高齢猫と暮らす飼い主様の中には、愛猫がご飯を食べなくなって悩んでいる方も多いでしょう。高齢猫がご飯を食べない原因には、年齢の影響や口内の病気、ストレスなど色々なことが考えられます。
今回の記事では、高齢猫がご飯を食べなくなる原因や、飼い主様にできる対処法をお伝えします。また、高齢猫がご飯を食べなくなるのは、寿命が近いからだということも考えられます。寿命を迎えた愛猫を悔いなく見送るためのお葬式の方法についても解説します。
目次
猫は何日ご飯を食べなくても問題ないか
一般的に子猫や高齢猫は体力が低下しているため、食欲不振になると早くから対処する必要があります。子猫は半日、成猫や老猫は1日以上何も食べなければ要注意です。一方で、若くて健康な猫は2日くらい食べなくても問題ないです。
ただし、食欲不振は必ずしも病気のサインとは限りません。ストレスや環境の変化により、食欲が落ちるかもしれません。また、病気の症状として食欲不振が現れるものもあります。
猫の食欲不振には、以下のような点に注意して判断することが大切です。
- いつもの食事量と比べて、少ないか
- 元気や体重に変化はないか
- 嘔吐や下痢などの症状はないか
- 環境の変化やストレスの原因はないか
上記を確認しつつ、食欲不振が続く場合は早めに動物病院を受診して原因を調べてもらいましょう。
高齢の猫がご飯を食べない原因は?
高齢猫がご飯を食べなくなる理由にはどのようなことが考えられるのでしょうか。ここでは代表的な原因についてお伝えします。
高齢になり消化機能や基礎代謝が低下している
高齢猫は消化機能が低下し、ご飯が上手に消化できなくなることがあります。高齢化により基礎代謝が低下して必要なエネルギーも減ってきます。さらに、高齢になると足腰の筋力も低下するため、運動量も減る傾向となります。
このように、消化器官の機能や基礎代謝の低下、運動量の変化によって食欲が徐々に落ちてくることは高齢化による自然な現象で、過度な心配は必要ないと言えるでしょう。
歯や口に関する病気を患っている
歯や口にトラブルがあると、食事がしにくくなります。特に歯周病は猫がかかりやすい病気のひとつで、3歳までに70%の猫が患うとも言われています。高齢猫では歯周病が進行し、歯が抜けたり歯がぐらついたりご飯が食べづらくなることがあります。
また、口内炎になると強い痛みによって食事が取れなくなります。その他、病気でなくても、加齢と共に顎の周囲の筋力も低下するため、噛む力が弱くなりご飯を食べたがらなくなることもあります。
鼻水や鼻づまりで食欲が落ちている
猫の食欲にはにおいが大きく影響しています。においを確認することで食べ物の安全性を確認しているため、鼻が詰まっていると食欲が低下する可能性もあるでしょう。また、年齢を重ねて嗅覚自体が衰えて食欲がわかない場合もあります。
ストレスを感じている
猫は繊細な動物なので、ストレスが原因で食欲が低下する可能性があります。ストレスの原因としては、引っ越しをした、知らない人が来た、家族構成が変わったなどの大きな変化の他に、爪とぎやトイレが気に入らないなども挙げられます。
猫によって何がストレスになるかは様々です。飼い主様に思い当たることがあれば、できる限り原因を取り除くようにすると良いでしょう。
高齢の猫に必要な栄養素は何?

