやかくれんぼがおすすめです。
体に負担をかけずに程よく運動できるうえに、認知症対策にもなります。
老犬の体調がすぐれないときは、ベランダや窓際で一緒に日向ぼっこするのも効果的です。老犬の体調に合わせて遊び、たくさんコミュニケーションをとるようにしましょう。
屋外での遊び方
老犬の調子が良い時は屋外でも遊びましょう。
屋外での遊びは良い運動になるうえに、リフレッシュやストレス軽減にも効果的です。
しかし、激しい運動は老犬の体に負担がかかります。
以下の点に気をつけて運動しましょう。
- 寒さや暑さに気を付ける
- 水を持参する
- 足元に障害物がないか注意する
愛犬の体調を見ながら屋外での運動も楽しんでください。
マッサージしてあげる
老犬になると血流が悪くなり、身体の体温が維持しにくいため、老犬の体をマッサージして、血流が良くする必要があるでしょう。
マッサージは心臓や肺への負担の軽減にも効果的です。
マッサージの方法としては、手のひらを使って「の」の字で身体全体をなでるのが良いでしょう。
首→背中→お尻の順番でなでるのがマッサージのコツです。老犬とのコミュニケーションにも最適で、心地のよい時間となるでしょう。
栄養補助食品を取り入れる
老犬の健康を維持するためにサプリメントやビタミン剤などの栄養補助食品を取り入れると良いでしょう。
餌だけでは足りていない栄養素を効率よく補えます。栄養補助食品は基本的に安全ですが、薬との飲み合わせには注意が必要です。
薬の効果に影響を与える可能性があるため、事前に獣医師に相談しましょう。
脳に刺激を与える
脳の機能を低下させないために、日頃から脳に刺激を与えましょう。
認知症予防に効果的です。具体的な方法としては以下のとおりです。
- 知育おもちゃを使う
- 日頃から声かけを行う
- 少しでも身体を動かす
大切なのは飼い主様とのコミュニケーションです。
調子が良いときはたくさん遊んであげて、良くないときにはたくさん話しかけてあげましょう。
歯のケアをする
定期的に歯のケアをすることも重要です。
歯のケアを行わずに放置していると、犬の口腔内に歯石がたまり、歯周病になるリスクが高まります。
歯石を除去するためには麻酔をかける必要があります。しかし、麻酔は老犬にとって負担がかかる行為です。
そのため、歯石が溜まらないようにするために、定期的に歯のケアを行ってあげましょう。
また、小さい頃から歯のケアに慣れさせておくと、飼い主様にとってもケアが楽になり気にかけてあげやすいです。
老犬になってから歯のケアをするようでは、歯も弱くなり困難です。そのため、歯のケアは常日頃から行っておくといいでしょう。
ボディケアを行う
マッサージに加えてブラッシングや爪切りなどのボディケアを行いましょう。
ブラッシングをすると汚れを取ることができ、血流が良くなってマッサージと同じような効果が得られます。
また、定期的にブラッシングを行い、愛犬の体に触れることで腫瘍や皮膚炎などの異常がないかも確認できます。
ブラッシングだけでなく、爪切りを行うことも重要です。老犬になると若い頃と比べて活動量が減って爪が伸びやすくなります。
爪が伸びてしまうとカーペットに引っかかったり、フローリングで滑りやすくなったりするため、定期的に整えてあげましょう。
老犬になったら快適な環境を整えてあげよう
老犬の目安は犬種により異なり、小型犬は11歳以上、大型犬は8歳以上です。
老犬になると今まではできていたことができなくなったり、身体に変化が起こったりすることがあります。
愛犬が老犬になったと感じたら、運動時間を確保したり食事の質に気を配ったりするなど、犬が年をとっても快適に過ごしてもらえるようにしましょう。
しかし、いつか愛犬とのお別れは来るものです。ペットが亡くなった際のことも考慮して行動しておくと良いでしょう。
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