「犬の尿毒症では、どのような症状が出るのだろうか」と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。愛犬に元気なまま長生きしてもらうためにも、尿毒症で見られる症状や予防法があれば知っておきたいですよね。

本記事では、犬の尿毒症について、症状や治療法、予防法まで徹底解説します。大切なペットの病気を防ぎ、また病の早期発見・早期治療ができるよう、尿毒症の基礎知識を身につけておきましょう。

尿毒症とは

尿が出ない!老犬の尿毒症とその症状について

尿毒症とは、腎臓の機能が低下することで体内の老廃物を尿として排泄することが難しくなり、血中の老廃物濃度が高くなる病気です。急性、もしくは慢性の腎臓障害が悪化することによって引き起こされます。

また、体外に排出されず血中に溜まってしまった老廃物が全身に行き届いてしまうため、腎臓だけでなく全身の臓器や脳神経にまで影響を及ぼします。病状が進むと命の危険があるため、早期発見・早期治療が重要です。

尿毒症の原因となる犬の病気

尿毒症の原因となる犬の病気

尿毒症は、腎臓や泌尿器系の病気が原因となり、尿の排泄が困難となって発症するケースが多くあります。特に尿毒症を引き起こしやすい3つの病気について見ていきましょう。

腎不全

腎不全は、腎臓の機能が低下する病気です。急性腎不全と、慢性腎不全の2種類があります。

急性腎不全は、数時間から数日の短い期間で急激に腎臓の機能が低下する病気です。ぶどうやユリ科の植物、人間用の薬などの誤食や、感染症によって発症し、進行することで尿毒症の発症につながります。

一方、慢性腎不全は、数ヶ月から数年の期間をかけて徐々に腎臓の機能が失われる病気です。慢性腎不全の末期症状のひとつが尿毒症であり、回復が非常に難しいとされています。

尿路結石

尿路結石は、膀胱や尿管などの尿路に結石ができることで、尿の排泄が困難になる病気です。尿路が塞がれた状態が長く続くことで、本来排出されるべき老廃物が体内に留まってしまい、尿毒症の発症につながります。

尿路結石の際に現れる症状として、膀胱結石の場合は頻尿や血尿、尿管結石の場合は尿が出にくくなる兆候が見られます。また、食欲不振や嘔吐も尿路結石が疑われる症状になるため、早めに動物病院を受診しましょう。

泌尿器系のがん腫瘍

泌尿器系のがん腫瘍でも、尿毒症が引き起こされます。泌尿器系のがんとして挙げられる代表的なものは、以下の通りです。

  • 腎臓がん・腎臓リンパ腫
  • 膀胱がん
  • 前立腺がん

泌尿器系のがんを患い、腫瘍が尿路を塞いでしまうと、尿毒症を併発する恐れがあります。尿路結石と同様に、血尿や頻尿など、尿の排泄に関わる異常が症状として現れるため、少しでも排尿時に異変が見られたら、動物病院で検査を受けてください。

犬が尿毒症を発症したときの症状

犬が尿毒症を発症したときの症状

犬の尿毒症では、以下のような症状が見られます。初期症状と進行後の症状に違いがあるため、初期の段階で早めに異常を見抜くことが重要です。

尿毒症の初期症状

尿毒症の初期症状としては、以下の症状が挙げられます。

  • 食欲不振
  • 体重減少
  • 嘔吐
  • 下痢
  • 元気消失
  • 毛並みの悪化
  • 貧血
  • 口臭

全ての症状が一律に出るわけではありませんが、食欲不振や嘔吐、下痢などの胃腸系の症状が多く現れます。また、口の中の臭いがアンモニア臭に近くなるのも、尿毒症の初期症状における特徴です。

初期症状が現れた段階で動物病院を受診し、適切な治療を行えるかどうかが大切になってきます。

尿毒症が進行した時の症状

尿毒症が進行すると、初期症状の悪化に加えて、以下のような症状が見られるようになります。

  • 舌壊死
  • 痙攣(けいれん)
  • 呼吸困難
  • 排尿困難
  • 意識レベル低下
  • 昏睡状態

尿毒症では排泄できなかった老廃物が体内に回ってしまうため、症状の進行により脳や神経にも影響が現れ、最悪の場合命を落とすことになりかねません。病状が進行する前に、なるべく早く治療を受けさせましょう。

尿毒症の治療法

尿毒症では、症状を引き起こした原因である基礎疾患に応じて治療法が変わりますが、輸液や透析、利尿剤による治療が多く行われています。

輸液療法

輸液療法は、静脈点滴や皮下点滴を行って体内の水分量を調整し、血中に溜まってしまった老廃物による毒素を腎臓から取り除く治療法です。脱水や食欲不振の症状が見られる、血液検査における尿素窒素の値が非常に高い場合などに行われます。

脱水状態を改善することで、腎臓の血流が良くなり、溜まっていた老廃物の排出につながります。ただし、腎臓自体の機能が改善しているわけではないため、症状の緩和を目的とした治療であることを理解しておきましょう。

血液透析

血液透析は、機能が低下した腎臓の代わりに装置を用いて、血液から尿毒症の原因となる老廃物を除去し、水分量を調整する治療法です。犬自身の腎臓機能が自己回復するまで、尿毒症の症状を軽減するために行われます。

専門的な技術や機械が必要になるため、血液透析を受ける際には、透析治療が行える動物病院に依頼しなければなりません。また透析治療が繰り返し必要とされる場合もあるため、注意が必要です。

