「ペットを火葬した後のお骨上げってどんなマナー?」と疑問に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ペット火葬後は、ご遺骨を拾い上げるお骨上げをする必要があります。
本記事では、ペット火葬後のお骨上げの注意点や手順について解説します。お骨上げに関するよくある質問についても解説しているため、ぜひ最後までごらんください。
目次
ペット火葬のお骨上げについて
ペット火葬後、お骨上げが行われますが、何のために行われるかわからない方もいるでしょう。
以下では、お骨上げの手順やお骨上げをする理由について解説します。
お骨上げとは
お骨上げは、ご遺骨を骨壷に納める儀式を指します。拾骨や収骨とも呼ばれており、日本で行われる火葬後の儀式の一つです。
お骨上げは「この世からあの世への魂の橋渡し(箸渡し)をする」という意味を持ちます。
ペット火葬の場合、火葬後に長さの違う箸を用いてご遺骨を拾い、骨壷に収めます。しかし、小型のペットの場合は骨を拾い上げるのが難しく、ピンセットで拾い上げる場合もあります。
お骨上げ当日はスタッフが手順を説明してくれる
火葬後のお骨上げは、当日、スタッフにより手順を説明してもらえます。また、葬儀や火葬では間違いが起こらないように、初めての方にわかるように説明が行われます。
そのため、お骨上げの方法がわからない方も安心です。お骨上げをする際は、今までの感謝の気持を込めてあげましょう。
ご遺骨を拾う順番がある
ご遺骨を拾い上げる際、拾う順番があります。
人の火葬の場合、拾う人の順番は、喪主や遺族など縁の強い方からです。一方、ペット火葬の場合は、飼い主様や特に懐いていた方の順番で行われます。
また、拾う部位の順番は以下になります。
- 前足
- 後ろ足
- 尻尾
- 大腿骨
- 背骨
- 肋骨
- 頚椎
- 顎骨
- 頭蓋骨
- 喉仏
大小の箸でお骨上げする理由
お骨上げで大小の箸を用いるのは、日常的な作法で行わないようにするためです。
また、2人で行うことで、不幸が続かないように大小の箸が使われているといわれています。
しかし、小型のペットの場合は、箸ではなくピンセットでお骨上げが行われるかもしれません。
ペット火葬の場合、箸渡しをしないこともある
ペット火葬の場合、箸渡しをしないこともあります。
ペット火葬で箸渡しが行われない理由は、骨のサイズや強度に関係があります。特に小鳥やハムスターなど小型の動物は、ご遺骨が脆く崩れてしまうため危険です。
しかし、大型のペットの場合は人間と変わりない丈夫な骨のため、箸渡しを行うケースがあります。ご自身のペットのお骨上げができるかどうかは、事前に火葬業者に相談しましょう。
人間のように宗教上の違いはない
ペット火葬のお骨上げは、人間の火葬とは異なり歴史がありません。そのため、宗教観の違いや風習がありません。
火葬の際は、飼い主様のご要望どおりに行われ、もっとも良い形式での火葬方法を選択できます。
ペットが喜ぶ方法でペットの火葬をしましょう。
ペットのお骨はどのくらい上げるものなのか
ペットのお骨は人のお骨よりも小さく脆いため、すべてを拾うのは難しい場合があります。
以下で小動物や大型動物のお骨を収骨するコツや、全て収骨しなくてもいい場合の対処法をご紹介します。
関東と関西のお骨上げ方法の違い
関西人は、骨壷に足から頭蓋骨まで全てのお骨が入っている関東式に驚くことがあります。関西と関東ではお骨上げの方法に大きな違いがあるからです。
関東では足から頭蓋骨まで全てのお骨を骨壷に納めます。そのため、骨壷は大きめのサイズです。また、骨壷に納めきれなくなったご遺骨の粉は、骨壷に一緒に入れます。
一方、関西では足から頭蓋骨までの一部分のみを骨壷に納めます。そのため、骨壷は小さめです。また、骨壷に納めきれなかったご遺骨は、火葬場の近くに埋葬されます。
地域ごとの違いは、明治末期に政府が火葬を推奨するようになったことに由来します。当時、政府はご遺骨を全て持ち帰るよう指示していました。
