「具体的にどんなことに気を付けて老犬と最後までの時を過ごせばよいのか」と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

犬が年を取ると、病気の予防や健康維持のために様々なことに気を配る必要があります。

本記事では、老犬との過ごし方で気を付けたいことや、老化が始まるサインについて解説します。老犬との毎日を悔いのないものにするために、ぜひ最後までご覧ください。

老犬との過ごし方で気を付けたいこと

老犬との過ごし方で気を付けたいこと

老犬は若い時と比べて、食生活や運動など気を配ることがたくさんあります。以下で、老犬との過ごし方で気を付けるべきことについて解説します。

常に老犬の変化に気を配る

犬が老化することで、体や行動に様々な変化が現れるため、飼い主様は愛犬の小さな変化を見逃さないように気を配ることが大切です。

老犬になると小さい変化でも病気のリスクが隠れている可能性があります。小さな変化に気づかずに放置してしまうと、重篤な病気になってしまう場合も考えられます。

そのため、老犬と触れ合う中で「いつもと様子が違うな」と感じた場合は、早期に動物病院に連れていくことが大切です。

老犬の食生活を意識する

老犬になると消化機能が低下し、いつもの食事でも下痢や嘔吐を起こしやすくなるため、食生活の改善を意識する必要があります。また、食欲も減退するため、食事の量やバランスも気に掛けてあげましょう。

老犬になると運動量が少なくなり基礎代謝が落ちてしまうため、なるべく低カロリーで軟らかく食べやすい食事を心がけると良いです。

運動や散歩を無理のない範囲で行う

運動や散歩を定期的に行うことで筋力の維持につながるため、寝たきりになるリスクの低下が期待できます。

ただし、散歩中歩きにくそうにしていたり、時々立ち止まってしまったりする場合は、無理をさせて散歩する必要はなく、愛犬のペースに合わせてあげましょう。

散歩ができない場合は、室内でできる運動やマッサージをしてあげると、飼い主様とのコミュニケーションにもなるためおすすめです。

スキンシップを積極的に取る

老犬となった愛犬と残された時間を大切にするためにも、スキンシップを積極的に行いましょう。犬の一生は人よりも短く、愛犬と過ごす時間はあっという間に過ぎ去ってしまいます。

若い時のように元気いっぱい走り回ることはできませんが、飼い主様とのスキンシップが大好きであることは変わりません。

優しく声をかけて撫でてあげたり、ブラッシングしてあげたりするだけでも愛犬は喜ぶため、できるだけ愛犬との時間を作ってあげてたくさん可愛がってあげてください。

匂いや外気をかがせる

散歩ができる老犬の場合、無理のない範囲で散歩し、外気をかがせてあげましょう。

老犬になると好きだったものへの興味や、新しいものへの好奇心が薄れることで、脳への刺激が少なくなり、行動しようとする意欲が失われていきます。

そのため、定期的に外の世界の匂いや外気をかがせることで、気分転換や脳の活性化が期待できます。

脳が活性化することで認知症の予防にもなるため、できるだけ散歩して外の世界に触れさせてあげましょう。

犬の老化を抑える方法

犬の老化を抑える方法

愛犬は必ず年老いるものです。しかし、シニア犬の中にはいつまでも元気な老犬もいれば、残念ながら老化が進み弱っている老犬もいます。

個体差はありますが、日頃の生活習慣や飼い主様の努力次第で老化の抑制が可能です。以下では老化を抑える方法について具体的にご紹介いたします。

老犬の体に負担の少ない遊びをする

遊びや運動は健康に重要な要素です。しかし、老犬になると体力や体の機能が低下するため、激しい遊びや運動が身体の負担になります。

常に老犬の状態を見ながら、無理のない範囲で遊びましょう。

屋内での遊び方

老犬が外で遊べなくなった場合、屋内での遊びも健康増進に繋がります。老犬の足腰は衰えてきているため、負担をかけないような遊び方をしましょう。

屋内で遊ぶ際は、知育おもちゃや、かくれんぼがおすすめです。特に知育おもちゃは認知症対策になるためおすすめです。老犬のペースで遊べる方法を選ぶと良いでしょう。老犬の体調が万全でない場合は、ベランダや窓際で一緒に日向ぼっこするのも効果的です。

屋外での遊び方

老犬の調子が良い時は屋外でも遊ぶと良いでしょう。屋外での遊びは良い運動になる上に、リフレッシュやストレス軽減にも効果的です。さらに脳への程よい刺激になるため、認知症対策にもなります。

しかし、激しい運動は老犬の体に負担がかかり、怪我やストレスの原因になるため逆効果です。以下の点に気をつけて運動しましょう。

  • 寒さや暑さに配慮する
  • 水分を必ず持参する
  • 足元に障害物がないか注意をする(ある場合は退ける)

マッサージで筋肉をほぐす

老犬になると血流が滞り、身体の体温が維持しにくくなります。そのため、老犬の体をマッサージすることで、血流が良くなり健康増進効果が期待できます。心臓や肺への負担の軽減にも効果的で、運動や散歩前のウォーミングアップにも最適です。

マッサージの方法は、手のひらを使って「の」の字で身体全体をなでたり、首→背中→お尻の順番でなでるようにマッサージしたりすると良いです。老犬の様子を見ながら、気持ちの良さそうな場所を重点的にマッサージしてあげましょう。

栄養補助食品を上手に取り入れる

老犬の健康を維持するためには栄養バランスが重要です。足りない栄養素はサプリメントやビタミン剤などの栄養補助食品で補いましょう。食事量が減ってしまった老犬でも、栄養素を効率良く補えます。

栄養補助食品は基本的に安全ですが、薬を服用している場合には注意が必要です。栄養補助食品との飲み合わせが悪い場合もあるため、事前に獣医師に相談しましょう。

脳に適度な刺激を与える

老犬になると発症しやすい「認知症」の予防に効果的です。脳の機能を低下させないために、日頃から脳に適度な刺激を与えましょう。

具体的な刺激を与える方法としては以下の通りです。

  • 知育おもちゃで遊ぶ
  • 日頃から声かけを多めに行う
  • 少しでも身体を動かす習慣をつける

調子が良い時はたくさん遊んであげて、良くない時にはたくさん話しかけて脳に刺激を与えましょう。

老犬と呼ばれる年齢のラインは?