高齢猫は、成人の猫に比べて基礎代謝量が低下するため、1日に必要とするエネルギー量も減少します。そのため、高齢猫にはエネルギー量が抑えられたフードを与えることが大切です。高齢猫の健康維持に欠かせない栄養素を以下でご紹介します。
水分
高齢猫は運動量が減り、水分補給の回数が減るため、水分不足になりやすいです。水分不足は泌尿器疾患の原因となります。
水分は食事から摂取できます。ウェットフードやオヤツには水分が豊富に含まれているため、高齢猫の水分補給に役立ちます。また、水飲みボウルを複数用意したり、水にフレーバーをつけたりするのもおすすめです。
タンパク質
高齢猫は栄養素の吸収能力が衰えるため、タンパク質の要求量が増加します。タンパク質は猫の基本的なエネルギー源であり、以下の健康維持に欠かせません。
- 内臓
- 筋肉
- 骨
- 皮膚や毛
そのため、高齢猫には良質なタンパク質を適量摂取させることが大切です。
脂質
高齢猫は活動量が減るため、エネルギー量を抑えたフードを与えることが一般的です。しかし、脂質は脳や筋肉のエネルギー源であり、満腹感を得るためにも必要です。
また、脂質はキャットフードの嗜好性を高めるため、適度な量を摂取させることで食欲の維持が図れます。そのため、高齢猫でも脂質を完全に排除するのではなく、適量を摂取させましょう。
ビタミン
ビタミンは筋肉量の維持や、被毛や皮膚の健康維持に欠かせない栄養素です。総合栄養食タイプのキャットフードには、ビタミンがバランスよく含まれているため、基本的には大幅に不足することはありません。
食物繊維
高齢猫は胃腸の衰えや運動不足により、便秘になりやすくなります。そのため、腸内環境を整えて、便秘を予防するために食物繊維を適量摂取することが大切です。
食物繊維は腸内の善玉菌を増やして腸内環境を整える働きがあります。高齢猫の腸内環境を整えることで、免疫力や腎臓の健康にも良い影響があると言われています。食事には、食物繊維が豊富に含まれているフードを与えるといいでしょう。
カルシウム
高齢猫は栄養素の吸収効率が悪くなるため、カルシウム不足になりやすいです。カルシウムは骨や歯の健康維持に欠かせない栄養素であるため、骨折防止のためにも重要です。
しかし、高齢猫は腎臓の機能が低下している可能性があります。そのため、リンとカルシウムのバランスを適切にした食事を与えるようにしましょう。
高齢の猫がご飯を食べなくなった時はどうすればいい?

上では高齢猫がご飯を食べなくなる代表的な原因をお伝えしました。ここでは、高齢猫がご飯を食べなくなった時にできる対処法についてお伝えします。このような対処をしても、24時間以上全く猫が食事をしない場合は動物病院を受診しましょう。
ドライフードからウェットフードに変える
ドライフードを与えている場合、高齢猫にとってはフードが固くて食べられない可能性があります。柔らかく、嗜好性の高いウェットフードに変えてみというのも良いでしょう。ウェットフードは電子レンジなどで人肌程度に温めると、より香りが強くなって猫の食欲をそそらせられます。
ウェットフードはメインのフードではなく、補助食として販売されているものも多いため、栄養バランスを考えて、普段のドライフードに少し混ぜるなどの工夫が必要です。
シニア用のフードに変える
シニア用のフードは、高齢猫の健康をサポートするために作られています。もしも高齢猫がまだ成猫用のフードを食べているようなら、シニア用フードに変更しましょう。ただし、猫は急なフードの変更を嫌います。まずは普段のフードに少しだけ新しいフードを混ぜて、徐々に新しいフードの割合を増やしていきましょう。
食器を置く位置を高くする
高齢猫は、体の筋力が低下したり、関節などに痛みを感じたりするため、頭を下げ続けて食べる姿勢がつらいことがあります。床に食器を置いている場合、食器を適切な高さの台に乗せて猫が首を下げずに食べられるようにするなど、できるだけ体の負担を減らす工夫をしましょう。
お気に入りのおやつを混ぜてあげる
普段のフードに、猫のお気に入りのおやつやささみ、鰹節などをトッピングするのも良いでしょう。トッピングの部分だけを食べてしまうようなら、普段のフードを少し混ぜ合わせてみましょう。猫の食いつきが悪い場合は、トッピングの量や種類を変えるなどの工夫を継続すると猫が食べ始めてくれることがあります。
高齢の猫がご飯を食べない場合は強制餌食も考慮