そして、関東ではご遺骨を全て持ち帰っていましたが、関西では火葬場の近くに埋葬する習慣があったため、骨壷に納めるご遺骨を少なくしたといわれています。
ご遺骨を少し砕いてスペースをあけるケースも
大型犬のペットの火葬では、ご遺骨が綺麗に残った結果、骨壺に納まりきらないかもしれません。そのため、事前に飼い主様にご了承をいただいた上で、ご遺骨を少し砕いてスペースを開けてから収骨する業者もいます。
人間の火葬ではお骨の大きさやお骨の形状により、ご遺骨を砕いて骨壺に納めることもあります。しかし、ペットの火葬ではご遺骨を砕くことに抵抗がある飼い主様もいらっしゃるでしょう。
ペットの火葬業者の中には、ご遺骨をそのまま入れてあげたいという飼い主様の希望に応じて、骨壺を2つに分けて納骨するサービスを行っているところもあります。火葬を行う際は、火葬業者が提供するサービスを確認しておきましょう。
小動物の小さいお骨はハケを使用する
ペットのご遺骨は、人よりも小さく脆いため、飼い主様が自分で収骨をするのは難しい場合があります。箸などで拾うと、お骨を割ってしまうかもしれません。
そこで、ペット火葬業者により収骨用のハケなどを用意しているところもあります。ハケを使えば、小さなお骨まで壊さずに収骨できます。
また、業者により飼い主様が収骨を希望する場合でも、お骨を丁寧に収骨してくれることもあります。
大切なペットのご遺骨を傷つけずに収骨したい場合は、業者に相談して任せてみるのもよいでしょう。
全て収骨しなくていい場合は火葬業者が供養を実施
全て収骨しなくとも良い場合は、ペット火葬社の方で残ったペットのご遺骨を業者が集めて合同供養する場合もあります。そのため、ペット火葬業者の方と相談しながら適切な量のご遺骨を収骨し、持ち帰るかを決めておきましょう。
上記でお伝えしたとおり、ペットの収骨に関しての考えはさまざまなため、全て持ち帰らないことが悪いわけではありません。飼い主様が管理できる範囲でご遺骨を持ち帰りましょう。
ペット火葬後のご遺骨からわかること
火葬後のご遺骨を見ると生前の健康状態がわかります。以下では、ペットの火葬後のご遺骨からわかることについて解説します。
ご遺骨の黒い塊はススや燃えカスの場合がある
火葬後にご遺骨を見ると黒い部分があり、癌だったのではないかと不安になる飼い主様もいるようです。しかし、ご遺骨に付着している黒い塊は癌でないケースがほとんどです。
一概に癌ではないと言い切れませんが、癌だった場所が必ず黒くなるわけではありません。
ご遺骨が黒い理由として考えられるのは、ススや燃えカスです。ペット用の火葬炉は高温で火葬されますが、サイズの関係により、人間用の火葬炉と比べると低温で火葬されます。
温度が低く時間が短いと完全にご遺体を火葬できず、逆に温度が高く時間が長いとお骨が灰化する恐れがあります。
火葬の温度調節や時間により不完全燃焼となってしまい、黒い塊や脂肪分が燃えた際に発生したススが骨に付着することがあります。そのためご遺骨の黒い塊は、癌よりも温度調節や時間の関係により発生した、ススや燃えカスであると考えられるでしょう。
ペットの生前の健康状態
ペットのご遺骨から癌などの病気まではわかりませんが、健康状態を推測できます。お骨が丈夫で硬い場合は、ペットが若く健康だったということです。
反対にペットのご遺骨が脆くてスカスカな状態だと不健康、またはお年寄りであったと推測できるでしょう。しかし、ペットのサイズや種類によりお骨の強度は異なります。そのため、あくまでも目安として考えておきましょう。
ペット火葬でのお骨上げ後の供養方法
ペット火葬でのお骨上げが終わった後は、ペットが眠る場所や方法を決めなければなりません。ペット火葬は人間の場合と異なり、細かいルールがないため、どのようにすればいいかわからない方もいるでしょう。
以下では、ペット火葬のお骨上げ後の流れについて解説します。
自宅供養(手元供養)
自宅供養(手元供養)は、ペット火葬後に返骨されたご遺骨を納めたご遺骨をペット用の祭壇に置き、遺影やお供物する方法です。