利尿剤の投与

利尿剤の投与によって、尿の排出を促す治療法もあります。利尿剤には尿の生成を促進する作用が含まれているため、体内に留まっている余分な液体や老廃物の排泄を助けてくれるのです。

尿毒症の治療は、腎臓や泌尿器系の障害で排出が滞ってしまった尿を出させるアプローチがメインとなります。したがって、どのような要因で尿の排出が困難になっているのかを突き止め、適切な処置で早めの対応を行うことが重要です。

尿毒症を予防するには

尿毒症の症状や要因、治療法について説明してきましたが、やはり愛犬が尿毒症で苦しんでいる姿は見たくないですよね。

愛犬の尿毒症を予防するために、飼い主様ができることをご紹介します。

混合ワクチンを摂取する

尿毒症の予防には、レプトスピラ症を防ぐことのできる混合ワクチンの接種が有効です。レプトスピラ症はネズミなどのげっ歯類によって感染する人獣共通感染症で、イクテロヘモラジー型とカニコーラ型があります。

ふたつの型のうち、カニコーラ型が尿毒症を引き起こす感染症です。レプトスピラ症カニコーラ型にかかった場合、数日で命を落とす危険性があるため、予めきちんとワクチン接種を受けて、感染症対策をしましょう。

誤食に気をつける

愛犬が誤食しないよう注意することも、尿毒症の予防につながります。犬にとって有害な物質を含む食べ物や人間用の薬、毒物の誤食は、腎臓にダメージを与えてしまうためです。

  • アセトアミノフェン
  • イブプロフェンを含む薬
  • 芳香剤に含まれるエチレングリコール
  • ぶどう
  • ユリ科の植物

上記などが中毒を引き起こす誤食対象にあたります。犬が食べてはいけない物を間違って与えないようにすることが大切です。

老犬の尿が出ない状態になったら余命はどれくらい?

老犬が尿が出ない状態になったら余命はどれくらい?

上でお伝えした通り、老犬は腎臓自体や心臓の問題による慢性腎不全になることが多いです。慢性腎不全と診断された時、尿が出ない状態になった場合、犬の余命はどれくらいなのでしょうか。

慢性腎不全になると余命は数年

慢性腎不全に陥ると、治療によって腎臓が元に戻ることはありません。治療次第では進行を遅らせ、生活の質を落とさずに暮らすことができることもありますが、時間の経過と共に次第に悪化します。完治ができないため、症状がではじめた場合の寿命は数年程度だと言えるでしょう。

ただし、寿命については、治療の開始時期、個体差など様々なことが複雑に関係し、一概には言えません。慢性腎不全の治療方法のひとつに、食事療法が挙げられます。慢性腎不全だと診断されたら、できるだけ早い段階で食事療法をはじめると効果的です。

末期(尿毒症)の症状が見られると余命わずか

腎不全と診断され、食欲不振など尿毒症の初期症状が見られるようになった場合、余命は長いとは言えません。長くても数カ月程度だと言えるでしょう。また、けいれんなど重篤な症状がみられた場合は、余命は数時間から数日間である可能性が高いです。

尿毒症の治療は、入院して静脈点滴をし続けるなどの方法がありますが、状況によっては残りの時間を自宅で一緒に過ごすという選択もあり得ます。治療の選択は、獣医師の客観的な意見を聞きながら、飼い主様の持ちや愛犬への思いを尊重して決めると良いでしょう。

死期が直前に迫ったときの老犬の特徴

尿毒症になって死期が直前に迫ると、犬は全く食事を摂らなくなり、流動食すら受けつけない状態となります。眠り続ける、周囲への反応が乏しくなる、嘔吐や下痢を繰り返すなどの症状がみられることもあります。

最後には血圧が下がるため、口の中が白くなったり、体温が下がったりします。徐々に活動をやめ、眠るように亡くなることも多いでしょう。意識は朦朧としているため、多くの場合は自然死のように大きな苦痛を伴わないと言えます。

老犬の尿が出ないとわかった時点で看取り方などを考えておこう

老犬の尿が出ないとわかった時点で看取り方などを考えておこう

老犬の尿が出ないことが増えた場合、余命はそれ程長くないと言えます。この時点で、飼い主様や家族は、覚悟をもって犬の看取り方や終活について考えはじめる必要があるでしょう。愛犬が天国へ旅立つことは、想像することすら辛い悲しみですが、後悔のない看取りや葬儀方法などの準備をしておけば、いざその時が来ても落ち着いて行動できるでしょう。

看取る場所を家族と共に過ごす自宅にするのか、最後までプロによるケアが受けられる動物病院にするのか、また、葬儀などのお別れのセレモニーをどのような形にするのか、遺品はどう整理するのかなどを家族で事前にしっかりと話し合いましょう。徐々に心の準備を整えることが大切だと言えます。

悔いのないお別れのために

今回は、老犬の尿が出なくなった場合の原因や、余命などについてお伝えしました。早期の治療によって犬の生活の質を保つことは可能ですが、お別れが来ることも受け入れなくてはなりません。

いざその時が来たら、愛犬への感謝を込めて悔いのない葬儀も検討しましょう。犬の葬儀には、立合い火葬ができるプランやお花で華やかにお見送りができるセレモニーなどがあります。愛犬が元気なうちに、どのような見送り方をしたいかについても考えておくのも良いでしょう。

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