一般的に犬の老化は寿命の半分くらいから始まると言われています。

2022年の調査では、犬の平均寿命は14.76歳なため、7歳から8歳あたりから老化のサインが現れ始め、10歳から12歳頃には老犬と呼ばれる年齢になります。

老犬と呼ばれる頃には、老化による行動や体の変化が顕著に現れ始めるため、飼い主様はより一層のケアが必要です。

犬によく見られる老化のサイン

老犬と呼ばれる年齢のラインは?

老犬と呼ばれる年齢のラインは?

犬が老化することで、身体的な変化や行動にも変化が現れます。

以下では、犬によく見られる老化のサインについて解説します。老化のサインを見逃さないことで適切なケアを行えるため、ぜひ確認してください。

口臭や体毛などの身体的な変化

老化のサインとして特徴的なのが、口臭や体毛などの見た目に現れる変化です。

特に分かりやすいのが口腔内の異常で、飼い主様も気づきやすい変化です。異常が見られた場合は、歯周病や虫歯などの病気が隠れている可能性があります。

また、体毛も分かりやすい変化のひとつで、体毛が薄くなる、抜け毛がいつもより増えたなどの様子が見られたら老化による影響かもしれません。

食が細くなる

食が細くなることも老化による影響のひとつです。

老犬になると消化機能や新陳代謝も低下するため、今まで通りの食事が取れずに食が細くなることがあります。

また、老化により運動不足にもなりやすく、消費カロリーが少なくなるため食欲が低下することもあります。

食欲の低下により必要な栄養が取れずに痩せてしまい、筋力が衰え体勢が維持できなくなるといった影響も考えられるため、極端に食べない場合は注意が必要です。

動き、反応が鈍くなる

老化は愛犬の普段の行動にも影響を与えます。様々な感覚の鈍化を引き起こすため、耳が遠くなったり、目が見えづらくなったりします。

たとえば、飼い主様の呼びかけに応えなかったり、室内でよく物にぶつかったりするような行動があれば、老化による影響の可能性があります。

また、老化による筋肉の衰えから、段差や階段を嫌がる場合もあるようです。

老犬に必要な介護

老犬に必要な介護

老犬になると体の機能や体力が低下するため、介護が必要になることもあるでしょう。最後まで老犬に楽しく暮らしてもらうためにも、適切な介護方法は知っておくべきです。

以下では代表的な3つの介護について解説いたします。

食事の介護

老犬は噛む力や消化機能が衰えています。そのため、老犬向けのフードに変更することをおすすめします。老犬向けのフードでなくとも、お湯でふやかすことやウェットフードに混ぜることも効果的です。

老犬に負担がかからないように食事をさせましょう。

排泄や排尿の介護

排尿や排泄時にも介護が必要なこともあります。

自力でできる老犬の場合は太ももの付け根や腰を支えて排泄のサポートをしましょう。自分で排泄できない場合は下腹部を押して排尿する圧迫排尿が必要です。抵抗がある方はプロに依頼するのも手段です。

歩行の介護

前述した通り、老犬にとって運動や散歩は老化を抑えるための重要な要素です。しかし老犬は成犬のようには歩けないため、サポートしてあげましょう。

まずは散歩時の首輪を老犬用ハーネスに変更してあげてください。手足の負担を減らせるだけでなく、転倒防止や怪我の防止につながります。

老犬に多い病気

老犬は身体機能が低下するため、様々な病気にかかりやすくなります。

中には命にかかわるような病気もあるため、どのような症状があるかを把握し早期発見・治療を行うことが大切です。

がん

がんは、老犬がかかりやすい病気の代表格であり、犬の死因の中で最も多い病気です。犬は比較的がんにかかりやすく、人間同様、高齢であるほど発症率が高いといわれています。

また、具体的な予防法はなく、がんの進行速度が速いため、普段から愛犬の様子を観察して少しでもおかしいと感じたら病院を受診することをおすすめします。

心臓病

老犬になると心肺機能が低下するため、心臓病にかかるリスクが高まります。犬の心臓病の怖いところは症状が表れにくいところにあり、発見が遅れる場合があります。

初期症状としては発熱や咳といった一般的な疾患なので見逃すケースも多く、気づいたら重症になっていたというケースも少なくありません。

そのため、心臓病のサインを見逃さないように、獣医師による定期的な健診を受けることが重要です。

糖尿病

糖尿病は、膵臓がインスリンを作れなくなるために発生する病気です。犬が糖尿病になると、水を飲む量が増えたり、尿が増えたりすることもあります。

原因としては老化による膵臓機能の低下や肥満が挙げられます。老犬は運動不足になりがちなので、糖尿病の予防のためにも普段から適度な運動と食事を心がけることが大切です。

愛犬の変化に気を配り、残された時間を大切にしよう

愛犬の変化に気を配り、残された時間を大切にしよう

犬の一生は短く、飼い主様とのお別れも突然やってきます。

できるだけ愛犬と一緒の時間を過ごすためにも、今回ご紹介した老化のサインや過ごし方の注意点などを把握することが大切です。

適切な老犬のケアを知り、飼い主様と愛犬との残された時間を大切にしましょう。

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