ペットのご遺骨を自宅供養(手元供養)する際は、ご遺骨を粉骨して粉状にしてから骨壷などに納めます。粉骨は飼い主様自身でできますが、お骨を砕くことに抵抗がある方は、ペット火葬場の粉骨サービスを利用しましょう。
また、近年ではペットのご遺骨が納められるペンダントやネックレスなどのアクセサリー商品も販売されています。
キーホルダーであれば1,000円台から購入でき、ペットをイメージしたオーダーメイドのアクセサリーなども依頼可能です。外から見てもご遺骨が収まっているとはわからないデザインのため、人の目が気になることはないでしょう。
自宅の庭に埋葬する
ペットのご遺骨は自宅の庭に埋葬できます。小動物であればご遺体のまま埋葬できますが、ご遺体が土に還るまで膨大な時間がかかり、異臭や害獣トラブルにつながるため、火葬後の状態での埋葬がおすすめです。
しかし、ご遺骨を埋葬しても異臭や害獣トラブルは発生する恐れがあるため、穴を深く掘り、石灰や腐葉土を撒いたうえで埋葬しましょう。
また、いつかお墓からご遺骨を取り出す予定がある場合は、骨壷ごと埋葬できます。しかし、取り出した際にご遺骨にカビが生えていたり、水が出たりする恐れがあります。そのため、取り出した際には天日干しなどのメンテナンスを行いましょう。
納骨堂に納める
ペット霊園には納骨堂が併設している場合があり、骨壷を納骨堂に納められます。納骨堂は施設の中に骨壷を納められ、個別のスペースに骨壷や遺影、お供物を自由におけます。
納骨堂には永代供養がついている施設が多いですが、場所により異なるため、事前に確認しましょう。
ペット火葬場で提供される納骨棚は自社で火葬したペットのご遺骨のみを受け付けているという施設もあるため、事前に確認してから依頼してください。
ペット霊園にお墓を建てる
ペット霊園にはペット専用の墓地スペースが設けられており、個別や合同でお墓を建てられます。個別墓地の場合、お墓を購入する必要があり、ほかの供養方法と比べると費用が高いです。
そのため、個別墓地を購入する際は、初期費用と年間管理料のバランスを考慮して選びましょう。
ペット霊園の場合、初期費用が割安であることがありますが、反対に年間管理料が高く設定されている恐れがあります。そのため、納骨後の維持費なども考えておきましょう。
合同墓地はほかのご遺骨と一緒に埋葬する方法です。他のペットのご遺骨と埋葬するため、後からお骨を取り出すことはできません。
合同墓地を選ぶと永代供養が無料でつくため、支払いは納骨時の費用のみです。施設にご遺骨を納める方法の中では、合同墓地が一番お手頃にできる方法でしょう。
さらに、施設により家族で入れるお墓もあります。しかし、ペット霊園やお寺により断られる場合もあるため、事前に調べたうえで依頼するようにしましょう。
また、ペット霊園でお墓を建てる場合、他社でペット火葬したご遺骨の持ち込みは別料金として10,000円程度請求されることケースがあります。そのため、お墓を建てたいとお考えの方は、火葬から一貫して依頼すると良いでしょう。
散骨する
散骨は、火葬後のご遺骨を粉骨して山や海に撒く供養方法です。お骨をパウダー状にして許可された海や山に撒くため、手元にご遺骨が残りません。
どうしてもご遺骨を手元に残しておきたい場合は、事前にご遺骨の一部を残す分骨をしたうえで散骨しましょう。
また、散骨は法的に問題がない供養方法ですが、近隣住民が不快に感じる場合もあります。近隣トラブルにもつながるため、散骨業者に依頼して散骨するとより安心です。
ペットのお骨上げで失敗しないために
ペット火葬が初めてな方は、緊張や不安を抱える場合もあるでしょう。
ペットのお骨上げで失敗しないために気をつけておきたいポイントを3つ以下で解説します。
ペットのご遺骨は崩れやすいので注意する
ペット火葬後のご遺骨は崩れやすいです。
ペットのご遺骨の場合、人間のご遺骨と比べてさらに小さく脆いため、より丁寧に扱うことが大切です。頭蓋骨は特に複雑で小さいお骨が多いため、細心の注意が必要です。
火葬方法によりお骨上げができない