高齢猫は、さまざまな原因で食欲低下することがあります。食欲低下すると、栄養不足や脱水症状などの健康トラブルを引き起こすかもしれません。
食欲低下した高齢猫に対しては、さまざまな対策を試してみましょう。それでも、食欲が回復しない場合は、強制給餌が必要になることがあります。
強制給餌とは自分で食べられない猫に、シリンジやチューブを使って食事を与える方法です。食欲の回復や栄養補給のために行われます。
強制給餌は、猫にとっても飼い主様にとっても負担が大きい方法です。毎日強制給餌を行うかどうかは獣医師とよく相談して決めましょう。
高齢の猫がご飯を食べなかった場合、通院する必要があるかも
高齢猫がごはんを食べなくなると、飼い主様は病気の心配をするでしょう。日々の健康管理を記録しておくことで、病気の有無を判断しやすくなります。病院に行くべきか否かの判断方法について下記で解説します。
ご飯を1日以上食べない
食欲不振が24時間以上続く場合は、目立った症状がなくても動物病院を受診しましょう。特に高齢猫の場合は体力が落ちているため、食欲不振が続くと栄養不足や脱水症状を引き起こす可能性があります。
少量しかご飯を食べない状態が続いている
ご飯を食べていても食欲が減退している場合は、注意して観察しましょう。ご飯の量が普段と比べて明らかに少ない状態が3日間続いた場合は、病気の可能性も考えられるため、動物病院を受診することがおすすめです。
嘔吐の症状が伴っている
猫は嘔吐をしやすい動物ですが、食欲不振と嘔吐が重なっている場合は消化器系が悪くなっている可能性もあるため、早めに動物病院を受診しましょう。
元気がなかったり、身体を痛そうにしていたりなど、普段と様子が違う場合にもすぐに受診しましょう。
高齢の猫がご飯を食べないのは寿命が近づいているからかもしれない

現在の猫の平均寿命はおよそ15歳です。高齢猫の場合、食欲不振は寿命が近づいているサインのひとつである場合もあります。寿命が近づくと、猫は徐々にご飯を食べなくなり、やがて水も飲まなくなることがあります。
猫の寿命が近い場合のサインには、食欲低下のほかにもいくつかの兆候があります。寿命が近づくと、猫は寝ている時間が長くなり、動かなくなることが多いです。攻撃的になったり触られることを嫌がったりするような性格の変化がみられる場合もあります。
また、猫の正常な体温は38~39℃程度なので、普段は人が触れると温かさを感じますが、死が近づくと心臓の動きが低下して循環が悪くなるため、体温が低下し触れてもあまり温かさを感じなくなるでしょう。
猫に関するお葬式の種類と費用

上でお伝えした通り、食欲不振は猫の寿命が近づいている合図である可能性があります。愛猫との別れはつらいものですが、必ずやってきます。納得のいく見送りのために、お葬式の方法や費用を事前に知っておくことが大切です。
ここでは、葬式の種類と費用についてお伝えします。
合同火葬
約束した日程にスタッフがお迎えに来て、火葬車で複数のペットと一緒に合同火葬を行なう方法です。まとまった時間を確保できない飼い主様や、費用を抑えつつ猫を供養したい飼い主様におすすめの方法です。
合同火葬となるため、火葬後に遺骨をもらうことはできないので注意しましょう。費用は猫の場合、税込みで16,300~20,700円ほどです。
一任個別火葬
一任個別火葬は、個別で火葬を行うものの、家族に代わって火葬から収骨までをスタッフに一任するプランです。遺骨はスタッフによって収骨され、骨壺に入った状態で受け取ることができます。
遺骨は受け取りたいものの、愛猫の火葬や収骨などに立ち会うことはつらいというような飼い主様におすすめです。費用は税込み22,800円~27,200円ほどです。
立会い個別火葬
個別で火葬を行い、飼い主様が葬儀や納骨までずっとそばで見届けられるプランです。火葬の終了後、ご遺骨の状態を確認でき、ご希望によっては収骨もできます。
最後まで愛猫に寄り添ってお別れができるため、しっかりと全てを見届けたい飼い主様に最適です。費用は税込み25,000~29,400円ほどです。
お花で送るペット火葬
上でお伝えした立会い個別火葬にお花がセットになったプランです。お花はユリやカーネーション、ガーベラなどをバランスよく組み合わせます。
人と同じように棺にお花を敷き詰めて華やかに見送りができるため、COCOペットでは一番に気のプランです。費用は税込み49,200円~52,500円(割引適用後の価格)ほどです。
飼い主様の工夫で高齢猫にも食べる楽しみを
今回の記事では、高齢猫の食欲低下についてお伝えしました。若い時は気を付けなくてはならない栄養バランスも、寿命が近い高齢猫の場合はあまり意識せず好きなものを食べさせてあげても良い場合があります。
食欲が落ちてきたことに気づいたら、獣医師に相談して食べさせても良いものを確認し、最大限食べる楽しみを与えてあげましょう。また、猫の寿命も意識して、悔いのない見送りのためにお葬式などのセレモニーなどについて考えはじめることも大切です。