合同火葬の場合、他のペットと火葬するためお骨上げができません。
また、合同火葬の場合、お骨上げだけでなく火葬後の供養もできない可能性があります。
お骨上げから供養までご自身の手でしてあげたいという方は、火葬方法について事前に調べておきましょう。
家族ではなくスタッフがお骨上げする場合もある
火葬業者やプランにより、家族ではなくスタッフがお骨上げする場合もあります。
火葬プランにより異なりますが、スタッフがお骨上げをすると価格が安くなるケースもあります。
しかし、一緒に過ごしたペットのお骨上げを飼い主様やご家族がすることで、ペットも喜ぶでしょう。火葬の際は値段も大切ですが、何よりも心を込めてお別れすることが重要です。
素手でご遺骨に触れない
火葬後にお骨を冷やす時間を設けている業者がほとんどですが、それでも素手で触れると火傷をする危険性もあるため、素手で触れないようにしましょう。
火葬業者のスタッフが収骨の際に手袋をはめてご遺骨に触れることがありますが、指示があるまで同じように触れてはいけません。
また、手汗や手垢により収骨したお骨に将来カビが繁殖する可能性もあります。触れたら必ずカビが繁殖するわけではありませんが、将来的なリスクを避けるために注意しておきましょう。
火葬台の周辺に触れない
火葬台周辺は、火葬の過程で熱くなったり、不純物が付着したりしている可能性があります。そのため、火葬台の周辺に触れないようにしましょう。
火葬台の灰や骨片は、火傷や感染症の原因になる恐れがあります。特に小さなお子様がいるご家庭では十分注意するようにしてください。
ペットのお骨上げのQA
ペットのお骨上げに関する、よくある質問をまとめました。以下で解説します。
ペットのお骨が真っ白でないのはなぜ?
6-1.ペットのお骨が真っ白でないのはなぜ?
ペットのお骨が真っ白でない理由は、体内の脂肪や鉄分が付着しているからです。
ペットのお骨の中には、赤い部分や黄色い部分、黒い部分が含まれています。黒い部分を見ると、ペットの状態が健康でなかったかもしれないと考える方もいるでしょう。しかし、黒い部分はススや歯髄のため心配ありません。
ペットのサイズや筋肉量などにより、火葬の難易度が変わります。大型犬や肥満犬は、火葬に時間がかかるため、不完全燃焼のリスクが高くなるでしょう。
ペットのお骨から健康状態がわかる?
ペットの健康状態は、お骨の強度からわかります。
お骨が硬くて丈夫なお骨の場合、ペットは健康で若いことがわかります。一方で、お骨の状態が脆く、空洞がある場合は不健康や老いていたと判断できるでしょう。
ペットのお骨が黒いのは癌が原因?
ペット火葬後にご遺骨の黒い部分を見つけて、癌ではないかと心配する飼い主様もいらっしゃるでしょう。しかし、ペット火葬後のご遺骨の黒い部分は、ほとんどの場合、癌ではありません。
癌は細胞が異常増殖して腫瘍を形成する病気です。癌細胞は通常の細胞よりも早く成長し、消滅しません。そのため、癌細胞は大きくなり周囲の組織を圧迫し、浸潤してお骨が黒くなるかもしれません。
一方、ペット火葬後のご遺骨の黒い部分は、ススや燃え残りである可能性が高いです。ペット用の火葬炉は、人間用の火葬炉よりも低温で火葬されます。
そのため、ご遺体が完全に燃え尽きずに、黒い塊が残ったり、ススがお骨に付いたりする場合があります。
ペット火葬後のお骨上げは大切な儀式
本記事では、ペット火葬後のお骨上げに関する注意点や流れについて解説しました。
火葬後のお骨上げは、ペットが天国に安心して向かうための儀式です。今まで一緒に過ごしたペットに感謝を伝えるためにも、本記事を参考に正しい方法でお骨上げをしてあげましょう。
COCOペットでは、お骨上げができる立ち会い個別火葬と、お花で送るペット火葬の2つのプランがあります。ペットのお骨上げが気になる方は、ぜひお問い合わせください。
ペットの葬儀や供養、終活についてもっと詳しく知りたい方は、ぜひCOCOペットにご相談ください。生前のお見積り、ご相談も承っていますので、お気軽にお問い合わせください。